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まちづくり会社中条中学校社のあゆみ(中編その1)

胎内市立中条中学校3年生がまちづくり会社中条中学校「社」として地元商店街の活性化に取り組んできた本プロジェクト。
プロジェクトの狙いや経緯をまとめた前編に続き、中編となる今回はアウトプットに至るまでの中学生たちの取組経過などを記していきたい。

全体の行程


まずは、ざっと会社全体の流れをば。


郷土愛・地域活性化についての学習(5月下旬)

オリエンテーション・課題付与(6月上旬)

本町通り商店街の学習(6月上旬)

各クラスでまちあるきコースを造成(6月下旬)

地元専門家から各課で必要となる専門知識の習得(7月上旬)

各課作業開始(7月中旬)

参加者募集開始(10月中旬)

本番(11月21日)

商店街のことを学び、自分たちなりに商店街の良さをまずは実感する。その後にコースづくりをクラス全体でやり、コースのウリ、コンセプトをクラス全体で共有し各課の作業に入っていく流れだ。
いずれの課においても、地元商店街のウリがどういったもので、それがお客様にきちんと伝わるにはどうすれば良いのかを、考えて欲しかったからだ。
半年間のプロジェクトで、基本的に毎週金曜の5・6限が総合の時間とのことだったが、夏休みや他の行事等の関係で、中学生がプロジェクトに避ける時限数はそれほど多くはなかった。
手元の手帳(Gooleカレンダー)によれば中学生達がプロジェクトに実質的に避けた時間は20時限程度だっただろうか。

さて、次からは、各行程を順次振り返っていきたい。まずは本取組の前章となる郷土愛・地域活性化についての学習から。

郷土愛・地域活性化についての学習

まちづくり会社中条中学校社として商店街の活性化に取り組んで行く前段に、すでに胎内市でこうした取組を長年継続させているお二方から、その取り組み内容や原動力などについてお話をお伺いする機会を設けた。

筧 智也さん

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長年、板額御前(巴御前・静御前と並び日本三大御前のひとり)の伝承活動を行う「板額会」の活動を続けてこられた。

佐藤 陽志さん

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「胎内自然学校」という胎内の自然を生かした観光教育活動を実施していらっしゃいます。
この日は、こちらのお二人からは、胎内市を活性化させるには?といったお題で生徒たちに考えてもらう時間も設けられた。

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(生徒たちが考えた活性化策)


オリエンテーション


さて、日を改めて、いよいよまちづくり会社中条中学校社としてスタートを切る。こちらについては、前編の「キックオフ!」で説明させていただいた内容と重複するのでごくごく簡単に。実施した内容は概ね以下のとおりだった。

・まちづくり会社中条中学校社のミッションについて
・ミッション達成のため、取り組まねばならない事項について
・部署編成について

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中学生達と初めての顔合わせだったこの日。私は、大人たちの前で研修や講演をする機会も少なくないが、中学生は反応が素直で分かりやすく、話しやすかった記憶がある。一方で、先生達に多少戸惑いがあるのは肌で感じていた。

本町通り商店街についての学習

座学編

オリエンテーションと日を同じくして、本町通り商店街の概略の座学を実施した。
「路地連胎内」というまちあるきグループでガイドを務め、市の観光ボランティアガイドとしても活躍する布川拓男さんを講師にお招きし、宿場町としての歴史をご説明いただいた。

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(布川さんから提供いただいた資料)

本町通り商店街は中条中学校から徒歩5分の距離にあり、通学の際などで毎日の様に訪れている生徒たちもいるだろうが、知らないことばかりだった様子だった。

実地学習編

さてオリエンテーションから日を改め、みっちりと現地見学である。いよいよ実際に商店街に行き、座学との突き合せをしたり、商店街の方々にヒアリングしたりと自分たちの目と耳で商店街の現状を学習してもらおう!と考えていたところに予想外の事態が。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、学校から「現場NG」が。
商店街の現場は中条中学校社が取り扱う「商材」である。商材を実際に手に取って見ることができないのでは、商品を作る上でも、PRする上でも正直大ピンチだ。
この行程を経ないまま、プロジェクトを進める訳にはいかない。プロジェクトの目的・効果の上でも根幹を揺るがす危機だ。

そこで、苦肉の策で考えたのが「解説動画を作って見せる」こと。
現地に行けない代わりに、動画で見せようというものである。
前出の布川さんにご出演いただき、本町通り商店街の主要なポイントを解説してまわる動画を撮影し、これを生徒たちに見せた。

しかしやはり、動画は動画。急遽作成したクオリティがったため現地学習での学びには到底敵わなかった。
しかも、動画は映っている以外の風景は見ることができない。中学生の目でみた「これ面白そう!」という自発的なウリが生まれる余地がほぼ無い。
この動画学習を終えて、中学生達の多くは
「ウリにすべきことは分かったけど、ピンとこない」
といった状態だったと考えている。
写真と文字だけで知った食材から料理を考えてPRしろ、と言っているようなものだ。

