Ukyo Nagata/永田右京

「公共交通の構造転換」をコンセプトに、交通政策の設計、研究を進める。現場で事例を作るこ…

Ukyo Nagata/永田右京

「公共交通の構造転換」をコンセプトに、交通政策の設計、研究を進める。現場で事例を作ることの重要性は理解しつつも、全体のフラクタル構造を理解し課題を突き止める姿勢を重視する。所属:慶應SFC、公共コミュニケーション学会、ひらく研究所etc...

マガジン

  • noteでしりとり!

    • 3本

    一記事につき一つテーマを決めて記事を投稿し、そのテーマでしりとりをしましょう。 フェイスブックでの自分の投稿にコメントをして参加完了です。

  • 天気の子:考察

    「天気の子」を12回鑑賞し、そのほか文献を読んだ結果の考察について、つらつらと書き連ねております。ネタバレ注意です。暇つぶしにご覧ください。

最近の記事

  • 固定された記事

公共交通の「公共」性を問い直す~「批判的理性」を軸とした公共性の再生~

 激動の2020年度が終わろうとしている。感染症の拡大も含め、公共交通政策を考える上では利用者の大幅減、クラスター対策、などが叫ばれる一年であった。私自身も新たな視点を得て、「新しい公共」と交通との関係性について考え直す機会を、継続して得させていただいている。  今回のnoteでは、この1年間である程度ため込めた知見を下敷きに、私自身の問題意識、そして岡野秀幸先生以来の議論となる「公共交通の『公共』」についての考えを、ここに纏めせていただきたい。 公共交通へ公共を導入する

    • 【ご報告】83財団生として採択されました

      この度、私永田右京は一般財団法人「八三財団」(本社:神奈川県小田原市、以下財団)の展開する次世代育成事業「スタートアップ支援 / スタートアップ奨学金」において、第1期奨学生として採択されたことをご報告いたします。 私は「公共交通の構造転換」というビジョンを設計しており、これに基づいた交通施策について神奈川県西部、また南部にて展開せんと活動を開始しております。この活動において、財団は非常に魅力的なリソースを保有しており、この度ご協力をお願いした次第です。 財団は、県西部に

      • 市民参加の難しさ、プラットフォームの可能性と一抹の不安と ~LINE Smart City Meetup #5 記録~

        LINE Smart City for Fukuoka の南方様より、私が前回書いたノートに対してフィードバックをいただいた。 ここでの以下の指摘について、私はあらためて気づいたことがあった。そこで今回は、この指摘を踏まえ、ポジティブな論調で今回の感想をまとめておきたい。 僕らが解くべき問いを、レベル6〜8を実現するサービスはどんなものか? ではなく、レベル1→8の変化に連続性はあるのか?に置き直したのです。 永田さんご指摘の通り、その連続性についてはまだよくわかってま

        • LINEと公共と市民参加と ~LINE Smart City Meetup #5 記録~

           2021年2月18日~19日において、LINE Smart City Meetup #5 に参加させていただいた。この体験について、今現在でのまとめと、今後への還元について記録しておきたい。 LINE Smart City for Fukuokaとは  LINE Smart City for Fukuoka は、LINE Fukuoka における Smart City 戦略室(以下戦略室)により進められている、福岡市全体における行政と住民のコミュニケーション政策である。戦

        • 固定された記事

        公共交通の「公共」性を問い直す~「批判的理性」を軸とした公共性の再生~

        マガジン

        • noteでしりとり!
          3本
        • 天気の子:考察
          5本

        記事

          都市型索道の可能性と課題について:横浜の事例から考察する

          本ノートは、石橋洋人氏主催「noteでしりとり!」1回目の記事となります。テーマは「リフト(索道の意)」です。 近年、フィンランド発の政策コンセプト『Mobility as a Service (MaaS)』と言うかたちで交通政策目標が具現化され、様々な交通再編、建設のムードが高まっている。多摩都市モノレールの延伸も然り、高輪ゲートウェイ駅を中心とした「東京ゲートウェイ構想」も然りである。これら構想の中では主に、公共交通網の充実と歩行者空間の確保が叫ばれている。 一方で、現

          都市型索道の可能性と課題について:横浜の事例から考察する

          Flightradar24からCaratsっぽいデータを自炊する方法

          今回は、私自身が研究に利用しているデータ取得方法を紹介する。航空機が実際に飛行するデータを、Flightradar24というサイトから取得する方法である。今回はPythonを利用し、11月3日にデータ取得を行っているものを、そのまま記述するものである。 将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)は、特にアジア太平洋地域での航空需要増大に合わせ、航空交通流に関する研究の裾野を広げつつ主要目標を達成しようとする国土交通省のビジョン、またそれを達成するためのプロジ

