まちづくり会社中条中学校社のあゆみ(後編その1)
胎内市立中条中学校3年生がまちづくり会社中条中学校「社」として地元商店街の活性化に取り組んできた本プロジェクト。
全ての課がアウトプットにこぎつけ、参加者募集がはじまり、いよいよ本番へ!
というのが前回まで。今回は、
どんなアウトプットになったのか?
お客さんはたくさん集まったのか?
当日の様子は?
というところを書き残していきたいと思う。
アウトプット
まずはアウトプットをご覧いただこう。
生徒たちが半年間かけて取り組んできた成果物である。
ガイド課、フードコーディネート課のアウトプットは後でご覧いただくことにして、まずはPR部隊の成果物、チラシ・ウェブ・プロモーションビデオを各クラスごとに見ていこう。
1組:宿場町探検コース
チラシ
ウェブ
プロモーションビデオ
2組:Waking胎内~見て、撮って、食べて感じる本町の魅力~
チラシ
ウェブ
プロモーションビデオ
3組:水の町、中条の町、水路巡り
チラシ
ウェブ
プロモーションビデオ
4組:誰か来て!胎内~イザベラの聖地気になるよね~
チラシ
ウェブ
プロモーションビデオ
どのクラスも初めての作業に戸惑いながらも、放課後残って作業するチームもいるなど、懸命に仕上げてくれた。
大人側の課題であるが、時間が許すのであればどのチームにも、最後の仕上げの部分で専門家からの「ダメだし→修正→ダメ出し→修正」の時間をじっくり設けたかった。へこたれそうになりながらも、壁を乗り越えてクオリティを上げる成功体験を得てもられば、なお良かったと思う。
お客さんは集まったのか?
さて、PR部隊の頑張りの結果はどうだったのか?
結論から言えばなんとなんと大盛況!
チラシ配布・ウェブ公開の翌日以降、申し込みが入る入る。
営業マンの様にフライヤー課とウェブ課のメンバーが市内の各店舗・施設に直接足を運び、設置をお願いしたことで、商店街のお店屋さんもSNSなどで拡散してくれたのである。
(上から、黒田屋菓子舗さん、料亭南都屋さん、中条駅観光交流室さんのインスタグラム)
最終的に当日の参加者は73名となった。
参加費2,500円という結構強気な価格のまちあるきのプログラムとしては十分な成果だと思う。
おそらく、まちあるきでこんなに集まったのは胎内市としては初ではないだろうか。
いざ本番!
と、そんなわけで、中条中学校社のPR部隊である「ウェブデザイン課」「フライヤー制作課」「フォトグラファー課」「プロモーションビデオ制作課」の頑張りにより、参加者はこちらの想定を上回って集めることができた。
そして、ここからは、本番の様子を「ガイド課」「フードコーディネート課」のアウトプットも交えつつレポートしていきたい。
本番が開催されたのは11月21日日曜日。この日の天気は新潟の11月下旬としては貴重な晴れ。太陽の光が心地よくさしこむ絶好のまちあるき日和となった。
まちあるきは、大勢のお客様に楽しんでいただけるよう、同じコースを時間帯を分けて2回催行するやり方をとった。
第1回目のスタートは午前9時00分。開始30分前ころから、お客様が集まりはじめ、開始時刻には集合場所の若宮神社は大勢の人手で賑わいを見せる。
開会のあいさつを終え、いよいよ「ガイド課」のガイドによるまちあるきがスタートする。
これまでのレポートの中でも述べたが、新型コロナウイルス感染症への配慮から、本番には生徒たちを携わらせることができなかった。
今回は、大人ガイド(以後ガイド課との混同を避けるため「引率」という。)が道案内しつつ、ガイド課が制作した本町通り商店街の解説動画をポイントポイントで再生する手法をとった。
今回、引率を務めたのは、「路地連胎内」というまちあるきグループの先川さん、胎内市地域おこし協力隊の森さん、新潟食料農業大学1年生の佐藤さん、そして私だ。
今回、この記事をお読みの方には、4コースあるうちの1つ「Waking胎内コース」の動画をご覧いただき、バーチャルまちあるきをお楽しみいただきたいと思う。
本来は他のコースも全て掲載すれば良いのだろうが、まちあるきの良さは、「現場を歩いてこそ」。本番に参加した方たちだけの公開にとどめておきたい。
それでは、「Waking胎内-見て、撮って、食べて感じる本町の魅力-」コースに出発である。引率は食糧農業大学1年生の佐藤奈生さん。
このコースは、少しとっつきにくい「歴史」というテーマが多い本町を、
わかりやすく、
フォトスポット多めに、
食べ歩きして~
と歴史好きではなくても気軽に楽しめように・・・といったことをコンセプトに作ってある。
自己紹介
どのコースでも、出発の際に最初の動画が再生された。ガイドの自己紹介である。
ひとりひとり自己紹介と簡単なコース概要説明があった後、「私達といっしょに本町通り商店街を歩きましょう!」といったフレーズで締めくくられていた。
北前船?
