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海外旅行の代わりに、世界中の児童書を読むなんてどうでしょう?  ――編集者おすすめの1冊

なかなか海外旅行に行けない今日この頃。様々な国の文化に触れることができるのが海外旅行の醍醐味のひとつですが、翻訳作品を読むことでもそれに近い体験ができるかも? そこで今回は、読めば旅をしたかのように楽しめる作品や、日本から世界へと視野を広げるきっかけになるような作品をご紹介したいと思います! 今回登場するのは、こちらの7作品。気になるタイトルを見つけたら、見出しをクリックしてみてくださいね。 【From タンザニア】 おもしろすぎて心臓が高鳴る! 『しんぞうとひげ』 (再

雲のはたて

石牟礼道子さんの全集を、よく読む。 ふれるたび、思い出すということを思い出す。 石牟礼さんは古いことばをよくつかう。 (能く遣う、とも言える。能力として、とき放っているというか) 好んでつかわれている印象的なことばが「はたて」。 はたてとは、果てのこと。漢字としては、涯をあてたりもする。 遠ざかったはるかむこうの果ての果て、いちばん遠くにあって、見えなくなってゆくような、消え果ててしまうような奥の奥、そんな場所。 石牟礼さんが「はたて」というとき、その果ては深遠な響きを持

詩)優しい人になりたい

私は人に優しくする 優しくされないと駄目になる自分を 誰よりもわかっているから 人に優しくするのは自分の為 私は嘘をつく 真実は時に残酷で誰も喜びはしないから 嘘を幾つも重ねて真実を作ろうとする 嘘は幾ら重ねても真実にならないとしても 私は優しい人になりたい 私は真実を伝える人になりたい 誰からも愛されずに独りになるのは怖いから 何度も嘘をついて優しい人のふりをする 自分の為にしか涙を流せないのだとしても 今日も歪んだ笑顔で優しい人を騙す

北斎の「奇想の富士」ベスト5を選んでみた。

葛飾北斎の代表作といえば、誰しも「冨嶽三十六景」を思い浮かべることでしょう。しかしながら、「冨嶽三十六景」が完結後すぐに刊行された『富嶽百景』はそれほど有名ではないかもしれません。 理由としては、画面がモノクロであるため、華やかさに欠けること。また、絵本という冊子形式であるため、展覧会では見開きしか紹介されず、記憶に残りづらいことなどが挙げられます。 しかしながら、どれだけユーモラスな視点で富士山を面白く描いているかという点で比較するならば、『富嶽百景』は「冨嶽三十六景」

それぞれのキッチン

引っ越しの後かたづけといったら、どんな順番が良いんだろう。 そんな疑問を持ったまま、とりあえず台所に取りかかった。 先週から住みはじめたアパートは玄関を入るとすぐに台所という間どり。 だから今後、荷物の配達や勧誘などがあってドアを開けたらすぐに台所がまる見えになる。 それに私が外出するときも台所をまっすぐ通っていかなければならない。 そして今、その玄関のあたりにカラの段ボール箱が山と積まれている。 いくつかの段ボールは収納のためにとっておくとしても、ほとんどは廃棄になる。

明治期に敷設されたJR大村線と長崎本線旧線は、鉄道人達の熱きスピリットと長崎の歴史を今に伝える貴重な遺産

平成26年当時、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が大いに注目されていました。 名称がそのまま内容を表していますが、明治期における急激な近代化を成し遂げる要因となった「製鉄所」「造船所」「炭鉱」「紡績工場」「砲台」「教育施設」「軍養成所」などがその構成要素であり、とりわけ大陸に近く、採炭地でもあった九州西部には多くの「構成遺産」が残されています。 言うまでも無く「鉄道」は、それらの構成要素をつなぐ重要な存在だったことは疑う余地がありません。 船舶もまた重要な役

看板娘

カフェ、レストラン、はたまた美容室など、看板犬というものが活躍しているお店は数知れず。最近ではフクロウが店頭に鎮座してファンに取り囲まれている光景を目にすることもある。話題になりやすく客寄せの広告塔として良い働きをしてくれるようだ。人間の看板はというと男子よりは女子。往々にして看板娘ということになる。「あのラーメン屋には可愛い子がいる」とか「いつも行くコンビニのいつもの時間に行くとあの可愛い子がレジにいる」といった具合だ。食事や買い物の目的にプラスして別な楽しみが付随すれば多

034.歩道橋の開通式

昭和43年(1968年)の春、通学路に歩道が完成しました。青と緑のペンキを混ぜたようなターコイズブルーの歩道橋でした。当時小学校3年生だった私には、その鉄骨の塊がとてつもなく大きく感じられました。先生や親たちは「良かった、良かった、もうこれで安心」と口々に言っていました。 当時は「交通戦争」などという言葉も現れ、通学路にある「舗装道路」も交通量が増えていました。昭和40年(1965年)になるまでは、近所の道は雨が降ったらぬかるむ「砂利道」がほとんどで、アスファルトの舗装が施

晴れ晴れと心も海も冬の凪

アンパンマンになれなかった

私が幼い頃、アンパンマンは、 まだテレビアニメの主人公ではなく、絵本の中のヒーローだった。 絵も、穏やかでやわらかく、 内容も、強い道徳観を感じさせる話だったような気がする。 母が買ってくれた絵本の中に、アンパンマンがあった。 他にも絵本を買ってくれたはずなのだが、他の記憶を消すくらい、 アンパンマンの記憶は濃厚だった。母の思い入れを感じたからである。 母がうやうやしく、本の表紙をめくり、私に読み聞かせはじめた。 いつもと違う雰囲気に、真剣に聞かなければならない圧力を感じ

早朝座禅はいけないけど寝起き4コマ ひゃくきゅうこめ

色葬のPalette

 「―――美術室には幽霊がいる」  いつしか、私の通う高校にはそんな噂が立ち始めていた。  そもそもなぜこんな噂が流れ始めたのかを私なりに調べてみたところ、放課後にいつも同じ位置に制服を着た少女が微動だにせずに毎日のように座っている姿が目撃されていたからであった。  どうもその話は下級生、つまり今年入った高校一年生から浮き出た話であって、それが噂に噂を呼び、学校で微かに話される怪談のように囁かれていた。  だが、所詮は思い込みによる妄想で、いずれ風化していく噂だと私は分

たくさん歩く(愛岐トンネル群1) #28

11月30日、たくさん歩くの最終日。 雨乞岳に登った翌日、そんな簡単にフィナーレを飾るのにふさわしいところは思いつかないよって思っていたのですが、近場でなにかないかなぁ?ってネットを検索していて気になった場所がありました。 「愛岐トンネル群」という春日井市にある場所です。 普段は立ち入り禁止となっているのですが、春と秋に数日だけ公開されるところになります。 入場料は100円でしたが、安いもんです。 Webで見かけたのが11時過ぎ、すぐに準備して12時過ぎ、自宅から40分ぐら

音楽の事も考えつつ寝起き4コマ ひゃくごこめ