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「このことを」 内藤礼

倉敷での詩の朗読のイベントに参加する途中の新幹線の中でのこと、永井さん(美術作家の永井宏・故人)は、僕の実家が岡山であること知っていたのか「直島いいよね」と突然言ってきた。またまた???としていると福武書店が直島にアーチストを招聘して作品を作らせていること。それによって島全体がアートスペースに変わりつつあること、そんなことは他にないから面白いからいった方がいいことなどなど話をしてくれた。実にもう20年も前だから、まだ誰もアートと直島の関係のことを知らない時の話だ。
僕の中では、子供の頃フェリーで高松の親戚の家に行く時、いつも見えているペタンとした島。くらいの印象ない島だった。しかし、この日から、突然光輝く島に変わった。
僕は倉敷の古本屋で開かれた詩の朗読のイベントが終わったその次の日、すぐに直島に行ってみた。まだ作品は今のように多くなく、街の中にゲリラ的存在する作品をまるで宝探しのように探しながら歩き回ったのをよく覚えている。その時、出会って心奪われたのが、この内藤礼さんのインスタレーション作品だ。
この作品には言葉は不要だ。現場に行って見て、そして体験して欲しい。

しっかりと静かに、しかし奥深く染み込んで来る「何か」を感じることができるはずだ。

今でもこの作品は僕の心の中で常にロウソクの炎のように、ゆっくりと、あたたくともしびを輝かせ続けている。

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