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「スーッと来た球をガーンと打つ」というアドバイスをゲームプランナーが言語化して再現する方法は?

バッターとしてヒットを打つコツは?と聞いた質問に対して「スーッと来た球をガーンと打つ」と長嶋監督が言ったと言われるセリフです。

これに似たような感覚として、落合監督も似たようなセリフもあって、ホームランを量産する秘訣は、「上から叩きつけるように打つ」っていう表現をでした。しかし、実際にバットを振っているシーンを見るとどう考えても下から上に向かってフルスイングしていますw

とまぁ、これどういうことかと言いますと、感覚的にある動作を実行できている人は、イメージで自分の行動を捉えていることに紐づきますということです。

そしてこれ、ゲーム制作でも同じようなことが言えます。

◆テーマ
・曖昧な表現や感覚をゲームで再現できるのか?


「おもしろい」は千差万別だがフィルタリングできる


たとえば、ある人が「このゲームがおもしろい!」って言ってたとして、それを100名にアンケートとったとします。そうすると、RPGのシナリオが面白いとか、ゲーム性が面白いとか、アクションの要素が面白いとか、演出が面白いとか、ありとあらゆる回答が返ってきます。

つまり、「おもしろい」っていう表現は、回答する人の趣味、思考、好きなゲームのタイプによって感じるところが異なります。


おもしろいを言語化するためには?


ゲームで「おもしろい」を言語化して、ゲームデザインすることはどう活用すればいいのか?ですが、1つの回答としては、自分が作ろうと思っているジャンルが好きな人に意見を聞いてみること。

わかりやすくしたいので、例えばドラクエIIIのような超絶オーソドックスなRPGをスマホで作るとします。

その場合、ドラクエIIIのようなRPGが好きな人、またはRPGが好きな人の意見を徹底的に聞いてみることが、RPG好きな人にとっておもしろいと言えるエッセンス(最大公約数)を集めやすくなります。


ベテランゲームプランナーの脳味噌は暗黙知でできていることが多い

たとえばあなたが面白いRPGを作りたいとしていて、ベテランのゲームプランナーに話を聞いたとします。そうすると、よほど言語化に卓越したベテランプランナーでない限り、長嶋監督のような「スーッと来た球をガーンと打つ」というような表現を無意識で返してくることがあります。

その理由は、そのベテランにとってはどうあること、どう作ることがプレイヤーにとっていいのか?ということが暗黙知となっていているからです。

なので自分自身も感覚肌と天才感がない限り、その表現は汲み取ることができないです。

話はずれますけど、ビジネスの現場でもこういう齟齬はよく起きています。先輩上司が部下に対して「なんでこんなこともできないんだよ!」というシーンがあると思います。ただ、これ、上司では当たり前の経験と知識が部下にはないからです。

車の運転を意識してもらえるとわかりますが、初心者に対して高速で車線変更しまくりながら首都高を爆走して1周して返ってこいって言ってるようなもんなんです。

それでも面白いは感覚的なもの

面白いというエッセンスや感覚、感情はある程度因数分解して、科学的に再現できるとは思っています。

ただ、まったく同じ体験をプレイヤーが持てるかというと、それはやっぱり難しいのかなとは思っています。

それでも「あ、これはおもしろいね!」って言ってもらえる体験は作ることができますし、ゲーム製作者のみなさんは手探りで再現しようと思っていると思っています。

そんな感覚的でもあり感情的でもあり科学的でもある「おもしろい」を追求するゲーム製作者の仕事は永遠に終わらない仕事でもあり、永遠の遊びでもあると思って今も続けています。

さいごに

私の知り合いに、過去シューティングゲームの日本一(スターソルジャーの時代)という人がいるのですが、その人にどうやったらうまくなるのかということを聞いたのですが「気合」と答えていて、だめだこりゃって思ったことがあります。

人生ってこんなもんだなと思ったことがいまだに続いていますw



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