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ゲームが奪うものではなく、育むものであるために 〜eスポーツチームRush Gamingの2020年を、振り返る①〜

お久しぶりです!うららです。
引っ越しやらちょっと大きめのお仕事やらでYouTubeもnoteも完全に放置になっていました・・・本日はリハビリがてら、近況報告がてら、軽めのnoteでも書こうと思います。

まずは、いつもRush Gaming、そしてWekidsを応援してくださっているファンの皆様、スポンサーの皆様、お取引企業の皆様、スタッフ含むメンバーを支えてくださってるご家族、友人の皆様、今年1年も本当にありがとうございました。
なぜ急にしめくくる!?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、毎年夏、7〜9月というのはRushにとってもWekidsにとっても実は期がしまる時期だったりオフシーズンだったりで、1年で特に「年末」感がある時期なんです。

さて、この8月でWekidsは7年目を迎えます。
今日は今年あった事を軽く軽くまとめる第一弾として、①新しい挑戦について ②GreedZzの試練、選手キャリア ③コロナ時代の決断について 少し触れていこうと想います。

新しい挑戦と、学び

Rushが「Rushのあの社長ならやらなさそうだよな」っていう類の挑戦をしたのは、創業以来初だったかもしれません。
新しいゲーム部門を作りました。

謎部えむさんがこちらの記事でも主張されていますが、eスポーツチームを商業的に成功させる上での戦略において他ゲーム部門制をとるのはほぼ間違いなく自明の正しい戦略です。

他部門への拡充は創業以来ずっと頭の片隅にはありながらも、成功プランを描く事が出来なかったり、GreedZzとRush CLANの時のような出会いも当然ながら早々あるわけでもなく、ずっとお蔵入りしていました。それが今年、PUBGプロリーグにて1法人あたりに参加出来るチームが1チームまでと決まったことを伺い、検討を開始。

縁もゆかりも無いタイトルだったらそれでもやっぱり検討すら難しかったのですが、実はWekidsはかなり昔に企業対抗戦で優勝してたんですよね。
かつて当時のWekids社員3名と共に、優勝の座を我社にもたらしてくれたyuu_v_icm へ数年ぶりにDMを送り、PUBG部門検討にあたってアドバイザーとしてサポートしてもらう事になりました。

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3チーム程と面談し検討させて頂いた結果、当時G1へ初昇格したBARとの契約を決定。SWOTと3Cを通り一遍とはいえ整理し、PUBG部門としてちゃんと成功すべくプランを描きつつはじめたのが、今年の初頭です。

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そして結果はご存知の通りかもしれませんが、2020年6月にチーム解散を発表しました。

Season5 phase1での大敗をはじめこれには様々な理由がありますが、戦績以上になにより、一番はRushという組織がこの4名へ提供出来るもの、明るい未来が無いということに尽きると思います。PUBGを無理に頑張らせるだけの意義もインセンティブも無く、彼らにとってRushにいることでのメリットは、金銭的にも心理的にも皆無だったと思います。これは一重に私の無力にあり、またeスポーツビジネスの難しいところだなと、改めて学んだのがこの一件でした。

外からは見えない事や感じられない事が本当に多いのが世の常で真実だと常々思っていますが、手痛い体験もしたし、結果として社内外から厳しいご意見も数多く頂きましたが、素敵な出会いも学びもあり総じて挑戦は良しとして進んでいきたいなと、思う所存です。

GreedZzの選手復帰、残酷な試練と、「仕事としてのゲーム」

Rush Gamingの本筋のストーリーとして、GreedZzという存在が柱であることは揺るがぬ事実です。
恐らく、これから先 Call of Dutyのeスポーツで、彼以上の影響力をeスポーツ文脈で出すのは、相当な奇跡が起きないと難しいでしょう。


