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地域おこし協力隊!残念自治体を避ける4つのポイント

いま、業界?では、2020年春採用の地域おこし協力隊のリクルート活動が活発に行われている。
地域おこし協力隊について簡単に説明するとこんな感じ↓

地域おこし協力隊員は、おおむね1年以上3年以下の期間、地方自治体の委嘱を受け、地域で生活し、農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援などの各種の地域協力活動に従事する者をいう。(総務省HPから)

ざっくりいうと、「3年程度田舎に移住し、移住先の地域活性化を担う」人のこと。お給料は移住先の自治体等から支払われる。

この記事を書いている私もリクルート活動の当事者で、現在2020年春に採用する新潟県胎内市(たいないし)の地域おこし協力隊を絶賛募集中だったりする。わがまちの募集内容はこちら
私自身、協力隊の募集活動に携わるのは2年振りなのだが、募集活動にあたり、2年前にも感じていたモヤモヤが今も相変わらず湧き上がってきてしまった。

何にモヤモヤしているか!?

ひとことで言うとこの制度、受入れ自治体によっては「意欲ある若者を地方で都合よく使い倒す」という事態が発生してしまうのだ。
そして、その数は決して少なくないと個人的には考えている。
そうした望ましくない自治体を仮に「残念自治体」とでも呼称しよう。
現在活発に行われている協力隊のリクルート活動を見ていて、あいかわらず残念自治体が多いなぁ、と感じてしまった。そりゃ若者は地方に行きたがらないよね。とうなずきたくもなる。
新潟県、香川県、岡山県などで協力隊受入れ担当市町村職員向けに講師も務めているわたくし。いろんな市町村や隊員を見てきた。
意欲ある若者が残念自治体を避けられるよう、そして、現在地域おこし協力隊を受け入れている自治体に対する警鐘としても、この長文をしたためる決意をした。多少の憤りをあえて込めたため語尾が強くなった。「えらそうに。お前は何様だ。」とお思いになる方もいると思うが、ご容赦いただきたい。

残念自治体を見極めるためのポイント

まずは結論から。ポイントは以下の4つ。順番に解説していく。

1.協力隊導入目的が明確で、その目的に共感できるか
2.活動内容が明確で、その活動に興味が沸くか
3.活動内容について裁量が認められているか
4.活動しやすい体制・環境が整備されているか


協力隊導入目的が明確で、その目的に共感できるか

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協力隊を志す人は地方でなにかしらやりたいことがあるもの。ついつい活動内容の方に先に目が行ってしまうと思うが、まずは一呼吸おき、ぜひこちらを確認して欲しい。私はこれが一番重要だと思っており、これが不十分なために、世の多くの協力隊が悩んでいると考えている。この1.が備わっていれば、残りの2.以降は必然的に備わっていると言っても良いくらいである。
もし、あなたが受入れ先をさがす過程で、興味のある自治体があったなら、リクルート担当に最初にこう問いかけて欲しい。

「あなたの自治体は何のために協力隊を受け入れてるんですか?」

すらすらと受け入れ目的を答えてくれて、さらには地域の将来ビジョンまで語ってくれたなら、その自治体はアタリと考えて良いと思う。そしてその理念にあなたが共感できるならば、あなたとその自治体は合っている。将来ビジョンを共有し、ともに力を合わせ活動していけるに違いない。

一方で、しどろもどろ何言ってるかわからない答えしか返ってこない自治体には次のような背景が潜んでいる可能性がある。

・市長(上司)が受け入れろと言ったから受け入れている
・国からお金も降りてくるし、ちょうど人手が欲しいから受け入れている
・前任からの引継ぎで受け入れている
・市民から要望があったから何となく受け入れてる

これらの何が悪いかというと「受け入れそのものが目的化」してしまっていること。
隊員の受け入れ目的が明確な自治体は、隊員の活動がもたらす成果の方こそを追い求める。従って、隊員が充実した活動ができるよう、必要な策をあれこれと講じるのだ。
それに対し、残念自治体は、極論を言えば隊員が充実した活動をしようがしまいが知ったことではない。「めんどくせーこと言って俺の仕事増やさなきゃいいな」ぐらいのことを考えているやらされ感たっぷりの担当があなたを待っている。

