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仕事しない世渡り上手なPが周りを蝕む環境。 理不尽な同僚との戦いをプロデューサー視点で描く(ゲーム in the ノンフィクション)

これは、あるゲームプロデューサーが体験したことを元にしたフィクションである。

社会とは理不尽である。

時に、一所懸命頑張って最高売上を出しても評価されずにボーナスが出ない人もある。

一方で、最低の売上、というよりも、あえてオンプロジェクトにせずにずーっと開発だけをし続けて評価される人もいる。

そんな理不尽がまかり通ることが実は世の中ゴマンとある。

それはゲーム業界でも同じことである。

今回は、そんな理不尽がまかり通ってしまう、ある上長とあるプロデューサーとの戦いに焦点を当ててみる。

伝えたいことを先に書いておくと、

いかなる職場においても、”いい人”になって身体を壊すことほど無意味なことはない。必ず評価されるところ、評価される環境を選べるようにアンテナを張り巡らして、行動、スキルを蓄積することである。


あるゲーム会社の現場にて

それはあるモバイルゲームのプロジェクト。チーム規模としては全部で20名規模のチームがA~Cと3チームほど。

あるプロデューサーはその中のAチームを担っていた。とても働き屋で責任感が強い。とても真面目で来る仕事はすべて請け負っていた。

この3チーム。リーダー同士で売り上げやユニークユーザー数を共有していたが、常にそのAチームのプロデューサーに仕事が集中することが多々あった。

共同でキャンペーンを貼ることなどもあり、共同のWeb、共同のキャンペーンコードなどを作ることなどもあった。

しかしながらこのAチームのリーダーがなにかしらと率先して先導を切ってはテキパキと活動をしていた状態だった。

悪く言えば馬鹿正直。よく言えば責任感が強い。そんな彼はある時にババを引いてしまうことになる。

新規プロジェクトの開始

A~Cチームは来年に向けて新規の企画を動かそういうオーダーが来た。今やっているプロジェクトの売り上げや推移はそのままに、研究開発をしながら企画会議でプレゼン。

その後にGOになったものの企画を現チーム+新規採用で開発を進めるというオーダーだった。

社長会議。

A~Cチームはそれぞれ企画を出し、簡単にモック制作まで進行することになった。その中でAチームのプロデューサーとBチームのプロデューサーはそれぞれ強みを活かして、AチームはRPG。Bチームはシナリオゲーム。Cチームはカジュアルゲームを提案した。

企画に関してはそこまで厳しくはない社風だが、現プロジェクトの売り上げにはかなり厳しく、数字をひたすら追求されるので気が抜けない。

そんな中で新規制作を進めなくてはならない、ということについてだが、これを良しと受け止めるのか、地獄だと受け止めるのかは当人次第である。

Aチームのプロデューサーは、現在のサービスのその後が心配であることから、もう1つの柱を作るべく奮闘していたためにやる気に漲っていた。

一方Bチームのプロデューサーはとりあえずやろうというイメージで進行。

しかしCチームのプロデューサーはいわゆるやる気がないタイプの人で、世渡りがうまいタイプ。その会社歴も長く、いろいろな人とコネクションを持っているタイプ。権限を持つ人とのコミュニケーションが上手で、開発が遅れたりしてもなんとなく許されてしまうタイプ。

AとBのプロデューサーはこの人はこういう人だよなと思いながら日々を悶々と過ごすことになるが、目の前の業務に対して精力的に活動をしていた。

1年後

いろいろな追い風があってAとBチームの売り上げは月商では最高の売り上げを出した。

しかしCチームのプロジェクトが激しく落ち込んでいたために、総合的なチーム評価としてはB-となった。

さらには新規開発案件がぶら下がっているので費用がかかりすぎということで利益が飛んでしまって、チーム全体としては赤字として評価。

個別メンバーに対しては頑張っている評価をつけることができたが、プロデューサークラスにおいてはマイナス評価となってしまった。

プロデューサーの評価は0

会社の評価はそれぞれだが、本プロジェクトにおいては3つの評価軸が存在していた。

1つめ。

チーム内での評価。売り上げと利益の関係性。さらには前年比よりも伸びているのか?

2つめ。

チーム全体の評価。チーム全体の売り上げと利益の関係性。さらには前年比よりも伸びているのか?

3つめ。

本社としての評価。会社全体の売り上げと利益の関係性。


これ、何を指しているのかお分かりだろうか?