タイトルの人気、選手としての実力・頭脳、恵まれた容姿、練習の時間を確保しながら私生活を削りきってのYouTubeでの動画・配信活動、理解ある家族に仲間、類まれ無い行動・継続力、最後に運。これらすべてを総動員してはじめてやっと手に入るのが、eスポーツ選手としてのキャリア、生活の糧になりうる仕事です。
そしてそれは、手に入ってからが本当の試練、といっても過言ではありません。
GreedZzは今年、恐らくこれまで経験したことの無いレベルでのうつ病と対峙しました。

チーム内外から一番大きな期待を受け、明るい表舞台と恵まれた環境、ゲーマーとして生きていけるだけの金銭的基盤を教授しながら、逃げ場の無い世界で最も苦しみ、妬みをかい、その地獄を生き抜き、そしてキャリアの先頭を切る者として周りへ道を作っていかないといけない。

好きなこと「だけ」で生きていくというのは、想像を絶する地獄であるという側面に、私自身が理解を深めたのが今年であったとも言えます。

言い訳を許さない屈強でストイックで現実的な思考を持つ事がアスリートをはじめとする極めし者達の最高の強みでもありますが、一方で残酷な現実を目の当たりにした時の、果てしない絶望は人間をどこまでも追い詰めます。

GreedZzは運動してるし、自分で選んだ道なんだから、リーダーなんだから、と思う人もいるかもしれません。
確かに筋トレや運動、そして安定した経済基盤はメンタルを安定させてくれるのに確かに役立ちますし、人から強制された人生よりも自分で選択したもののほうが楽だと思う人は一定数いるかと思います。
ですがどれもうつ病に万能ではありません。
それが万能なら、プロスポーツ選手が一般人の3−4倍もうつ病になってしまうことが説明できません。

人とは、「今幸せな環境にいるが、明日以降が不幸と感じる」場合と、「今不幸な環境にいるが、明日以降が幸せになると感じてる」場合であれば、外から見えてる状況とは裏腹に後者の方が幸せなのです。
さて、eスポーツで食べていきたい、いつかあの光のもとへと上を見ている人たちと、eスポーツで食べていける、学生の頃に願ってやまなかったゲームで生活する事を実現してしまった人との比較に似ていますね。

だからeスポーツ選手を目指すべきではないとか、そういうことをいいたいのではありません。
人はその時その時、目標を設定していくしかない。

Rushには、いわゆるもうキャリアとして「これから先しばらくずっとゲームで生活をしていく」20代が2人います。
それが、私と共にRush Gamingを創業したハセシン、GreedZzの2名です。
2019年12月、状況を重く見たハセシンから「GreedZzをロスターから外してあげて欲しい。壊れてしまうのが怖い」と直訴があったのは記憶に新しい事です。

長い人生の、たったの数ヶ月の事です。
たかがゲーム、eスポーツです。
でも私達にとっては、そのゲームのスタートボタンを押すことすら時に生死に関わる重みすらある、それくらい重い事になりえるのです。

結論は何か?
これは、私達の、永遠に続く人生という地獄と天国の側面でしかありません。
毎年毎年、一人ひとりに出来る事を、出来ないことを考え、受け入れ、成長し、変化して、続けていくしかありません。
私に出来ることは、大きな頂きを目指す彼らの背中を押し続け、何度も何度も崖から落ちる彼らに何度でも手を差し伸べることだけだなと思います。

どうか何卒、GreedZz他Rushのメンバーが、苦しみもがき、時に過ちを犯し、失敗しながら挫折して、それでも諦めず何かを達成していく姿を、応援していただけたら幸いです。

※うつ病との向き合い方やこの当時学んだこと、読んだ本などはまた今度別に書こうと思います。
※本記事執筆時のGreedZzは、かなり回復してきています。本投稿も本人確認済みです。

