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ダメすぎる母ちゃん、踏みとどまりたい

山登りをしてると、見晴らしの良い沢に出た瞬間に遥か前方に急峻な山頂がちらりとみえて「うわあ↑」ってなって、さらに少し上った展望の良いところでそれがグンと近く見えてまた「うわあ↑↑」ってなって、いよいよ森林限界を超えるとその山頂がドーンと地続きに見えて「うわあ↑↑↑」ってなる道というものがあるのだが、

今月末のオペの日というのが、ちょうどそういう塩梅に、先月あたりから視界にチラチラ入ってきて、ただ、近づくにつれてテンションの上がる山と決定的に違うのは「うわあ」の後につく気分のベクトルが↑ではなく↓、つまり、ものすごく嫌なものだっていうことなのである。

年始、人生初の手術でメスの味を知ってノックダウンされた私は、多分人一倍痛がり屋の怖がり屋だ。一度それをのりこえても、ちっとも強くなった気がしない。前回と違って今回は前進のための手術だからと思おうとしても、やっぱりすごく嫌なものは嫌で、それが意識の視界に入るたびにもう自分の身体を置いて逃げ出したくなる。

それでブログもいろいろ書くネタはあるのに公開に至らない。結びが書けない。気分が乗らない。更新が滞って心配してくれる人がいて申し訳なくて、いやピンピンしているよと知らせなくちゃと思っても、おそらく何も気にしていない大多数のみんなに向けて心配しないでねってわざわざ喚起するのもどうかと思うと、もう、いいじゃん、乗り越えて気分がむいたらで、と書きかけては離脱してしまう。

それで何してたかというと(ちょっと前にもチラッと書いたけど)主に、ロケット団からポケモンを救っては律儀に全部リトレーンしたり、お気に入りのモンスターをガチムチに鍛えたりを続けている。さすがに、日に50円相当のジム防衛代を稼ぐために深夜に街を徘徊するのはおかしいと我にかえってやめたけど。無課金ポリシーもなんとか貫いているが、これまでの人生にはなかった、何を生み出すわけでもない、ゲームにハマる時間。うん、つまり、自分を離脱したい時にちょうど良いものを見つけたわけだ。

全てはヨーヨー(6才)のPokemon Goのアカウントでやっているわけなのだが、彼の保育園ではポケモンが大流行で、このゲームをやっているお友達も多い。もちろん親のデバイスで。ナイアンテック・キッズ のアカウントながら親が影のプレイヤーというこのパターンは、実は多いにちがいない。

ところでこれまで、私はトレーナー・リーグ(オンライン上の誰かさんと、3匹づつの手持ちポケモンを出してするバトル)で、少しでも負けそうになるとすぐに離脱する相手は一体何を考えているんだろうと不思議に思っていた。しかし、先日やっとバトルをできるようになったヨーヨー(それまで彼は「ぼくのポケモンが傷つくのが嫌なんだ」という理由で戦いを避けていた)が、最初の1匹が相性の悪い相手にやられた時点でパッと逃げてしまって、びっくりして、思わず「まだ十分に勝てるかもしれないのに、どうして!?」と言ってしまった。そしたらヨーヨーは「だって…だって、敵が強くてシールドもまだ2枚持ってて…。」と顔を真っ赤にして泣き出してしまった。

それでわかった。私がバトってた相手の何割かも、きっと子供だったのだ。いや、そんなことより、ポケモンのことで幼稚園児の息子を泣かすってどうなの。ここにいるのは、実に最低の母ちゃんではないか。

あーあー、もう、何やってんだか・・・。

それで、入院に際しては、タブレットは家に置いていってデジタル(ポケモン)デトックスをすることを決意した。パパの監督下で、プレイする時間を限定して、ヨーヨーに好きにさせよう。

何しろ全く嗜好が違うので、私が「がんばリボン」目指して大事に育てている色違いのラプラスや、星マックスに近いミュウツー(知らない人にはなんだそれって話だと思うが)なんかも、うっかり博士送り(すると取り返せない)にされちゃうかもしれない。そしたらちょっと悲しいけど、全てがゲームの世界のことだ。絶対に責めないことを、ここに宣言しておく。

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