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旅の御縁は 乙なもの 浮世雲な 旅の宿

じっと顔を見つめ

不思議だ 不思議だと 
繰り返す女将さん….

“釣れたのは 河豚一匹” 

宿に戻る

冷え切った身体を
麦飯石の温泉で温める


海辺の宿
海女と漁師が営む宿 
民宿である

食事処の扉を開け...
しばらく 固まる

ここは 竜宮城だ....
竜宮城は大好きである


鯛や ヒラメが舞い踊る
伊勢海老三昧....

正月だとはいえ
素晴らしい

果たして 食べきれるのか?

五ヶ月の面会謝絶
退院後 食べたい物は?

“新鮮な魚のお刺身”だった

ひたすら 食べる
兎に角  食べる

美味しい お酒も いただく

割烹で修行された若旦那
自ら 獲った魚達
同じ漁師仲間だ


次から次へと
肴が並ぶ

これは じっくり ゆっくり
愉しもう

女将と話しながら
酒が ススム

“それだけ呑んで酔わないの?”
女将は 呟く

“これだけ呑んだら 
頭が冴えて 冴えて
覚めていくのである”

高い高い点滴打って 余計に酔わなくなってしまって….

“不思議な人だ”

女将は呟く

“良かったら 
特別室を 観てみますか?”

非日常
真っ赤なシートは 好きである

全ての特別室を 魅せていただいた。

民宿の域を超える

非日常
大人の隠れ家
ここは良い

また 食べながら 飲みながら
色々話す

あちこち旅をして 
また行きたくなる宿について…

この港町は 何度も何度も
訪れている町

日の出が美しく
夕陽が美しく

月夜には 月の道が 
見える町

写真を 撮りに訪れる町でもある

こんな宿が あったなんて…

女将 若女将との 
ワイワイ話は
続く

民宿の良さなんだと 思う

しこたま呑んで 部屋に戻る。


川の字に 敷かれた布団

なんだか とても懐かしい

冴えて 冴えて 眠れない
坊達の いびきで さらに寝れない

…….

気がつくと あさぼらけ


“いびきが うるさくて寝れなかった”
皆が 口を揃えて言う...

それも いい


旅の御縁は 乙なもの

宿であり
食事であり
景色であり
風呂であり

そして 人である

見送りの時にも 言われた
“何だか とても 不思議で 不思議で”

きっと ギランバレーで
何度も死んだからだと
思いますよって....

動物だし…


平安な暮らしをする縄文人
浦島太郎な浮世雲
旅の御縁は 乙なもの

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