なるほど、まちの中に船がある。
美しい水路とユーモラスな形の木から、川の分岐が帆船の様に見えるのだ。
この場所はいわゆる名勝地ではないが、「わかりやすさ」というコンセプトどおり、見ただけで分かるスポットとしてコース内に盛り込まれていた。
難しい歴史などの話はほどほどにして、「見た目おもしろいでしょ~」推しで紹介する作戦に好感がもてる。「あ、本町もそんなキャッチーにやっていいんだ」と率直に感心した。
蔵と小川、家並みと小川
家並み、蔵を縫うように流れる小川を紹介している。
カメラを持って歩きながら撮影するなど、動きのある映像をつくる工夫もなされている。まさに生徒達と一緒に巡っているような感覚をいだかせる。
神田醸造の石積み
商店街には神田醸造という味噌屋さんがある。
この味噌屋さんの味噌蔵の裏につまれている石積に着目した解説だ。
本町通り商店街周辺は網の目の様に小川が現在でも流れている。実はこの生徒が立っている下も小川だ。いまは、暗渠となり川が覆われているので普通に歩いていると気づかないのだが、石積を見ると・・・・、「あーこれ橋だったのか!」そして、「今いる場所川の上か!」となるのだ。
難しい歴史をクイズ形式で分かりやすく解説する工夫がなされ、不正解が想定されている「オチ」に思わずクスっとしてしまう。
大人ではこうした解説はなかなかできない。
荒惣
これまでの解説動画もそうだが、難しい話も、とても楽しそうに解説している。収録前に何度も練習した成果なのだと思う。
と、ここでサプライズが。
なんと、荒惣さんが参加者に蔵の中を見せてくれるとのこと!
荒惣さんは、生徒たちのChromebookの供給や、学校のインターネット環境の整備をしていただいている地域密着のIT企業さん。
会社の事務所もものすごく古い建物の中にある。古い建物の中で最新のテクノロジーの仕事が繰り広げられているギャップが新鮮である。蔵も在庫品の保管庫として現役バリバリだった。
宿場町時代は両替商が主な商いだったそうであるが、時代の移り変わりとともに業態を変えてきた歴史がある。
南都屋
こちらでも歴史の話を楽しそうに解説してくれている。
そして、南都屋さんもお店の中を見せてくれるというのだ!
店内には、昭和初期、日本画家の藤本雅堂が飲食代の代わりに、と残していった絵が屏風や襖、欄間などに今なお残る。
そして、会津八一が疎開中、足繫く通ったというように、店内には八一が残していった書も飾られている。
こうした伝統ある料亭も、かつては魚屋が商いの出発であり、客の求めに応じて酒や料理を出すうちに、現在の料亭南都屋となったとのこと(動画中にも解説あり)。
料亭南都屋さんも、先ほどの荒惣さんも、百年以上続くお店は、時代に合わせ商いを変えてきた歴史を有している。
変わってきたからこそ残っている
残したいものがあるから変えるべきところは変える
そんな商人の逞しさ、しなやかさを中学生の解説によって気づかされた。
お買い物タイム!
さて、南都屋さんを解説する動画の結びにもあったように、ここからは商店街でお買い物タイムである。
と、ここでさらにサプライズが!
なんと、商店街の若手らを中心に、この日に合わせ、「GOENICHI」というマルシェを開催してくれたのである。
(マルシェの告知投稿~黒田屋さんのインスタから~)
もちろん、まちあるき参加者はマルシェでたくさんお買い物をし、マルシェのあとは店舗にも立ち寄ったりと、商店街にもしっかりとお金を落としてくれた。
柴橋川
お買い物のあとは集合場所である若宮神社にもどり、最後の紹介スポットである。
こちらのポイントは、定番の撮影スポット。
胎内市公式カレンダーなどでもこちらの場所で撮影した写真が採用されていたりと、本町商店街界隈で写真をとるならここ!というスポットなのである。
お礼のあいさつ
中学生とのバーチャルまちあるき、いかがだっただろうか。
このクラスに限らず、現地で専門家の話を聞く機会が叶わず「わからない」「ピンとこない」状態で始まったコースづくり。分からなかったからこそ、自分たちなりにこの町の良さを問い続け、生み出された解説動画だと思う。
最後を締めくくるのはお弁当!
約2時間たっぷり歩いた後は、お弁当である。
各クラスのお弁当を是非見て欲しい。味わっていただくことはできないが、見た目にもその美味しさ、そして生徒たちの努力が伺えるかと思う。
Waking胎内コース:割烹常の家「秋のオーケストラ」弁当
宿場町点検コース:料亭南都屋「満腹胎内」弁当
水路巡りコース:割烹魚太「秋と胎内を感じる水路巡り」弁当
誰か来て胎内!コースのお弁当は割烹ときや旅館さんの「お。Bentou.」
お弁当をお渡しする度に、受け取ったお客様から歓声があがっていた。
生徒達が料亭・割烹様とタッグを組み、何回ものやり直しを経てのお弁当。その美味しさはお客様にもしっかりと伝わっていた。
そして、このお弁当をお渡しして、中学生による取り組みは完結である。
アンケート分析はまだ出ていないが、当日の参加者の表情を見れば、今回のまちあるきの満足度が非常に高かったことを確信している。
この日は、大勢の人々の楽し気な声が商店街に溢れ、まちあるきで町を堪能し、買い物をし、締めくくりには地域の食に舌鼓を打った。
半年前、生徒達に課した
という課題は、集客人数、参加者満足度の点から言って十分に達成したと考えている。
データなども見せながら、「ミッション達成おめでとう!!」と早く直接生徒たちに伝えてあげたい。
と、ここまでで今回は終了。
ほんとは取組全体を通じての振り返りもこの回で書きたかったのだが、またしても長くなったので、次回にしっかりと文量を割いて振り返りたい。
実はもう書き終わっているので、本日中に公開する予定である。
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