          Flightradar24からCaratsっぽいデータを自炊する方法

          「交通インフラ創造社会」:ファブリケーションと交通

          今回話題にするのは、私が研究テーマの一つとしている、ファブリケーションと交通である。この論考では、現在の交通がどのような考えのもとに発展を遂げようとしているのか、その基本的な考えである「MaaS」に関して述べる。そのあと、そのコンセプトに合わせた交通発展において、どのような思考が必要かについて述べたいと思う。 現在の交通において一番ビビットであり、私も取り組んでいるMaaS(Mobility as a Service)というコンセプトは、交通をサービスとして提供しようという

          「交通インフラ創造社会」:ファブリケーションと交通

          Point Merge Systemについて

          今回のコラムでは今話題(?)の「ポイントマージシステム」についてお伝えする。 ポイントマージシステムを見る前に、まずは航空管制とは何か。 航空管制とは、航空機を離発着させる、運航する際に、航空法96条に基づいて国土交通大臣の代理として管制指示を与える存在のことを指す。具体的には、航空機の旋回、上昇、降下、航空路の選択、追い越しなどなど・・・航空管制の定番文句である「cleared for take-off」なども、法制度上は国土交通大臣による指示として受け取られるものである

          Point Merge Systemについて

          参議院選2019の選挙戦に際して思うこと

          ※メモです。雑多。 現在の政治は、情報のソース、クオリティーにおいて判別がつきにくい世の中になっている。ぶっ潰す対象だと言うNHK、視聴率を稼ぐべくビビッドな話題を提供する民間放送、140字でしか表現できないTwitter、読まれない長文媒体。このような情報の氾濫を考えれば、人間は自分の信条にあった情報を選び取るようになり、それが自分の意見を補強する「確証バイアス」の世の中になる。つまり、客観的な比較ができる環境が利用されず、集団的な極化現象に巻きこまれることは容易に想像で

          参議院選2019の選挙戦に際して思うこと

          直感的意思決定:ミャンマーで考えたこと

           ミャンマーで行なったワークに、「なぜ人間は働くのか」といった類のワークがあった。私自身は研究職を目指す身であるし(実現可能性はともかく)、仕事というものを「人間の社会性が生み出した生存戦略」と位置付けていたのだが、そのほかの意見も多く、中には「お金を稼ぐ」だとか「自己実現の達成」といった意見もあった。社会において、自分の意見は絶対ではないのだ、当たり前ながら。このノートは雑多である。  今回のスタディーツアーに参加した、大きなテーマの一つは、「自分の中にあり、自分を縛る『

          直感的意思決定:ミャンマーで考えたこと

          「宗教性」と意思決定;ミャンマーで考えたこと

          「君は愛されるために生まれた」  小学校の時に、よくこの言葉を言われたのを覚えている。しかし私は本当にそう適用されるのだろうか?愛されるために生まれた、と言うことは返報原則的に考えれば、私も他人を愛さなければならないことを意味する。しかし私が他人を愛することは、相手を確実に不幸にしてしまうため不可能に近い。と言うことは私は、ホモ・サピエンスではあるけれど「人」ではないのだろうか…などと考えること幾度も。  ミャンマーで感じたことについて、書き残しておきたい。テーマは表題にあ

          「宗教性」と意思決定;ミャンマーで考えたこと

          Human Performance in Air Traffic Management Safety EUROCONTROL/FAA 2010年 の勝手なサマリー

          航空管制の研究をし出したので白書や論文を読む機会が増えた。ただ英語がきついので、まとめながら読んでいる。せっかくまとめているのだから公開するか…ということで書いてみた。把握違いがあれば指摘をお願いいたします。(適当がなせる写真の業) 引用元となる白書のURL:https://www.eurocontrol.int/sites/default/files/article/content/documents/nm/safety/hp_white_paper_2010_low.p

          Human Performance in Air Traffic Management Safety EUROCONTROL/FAA 2010年 の勝手なサマリー

          情報化と地方〜情報化の効果が薄い訳〜

          結局、情報の使い方は考える必要がある。特に今後は、 ある程度成熟した社会において、社会全体の価値は伸ばせないのではないか。そういう話は前回投稿した。だから情報イノベーションは新規需要を作り出すより寧ろ、需要の転換を引き出すにすぎなかったのではなかろうか。 実際日本では、ネットワーク産業の隆盛が1990年代から進んだが、前回お伝えしたようにGDPは上がっていないという。楽天ができ、So-netが誕生、第二電電も拡大した。それでもなお、社会全体の価値は上がっていないのだ。

          情報化と地方〜情報化の効果が薄い訳〜

          地方を考える中で、経済成長について思ったこと。

          経済成長というのは、果たしてよいことなのだろうか。 これからの経済成長を思考し期待する人はいる。彼らは大抵、新しいリソースが増えるので、それを使えば新たな成長は可能だという。今日大学でお話を伺ったマネーフォワードの辻社長も、そう考えていらっしゃるようで、言葉の端々にそれを感じられた。自分の関心領域を持ち、どこのレイヤーを抑えるか認識して行動することだ。そうすれば新たな価値を作り出せる、と。 しかしよく考えてみたい。本当にそうなのだろうか? 我々は同等の価値に金を払い、成長

          地方を考える中で、経済成長について思ったこと。