フランスの若者に配られた「文化パス」が、すっかり「ほぼ漫画パス」になってしまった背景を説明します。
フランスでは、2021年5月21日から、18歳限定に、本、劇場、美術鑑賞などに使える「文化パス」300ユーロが配布されることになった。これは、若者たちが多くの文化に触れる機会を増したいとするマクロン政権の政策の一環で、2年間の試用期間を経てとうとう施行されたのだ。
だが、こういった文化パスが使えるなら、若者たちは気軽に美術館や映画館に行くようになると想像している人も多いかもしれないが、実際のところはその期待を裏切る結果となった。なんと、文化パス使用者の84%は書籍を買ったものの、その71%が漫画購入に使用されていたのである。フランスのメディアからは「ただの漫画パスになりつつあるのでは」とも皮肉がられた。
がしかし、日本側から見れば、この現象は嬉しいものもある。
日本文化がフランスで受け入れられている証拠でもあるからだ。
同じく、5月19日から新型コロナウイルスの感染封じ込めのため導入された規制が緩和され、映画館が再開した初日、日本のアニメ映画、劇場版『鬼滅の刃』が新作映画として、観客動員数1位となっていることを合わせて考えると、フランスの文化圏に、日本の文化が大きく食い込んでいると言っても過言ではないだろう。フランスは日本に次ぐ世界2位の漫画市場というのもうなづける。
しかも、実は、フランスに最初に日本のアニメが入ってきた当時は、悪評にさらされかなり苦しいスタートを切っていたのだ。それにもかかわらず、それをもろともせずここまで若者からの人気が途絶えることがなかったので ある。ほんとにすごいことだ。
そこで、
フランスに日本のアニメが入って来た当初のなぜ悪評にさらされたのか?
しかし、そのような状況でありながら、なぜ、フランスで依然として高い人気を誇っているのか?
今回は、そのあたりを説明していきたいと思います。
左派が保守派を叩く目的で、セゴレーヌ・ロワイヤル氏に糾弾された日本のアニメ
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