つまり、個人がどんなに頑張っても2と3の評価が悪いと評価が著しく悪くなるということである。

実際にこの時の加重は、
①チーム:②チーム全体:③会社全体 = 2:3:5 

会社としての仕組みでは当然なのかもしれないが、働く個人としては非常に報われないの一言に尽きる。

結果どうなるのかについては想像がつくが、プロデューサーというのはこれをもろに受けてしまうので、②と③の比率がでかいと強烈に報酬が下がってしまうのである。

仮に、テキスト上の評価では「よくやったね」レベルだが、報酬としてはなしにすらなる。

新規開発の進捗はどうか?

さて、話変えて先ほどの新規タイトルの進捗はどうか?という件だが、AチームとBチームは新規の企画が着々と進んではいたが、チーム全体の業績不審と上長の降格(本社から送り込まれた外国上長にさし変わり)ということで新規プロジェクトも立ち消えた。

いや、実際にはCチームの進捗が芳しくなさすぎた上に、費用を使いすぎていて赤字が膨れていたことに気づき、新規タイトルのプロジェクトが立ち消えたということになる。

その後どうなったのかというと、Cチームは解散したが、上手く他部署に散り散りになって再配置。しかもCチームのプロデューサーは特定上長のお付き役となって評価までされていたことを後で知った。

その春。

Bチームのプロデューサーは疲弊して退職。

チームは離散して既存タイトルのサービスもクローズになった。

一方Aチームのプロジェクトは新しい上司に日々激詰めされる中で孤軍奮闘をしてしまったが、メンバーの士気は駄々下がり。そんな中で仕事を進めてしまったことからストレス過多で突発性難聴を発症してしまった。

1週間ほど休職したのち、戻ってきたときには、Aチームのプロジェクトは本社の決定で他の会社に売却が決定され、Aチームのプロデューサーは別会社に転職するか、その会社へ残るのかの進退を迫られることになった。当然退職することを選択した。

ちなみに、実はここにDチームというのもいた。

そのDチームは正義感が強く、Cチームのプロデューサーの働き方に不満が大きく一度戦ったことがあったが改善されなかった。

そして議題をマネージャー会議にも議案されたことがあったが、そのDチームのプロデューサーは間も無く別のプロジェクトに飛ばされたのちに退職することとなった。

ここで何が起きたのかはまったく理解できないが、聞いたところによると自主退職だと聞いた。


理不尽な生き方をしないために

毎度のことだが、Aチームのプロデューサーとは私のことである。

私はストレスには強い方なのだが、寝不足状態で過度なストレス下で働いた結果、身体が先に悲鳴を上げるということが起きてしまったために気づくことができたケースである。

これはある意味不幸中の幸いだと振り返っているが、一番よくない病気は鬱になり希望を見出せなくなる時だと経験知から確信している。

実際にそうなった人を数多く見てきてしまったし、最悪別の業種だったが本当に命を落とした方もいる。

人は誰しも評価されたい

世の中仕事をしなくても評価される術があるのは周知の事実だが、こういう人がのうのうと生きていて、理不尽を被る正直者は一人でも減るべきだと考えている。

しかしながら私たちはあることを知らないだけで損をすることは多くあるし、立ち回り方ができないだけで損をすることはとても多い。

何回かに分けて書いてきたノンフィクションシリーズは、理不尽な人とできる限り関わらないこと。評価される人とできる限り付き合うこと、指示を受けること、報告を行うことの大切さを解いている。

それは体を壊して好きだったものが嫌いになったり、トラウマになることなどを避けることもあるが、頑張った分だけがしっかりと反映、評価されるような時代になることを望んでいることもある。

老害になるなとは思えども

私も40代になったことから業界ではベテランや熟練者の枠にハマることは間違いない。

故に過去の知見や経験で物事を判断したり、第三者に助言をすることもあるが、逃げ道や考える機会、テストやチャンスまでを奪うべきではないと考えている。

ましては人を蹴落とすこと、貶めること、陰口を叩くことなどはもってのほかだが、正論や性善説だけでは痛い目を見ることも理解はしている。

だからと言ってそれをしていいのか?についてはNOと言えるが、少なくとも正直者が馬鹿を見ないための悪知恵と戦える情報、人脈は培えるようにいろいろなことに目を光らせて、やりたい創作を継続できるようにしてほしいと願う。

今日はゲーム開発とはほぼ関係のない話だが、とても大事なことなので誰かのお役に立てることを祈ります。

いただいたサポート費は還元できるように使わせていただきます! 引き続き読んでいただけるような記事を書いていきたいと思います。