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脚本家太田愛さんが描く優しきウルトラマン。未来が不安な全ての人へ贈るウルトラマンダイナ「少年宇宙人」


ばぁどです。

緊急事態宣言が撤回された2020年6月になりましたが、
2020年5月のGW頃から始まった STAY With Ultraman は継続中です。

Stay At Home With ULTRAMAN


 円谷プロダクションは、世界中の皆様が、強い気持ちをもって明るい未来を信じ、一緒にこの困難を乗り越えられるよう「Stay At Home With ULTRAMAN」の名のもとに、2020年5月3日(日)から、無料でお楽しみいただける毎週更新の在宅支援プログラム「#ウルトラ空想科学時間」をスタート。
いま伝えたいメッセージと共に、厳選したエピソード10作品をお送りします。(ウルトラマン基金共同企画)
「ウルトラ空想科学」の世界で、楽しい時間、ほっとする時間、心が動く時間をぜひお過ごしください!

今回紹介するのは、ウルトラマンダイナ第20話「少年宇宙人」です。
筆者自身大好きなお話です。
https://www.youtube.com/watch?v=Kyj7U02SExI

 ウルトラマンダイナとは?

1997年に製作されたウルトラシリーズです。
1996年に16年ぶりに復活したTVシリーズウルトラマンティガの続編であり、人類が宇宙開発の道に進みネオフロンティア時代を迎えた近未来を舞台にしています。
つるの剛士さん演じる、青年アスカ・シンが宇宙で光と融合しウルトラマンダイナとなり、ネオフロンティア開発時代に遭遇する球体生命体スフィアや怪獣、宇宙人と戦っていくストーリーです。

ウルトラマンダイナは明るい作風作りが行われており、主人公のキャラクターにも作風が現れています。
野球をテーマにしたセリフ使いや、宇宙開発を目指していく人類がぶつかる壁などが描かれている意欲作です。

脚本家はウルトラマンティガで脚本家デビューを果たした太田愛さん。
ウルトラマンティガ の「オビコを見た」、「ゼルダポイントの攻防」、ダイナの「ぼくたちの地球が見てみたい」、ガイアの「遠い街・ウクバール」、コスモスの「雪の扉」などを担当されています。
太田愛さんが脚本で描くウルトラマンは、怪獣に対して十字を組んで光線を発射して人類を救うような力強いウルトラマンだけではありません。太田愛さんが描くウルトラマンは、ウルトラマンが本来持つであろう「優しさ」が伝わるウルトラマンの描き方をしてくれています。

近年では、テレビ朝日のドラマ相棒の脚本も担当されていることがあり、スタッフロールで太田愛さんの名前を見ることが、一人のウルトラファンとして一つの楽しみとなっています。
筆者は太田愛さんが書いたウルトラマンの脚本、ストーリー、特にウルトラマンの描き方がとても大好きです。

「少年宇宙人」の大まかなあらすじ

地球から遠く離れた惑星ラセスタが恒星に吸い込まれ、消滅したことから始まります。

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本作の主人公は小学生3年生サトルと、仲良しのたっちゃん、みのっち。
仲良し3人組は学校で出された宿題「ぼくの未来」という作文について茶化しながら話しいつもと変わらない日常を送っていた。

とある朝、母親から自分たち家族がラセスタ星人であるということを知るサトル。
惑星ラセスタが滅び、サトルは若きラセスタ星人として新しい母星を見つけるために、宇宙に旅立つ使命があることを告げられます。

突如として訪れた、サトルの旅立ちと、それを受け入れなければいけない友達の、たっちゃん、みのっち。
こうして、少年仲良し3人組の最後の数日間が始まります。

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未知の宇宙へと旅立たなければいけないラセスタ星人サトルが抱える不安とは?
不安を抱える少年宇宙人にウルトラマンダイナが語りかけることとは?
また「ぼくの未来」という宿題に対して、少年たちが出す答えとは?

感想・考察

「少年宇宙人」というお話は3人の小学生に焦点を当てた物語です。
この話に限っては、主人公はウルトラマンではないと言ってもいいと思います。
主人公は小学生の少年サトル、たっちゃん、みのっちの3人です。
3人の小学生の日常の描写、別れ、成長が30分に凝縮されております。

ストーリー冒頭で子供たちのセリフから何気なく語られる、「ぼくの未来」という作文の宿題は良い導入ですね。
誰もが一度は考える自分自身の将来(僕の未来)という命題を突きつけ、最終的に少年たちがその宿題の答えを見つけるというストーリー展開はお見事です。

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ストーリーの大半は、少年3人のほのぼのした日常が描かれますが、このほのぼのとした日常は、二度と繰り返すことない日常なんですよね。


続いて、中盤の印象的に残った描写です。

個人的に好きな描写はサトルを送り出す母親の描写です。
最後の夜にホットミルクを入れて送り出そうとするところだったり、旅立とうとするマフラーをギュッと巻くシーンだったり、母が子を想う一つ一つの描写がとても繊細で、観るものの心に語りかけてくる。

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最後にウルトラマンダイナとサトルの会話。

ウルトラマンダイナが、主人公サトルに投げかける言葉があります。

サトル:「地球を出たら、もうたっちゃんもみのっちもいない。それに母さんも。僕は怖いんだ。新しい星は見つかる?新しい仲間と友達になれる?僕は、僕はどうなってしまうの?」
ダイナ:「君の未来は誰にもわからない。何故だかわかるかい?それは君が創っていくからなんだ。」
サトル:「創る?」
ダイナ:「そうだ。どこへ行ってもどんな時も君の未来は君が君の手で作っていくんだ。さぁ出発だ。」

この言葉はウルトラマンダイナ(本来の主人公アスカ隊員)から、サトルへの教えですね。
今回の「少年宇宙人」では、ウルトラマンダイナの戦闘シーンは一切ありません。
ただただサトルのピンチにウルトラマンダイナが現れ、サトルを宇宙へと導く役割を担っています。

本エピソードは、ウルトラマンダイナのネオフロンティア時代という設定を存分に活かしたストーリーだと考えます。
昭和ウルトラから、ウルトラマンは宇宙人という設定があり、宇宙との親和性が高いウルトラマンだからこそ作ることのできたエピソードの一つですね。

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筆者自身もウルトラマンダイナのこの言葉に幾度か救われております。

就職や転職などの人生の岐路に立たされた時に、やはりどうしても自分の選択が間違っていないかは多かれ少なかれ迷うんですよね。筆者は現在2回ほど転職をしているのですが、毎回この話を見て「将来が不安なのは当たり前。決められた道がないからこそ、自分自身で作っていくしかないんだ」と自分自身に言い聞かせています。

やはり自分の将来って不安なんですよね。
不確定なことが多すぎてわからない。
だからこそ、今できることを一生懸命にやって自分の未来をしっかりと考えて、自分自身の手で作っていくしかないんですよね。

まとめ

本作ウルトラマンダイナは少しギャグテイストなのも個人的にはツボです。
平成三部作の中でも明るい話が多い、ダイナだからこその物語なのかなと思いました。

また、ダイナを演じたつるの剛士さんと、少年を演じた崎本大海さんのアフターエピソードも必見ですよね。ヘキサゴンが懐かしい。

本作も1ヶ月限定の公開です。
https://www.youtube.com/watch?v=Kyj7U02SExI

YouTube での配信が終わった後でも amazon prime で配信中です。こちらは主役を演じたつるの剛士さんの裏エピソード解説付きです。

ウルトラマン ザ・プライム〜平成ウルトラ激闘編〜第7回
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B06XZV1C3C/ref=atv_wl_hom_c_unkc_1_16

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