活動内容が明確で、その活動に興味が沸くか

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次いで重要なのが、隊員としてどのようなことに取り組むのかだ。
まずはあなたの興味関心をベースに選んでいただいて良いと思う。じっくりと吟味していただきたい。
ポイントは、活動内容が具体的にイメージできる程度に明確になっているかだ。
結構多いのが「まちの情報発信・PR」「移住定住支援」など何となく楽しそうな仕事をうたいつつ、具体的に何をするのかさっぱりわからない活動。おそらくそうした自治体は活動内容が特に決まってないおそれすらある。
やること決まってないからと言って、あなた自身で何やるか決めようとすると、やらされ感たっぷりの担当が「余計なことするな」と阻んでくる。
悪い冗談にしか聞こえないが、この冗談の様なコラボに悩んでいる隊員がいかに多いことか。「協力隊必殺パターン」と私は命名している。

活動内容について裁量が認められているか

つぎはこちら。あなたの裁量でどの程度活動内容を決めていけるか、だ。
ある程度活動をこなしていけば、必然的に「もっとこういう取組した方が良いんじゃない?」というのが出てくる。
受入自治体側にとって、こうしたよそものの発案を取り入れたくて協力隊を受け入れているのだから、普通はその提案の実現に向けて関係者はバックアップする。ところが残念自治体では、この裁量がほぼ認められていないケースが存在するのだ。
多いのが、道の駅等の施設(なんでも良いが分かりやすい例で・・)に配属し、他の職員同様にルーチンワークだけをこなさせているケース。新たな企画を提案するも、受け入れられず、ずっとレジ打ちして過ごす3年を送った隊員もいるという。若者を人手不足を補う人足としか捉えていないこうした組織は衰退を遂げるだろう。

活動しやすい体制・環境が整備されているか

最後はこちら。
地域おこし協力隊の様な働き方は言わずもがな特殊である。
ほとんどの場合は知らない土地に移り住み、知らない人々と関係性をいちから構築しながら、経験したことのないミッションに取り組むこととなる。
新しい土地に期待に胸を膨らませる一方で、多くの人は不安も抱くだろう。「自分が思い描いた活動ができるだろうか・・・。」と。


一方で受入れ自治体側も実は大いに不安なのである。冒頭の方で述べた様に、協力隊に対して真摯に取り組んでいる自治体には、必ず協力隊の受け入れ目的が存在している。必然的に協力隊が充実した活動を行うことが目的達成には重要と考える。行政施策の目的達成を隊員個人の資質のみにまかせて良い訳もない。
であるならば、受入れ自治体として、組織的に策を講じるのが望ましい姿である。この体制・環境は自治体側の力量の発揮のしどころでもある。
協力隊着任という初めての体験に不安があれば、ぜひ体制・環境面も自治体選択の判断材料に加えて欲しい。

人と地方の在り方とは。

自治体選びのポイントは以上となる。
もしあなたが、協力隊としてのキャリアを考えているならば、少しでも参考になれば幸いだ。
もしあなたが若者を受け入れる側の立場であれば、少し自身を省みて欲しい。さぁ、この記事を読んだあと、自身の又は他自治体の協力隊募集記事をぜひ確認してみて欲しい。残念自治体になっていないか?

そして、持論になるが、これから人と地方の在り方について少しだけ私の考えを述べさせていただき、まとめにしようと思う。

協力隊制度は国の政策としては非常に良く練られており、総務省最大のヒット商品とも言われている。同時に、運用側の市町村の実力が非常に試されていると思う。
「コンクリートから人へ」とは一昔前の某政権の政策キャッチコピーであるが、「不必要・無目的」なハコモノからこの国を支える「人」にリソースを投じていくというのは、とても大切なことで、協力隊制度はまさにこの流れを体現するものだと思う。
しかし、協力隊の運用の仕方を見ていると、地方はリソースを投入する対象が「人」になっただけで、「不必要・無目的」さは相変わらずの様にも感じている。対象が「人」になった分、なおさら不幸を招く結果になることすらあると考えている。
協力隊制度に限らず、地方間で若者の獲得競争が繰り広げられているが「若者と地域がともに育みあい、地方の持続可能性を高めていく」そんな地方が増えていくことを願っている。

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