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(写真は動画のキャプション)

このことは、懸念どおり、このあとの行程に大きく響いていく。
もちろん、悪い影響もあったが、実は逆に良い影響もあった。


各クラスでまちあるきコースを造成

大いに心配な状態ではあったが、行程を止める訳にはいかない。
商店街を学んだあとは、各クラスで「まちあるきコース」を考えてもらった。
ピンとこない状態であったにせよ、先生達の指導力もあり、クラスごとにコンセプトの異なる4つのコースが誕生した。

1組:「宿場町中条」としての商店街を解説するコース
2組:名所巡りに加え「見て、撮って、食べて」を楽しめるコース
3組:網の目のように流れる「水路」を解説するコース
4組:「旅行家イザベラバードが見たであろうまち」を解説するコース


この時点でコース名も一応決まっていたが、まだまだ(仮)のものであったため、ここではコースの趣旨の照会にとどめさせていただく。
どれもコンセプトとしては面白そうであり、とりあえずは一安心した記憶がある。

地元専門家から専門知識を習得

さて、いよいよコースが決まり、各クラス各課に分かれての作業となる。
と、その前に、各課で必要な基礎知識を習得する時間を設けた。
狙いは前編でも述べたとおりである。
ここでは、各専門家の皆様のご紹介と、概ねの学習内容を述べていきたい。

ガイド課
講師は、再三前出の布川拓男さん。まちあるきグループ路地連胎内の一員であるほか、胎内市観光ボランティアガイドでもある。この日は・・・

ガイドとしての解説方法のポイントの講義
講義を踏まえ、実際に台本をつくってみる

という学習を行った。

フードコーディネート課

こちらの課はまちあるきとセットとなるお持ち帰り用お弁当を制作するチーム。ガイド課とともに商品造成部隊だ。
講師は本番で実際にお弁当を制作していただく4つの割烹・料亭さん。
料亭南都屋さん、割烹常の家さん、割烹魚太さん、割烹ときや旅館さんだ。
4つの料亭・割烹が4クラスそれぞれのフードコーディネート課に張り付いていただいた。この日は、

各料亭・割烹の自店舗の歴史・こだわり、本番である11月中旬頃のおすすめの食材についての講義
講義を踏まえ、弁当メニューの企画書の作成

を行った。

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(料亭南都屋さん)

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(割烹魚太さん)

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(割烹常の家さん)

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(割烹ときや旅館さん)


現地へ行けていない状態ではあるが、こちらのチームでは料亭・割烹さんが逆に学校に訪れていただき生の声を聴くことができた。
実際にお弁当を作っていただく料亭・割烹であり、この日以降も何回もやりとりをする関係となる。

ウェブデザイン課・フライヤー課

webチーム・フライヤーチーム説明資料

こちらについては私が担当した。

ウェブ・チラシを制作する上で押さえておくべきことの講義
ウェブ・チラシのラフを描いてみる

といった内容で実施をした。

フォトグラファー課

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講師は胎内市の観光パンフレット制作にも携わっていただている広告会社の金子広樹さん。
写真撮影に関する講義
お弁当の物撮りの練習
などを実施した。

プロモーションビデオ制作課

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講師は胎内市観光協会の神田圭奈さん。
映像制作会社、胎内市地域おこし協力隊を経て現職。昨年はリニューアルオープンする樽が橋遊園のCMでディレクターを務め、新潟ふるさとCM大賞の審査員特別賞の受賞歴もある。この日実施した内容は
動画づくりの6ステップの講義
制作するPVの目的等を整理するワークシートの作成など
神田は、弊社ヨリシロのメンバーでもある。彼女はこの日だけでなくスケジュールの許す限りで動画チームにメンターとして伴走してくれた。

動画制作講座 (2)

動画制作講座

動画制作講座 (1)

(圭奈さんの講義資料はとてもわかりやすい)

この日の全体をざっと振り返ると以上となる。
お気づきであろうが、どの課もアウトプットの制作にとりかかり始めている。
ここで、現地に行っていないことによる悪い影響が出た。
どのチームも、自分たちのコースのウリが「腑に落ちていない」のである。
実際に商材を見ていないので、キャッチコピーひとつ作るにしても、動画や資料に出てきた文言からの引用であったり、「すごくきれいです」といった薄っぺらい美辞麗句しか出てこなかったのだ。

どうなる中条中学校社?

現地学習がかなわず、本町通り商店街の良さが腑に落ちていないまま、アウトプットの制作段階に突入してしまった中条中学校社。
このままでは正直色々とまずい。どうなってしまうのか!?・・・というところで長くなったので今回はおしまい。
やはり、前後編ではまとまらなかった。気になる続きは次回中編その2で。

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