コロナ時代の到来と、決断

詳しくはこちらのインタビューに掲載されていますが、今年の大きなハイライトは、やはりコロナ時代の到来かと思います。

eスポーツという面では、やはり目指す先のゴールとしての大会の様相がガラリと変わってしまったことは、大きな変化であったことは言うまでもありません。

これまでも、葛藤の渦中でずっと矛盾する感情と理性に苦しめられてきましたが、コロナ時代の到来によって決断を余儀なくされたのがむしろ良かったと思います。

その決断を、少し言い方を変えて本質的なところを抽出するならば、それは活動休止でも配信への注力でもなく、それらはあくまで副次的なもので、
本質的には「eスポーツ活動(交流戦)の非義務化」です。

Rush Gamingの選手との契約書には、交流戦の参加義務の条項があります。
これを、解除するというものです。

誤解を恐れず言えば、彼らが勝つこと、強くなること、その成長を見届けることが一番の喜びである私にとって、チーム強化を実質止め戦線から離脱させるようなことをしたのは、ただただ苦しい決断でした。
しかし一方で、Call of Duty MW シーズンはタイトルの不人気もあり未曾有の氷河期ともいえる真っ只中です。
そんな中、葛藤がありつつも私にはどうしても、「eスポーツにだけ打ち込ませる」が、正しいことに思えなかった。
特に、現ロスターメンバーの殆どが大学に進学していません。
もしもそれぞれが、この先先述したようなGreedZzに近しいキャリアを目指してるのだとすれば、本来要求されることは想像を絶します。

コロナ時代の中、それぞれが改めて自分自身にとってやりたいこと、やるべきだと感じることを見つめてほしかった。
eスポーツをやることが義務ではなくなった今、それぞれがどう過ごし、何を目指していくのかに、私は静かに注目しています。

GreedZzは最近、筋トレだけでなく、英語の勉強を再開。
WinRedは北海道の実家に帰省し、YouTube投稿を主にやり、最近では番組出演などを通して、存在感を発揮しています。
Gorouは期間中、試合があればその準備や研究には最も力を入れ、現在はベースの倉庫在庫管理なども手伝ってもらっています。
Vebraはベブゾーンというコンテンツを100日間継続、最終日は同時接続2200人を超える人気企画を作り上げました。

これらは、彼らのやっていることの一側面ですが、これから先どう変わっていくのか、どうなっていくのか、暖かく見守っていこうと想います。
そして本当に、私や会社、組織の力が必要な時に力を出し合い、共に何かを成し遂げたい。

CoDは、今年だけじゃない。
甲子園や春高バレーのように、来年もあります。
このタイトルのいいところは、毎年新作が出て、毎年新しい1年が始まることです。また、来年がある。
今年のあと数ヶ月を、各々が各々の人生においてどう捉え、何を得て、未来をつくっていくのか。

きっと、まだまだ何度でも負けるでしょうし、試練も沢山あると想います。
その度に心臓をバクバクさせて、腹をたてては涙を流すのだと思うと、本当に寿命が何個あっても足りないなぁと想います。
ですが考え方を変えれば、難しく、頑張ることで本質的に強いしなやかな筋肉のような組織が出来るのではと思うと、このなんともうまくいかない、波乱万丈なチーム運営が、愛おしく楽しく感じられるというものです。

チーム運営や強化活動に関しては、また別の記事でも追々語っていければと想います。

余談

ところで余談ですが、これスポーツも同じ?かと思うのですが、収録試合ほど応援が難しいものはないですね・・・・・
まずオンライン収録で試合がリアルタイムで見れないので、身内はどうしても結果を知った状態で観戦になり、勝っても負けても本当に観戦が、なんというか、むずかしい。比較のしようがありません。。
配信が少しぐだっても、ライブで流してもらえないだろうか・・・と願ってやまないのですが、多分運営さんもわかってて何かしらご都合があるのだろうなぁ、と思うと、なんとも直接言いづらいのでここにそっと書いておきます・・・

次回

2020年の変化。それぞれが選んだ道について。
ゲーミングハウスの課題
「組織」として、「チームとして」


ではまた!!来週書きます。
コメント等で感想や、ここもっと書いてほしい、などありましたらどしどし頂けたら幸いです。




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