見出し画像

【彼女と別れるまであと70日】彼女に投資した金額の想定は?(ラブプラスサービス終了)

おはようございます。うきょうです。

2020/5/26に家庭用でも人気のあった恋愛アドベンチャーゲームのスマートフォンアプリ「ラブプラスEVERY」が8/5にサービス終了するという告知が突如アナウンスされました。

つまり「彼女と別れるまであと70日」という4コマ漫画がスタートするわけです(いや、ちがうけど)


画期的な人気恋愛シミュレーションゲーム


みんなが知っている「ラブライブ」ではないことをご承知ください。

ゲームの詳細は端折りますが、「ラブプラス」は、(伝説の恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」を世に出した)2009年9月3日にコナミデジタルエンタテインメントから「ニンテンドーDS」向け恋愛シミュレーションゲームとして発売された作品。

特筆すべき点は、ニンテンドーDS本体の内蔵時計と連動した「リアルタイムクロック(RTC)」による現実の時間や季節に合わせたリアルタイムの「恋愛生活」をユーザー体験できる点。

実際のリアルな日常と季節イベントを彼女たちと楽しめた他、キャラクターにタッチしたり話しかけるといったバーチャルキャラとの擬似体験がとても話題になった作品でした。(詳細はwikiみてね)

iphone(2008年発売)やAndroidのタッチ端末がない時代に、リアルタイムと連動し、かつキャラにタッチしたり音声認識によるコミュニケーション機能を、実際にユーザー体験として高いクオリティで持ち運べたことが本当に凄かった。

当時これをプレイしていた人は、「今日は彼女と過ごすんで」と飲み会などにDSなどを開きながらメシ食っているやつとかリアルにいた(汗)。

ゲーム内のヒロインは一貫してこの3キャラ。ゲーム内では年齢が増えないので永遠のフレッシュさで接触(?)できるのはキャラ好きにはありがたい。ちなみに私は寧々派。おっぱいが一番おおきい(一番右)
原作の企画者、内田さんという方は奇抜な企画を多く生み出すクリエイターとしても有名。「ランブルローズ」は絵師さん含めて大好きだった。


タイトルアナウンスの流れ

改めてプレスリリースを見直してみたんですけど、これガチでゲロ吐きそうな現場を想像できてしまってちょっと嫌になりました。

■2017年発表
2017/8/25 タイトル発表。ティザーサイト公開
2017/9/20  TGSに登場。年冬の配信を予定
■2018年延期発表
2018/6/27 2018年8月配信発表 & 事前登録開始
2018/8/28 8月に配信延期発表(無期限)
2018/9/21 2回目のTGS
■2019年リリース〜終了
2019/1/31 クローズドβテストの実施発表
2019/10/21 3回目のTGSなくしていきなり10/31にリリース発表
2019/10/31 サービス開始後、長期メンテナンス
2019/12/11 サービス復旧
2020/5/26 2020年8月5日に終了告知

およそ3年の月日です。これ一部なんですけど、それでも情報は圧倒的に少ないし、当時のIR情報からもコナミのソーシャルゲームの勢いは凄いので、IP(知的財産)を利用しろというようなお達しがあったのかもしれないですね。

実際、「ときめきメモリアル」のモチーフを意識したスマホ版(厳密に言えばオリジナル作だが)、「ときめきアイドル」も2018年3月20日にリリースして2019年1月15日に爆速でクローズしています。

これだけみても開発状況がどうだったのか、クローズの意思決定ラインの高さ、プロデューサーが会社からどんな突き上げを日々くらっていたのか想像できます。

そして相当な強行リリースを想定させられていたのか、完全なる想像ですが、プレッシャーは半端なかったんだろうなと思います。

そしてこれも完全なる想像ですが、開発期間3年以上、広告展開の規模なども含めて開発費、広告宣伝費を含めて軽く8〜10億円は間接費込みでかかってるんじゃないかなと思います。


このような状況のタイトルは99%復活しない


・会社の基準がめちゃくちゃ高い
 10億いかないとゲームじゃないっていうクレイジーな人も実際にいるし

・会社都合でリリース日が決められる
・スタッフが逆らえない
・プレッシャーが半端ない
・著名作品の看板を背負っている
・新しいことをやりすぎて技術が追っ付いていない
・決定フローの関係者が多すぎ
・でも現場に責任を負わせている


これがあるとどうなるのか?

・社内テスト通過用のアプリに力が注がれる
 見た目だけの評価になりがち
・適性な社内テストができなくなる
・結果、見えないプログラム部分がクソ状態になる
(サーバー含めて全部)
・結果、正常なβテストができない状況が起きる
・集客だけせざるを得なくなる
・強制リリースせざるを得なくなる
・デスマーチ発生
・終了フラグ

といった感じ。

仮にこれが起きたとしても、スマホゲームは現在のユーザー消化率が半端なく早いので、イベント、開発ストックが最低3ヶ月分ほどないと、いずれにしても1ヶ月やそこらで失速しちゃいます。

結果として投資した金額の回収期間が限りなく長くなり、長い負債を抱えるわけにはいかないのでクローズせざるを得ない、そういう結論になりやすいです。

結構どのメーカーも、スマホアプリの回収期間を極端に短くみすぎていると思います。おそらく2年とか下手すりゃ1年なんじゃないかなと。それって、ビッグヒットしなければ即終了ロードなんですよね。

まぁ今のご時世、開始2〜4週間ほどで結論がある程度出せます。


英断できるタイトルは、発表前に最低限の社内評価版を触ってみてこれダメだ!となったらプロジェクトを潰す決断をしますが、こうなる事例は多いですね。

特に上場企業はラインナップを想定で発表して、売り上げの見込みまで仮で作って、対外アナウンスする場合もあるわけですから、正直現場は地獄意外のなにものでもないですよね。

投資が大きいプロジェクトほど、小さくテストをして大きくしていくのがセオリーですが、ゲームは初期で作るものも大きくしがちなので、小さくテストになるまでにそこそこの投資になっていることが多いのがやっかいですね。

そろそろやり方を変えていかないと、厳しいのではないかと思っていますが、キャラクター系ゲームの場合はその小さなテストはできます。


その後はどうなる?


これはどこもそうだと思いますが、ゲームでの著名タイトルや著作物のスマホ版の開発失敗はかけた費用と現場の士気が著しく下がる(リアルに言えばみんなやめてしまうことが多い)ために、次にまたスマホで同社より出ることはほぼ0に近いぐらいなのではと思います。

仮に同じタイトルの冠で発売される場合は、どこかの気概がいいメーカーとプロデューサーが権利をお借りしてリリースされるときでしょう。

一方で家庭用で復活するなんてことはゲームの場合はあるかもしれません。

イチゲームユーザーであり開発者である身としては、できる限り命が途絶えること自体が開発元も、お客様やファン、みんなに不利益になりますので、できる限り続けられるサービス作り、納得できる採算性、関係者との契約面を含めて、今後も尽力していきたいと考えています。

とりあえずラブプラスプロジェクトに関しましては、おつかれさまでした。これからも思い出をたくさん作っていってほしいです。(ラブプラスの写真は保存されないけど、地獄かw。サーバ関連コスト高そうだなw)



いただいたサポート費は還元できるように使わせていただきます! 引き続き読んでいただけるような記事を書いていきたいと思います。