教えること、学ぶこと。

はじめに

 この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2019の15日目の記事になります。昨日は++(plus)さんの「OHのコツ【F2L~LL編】」でした。明日は煎茶さんの「UFR手順について」です。

 初めまして。宇木と申します。今年の秋くらいからキューブ界隈の隅っこでガシャガシャやってます。
 この記事では教える側と学ぶ側が心掛けておくべきことについて説明します。

記事の前に

 私はキューブが早くありません。平均20秒くらいです。その為、出来る限り技術的な説明をせず、一般的なことについてお話します。というのも、私の趣味の数学で読んでいた本の中に「これはキューブにも共通する点があるのではないか」と思うところがあり、それを紹介出来ないかと考えたからです。
 都合上、教える側を「教師」、学ぶ側を「生徒」として呼称します。

教える側(教師)

 教師は生徒の立場に身をおいて、学生がどのような立場におかれているのかをよく調べ、学生の心の中に起っていることを理解しようとしなければならない。(ポリア 1975, 5)

A-1.今、何を考えているのか

  生徒が考えていることを理解しましょう。特に、生徒の手が止まったとき、あるいはある部分に目を止めて考えだしたときは要注意です。
 初めてキューブを解こうとするとき、生徒はどこかで手順書だけでは分からない部分に行き当たることがあります。そのときに、生徒が今何を考えているかを把握することで的確に教えることが出来ます。
 どうやって把握するのかといいますと、今生徒が行っているステップがどこかを追うだけでも十分に考えていることを推測することができます。とても簡単ですね。「今二段目のエッジを入れようとしているな」、「OLLの十字を揃えようとしているな」という情報から、「どこで躓きそうかな」ということを考えていきます。あらかじめその場所を考えておいて回答を用意しておくのも良いでしょう。

A-2.何が出来るのか

 教師が出来ることについて考えましょう。基本的には、手順書の補足説明や、それに説明されていないこと発展的な内容について説明することが出来ます。動画やウェブサイトを見ることで同様の情報を得ることが出来ますが、それはどこに何がありそうかどんな風に調べたら良いかを何となく分かっているからです。初心者にそのような知識はありません。しかし、その先駆けとして教師が教えることが出来ます。
 また動作の実演を行うことが出来ます。持ち方や指使いを示すことは理解を大きく助けるでしょう。その上、何度も繰り返し、速度を変えて、見やすいように見せることが出来ます。

学ぶ側(生徒)

「あたしたちは《例示は理解の試金石》というスローガンを大事にしていますよね。自分が理解したかどうかを確かめたかったら、具体例を作ってみます。そして——」(結城 2019,119)

 B-1.分かると出来るの違い

 解き方が分かったけど手順が覚えられていない、ということがあると思います。またはその逆もあるでしょう。そのとき、分かる/出来るために例を解くことが出来るか/説明出来るかを試すことは1つの指標になります。例えば2段目を揃えるときの様々なパターンを作ってもらって、それを解けるかどうかやってみることで理解度をテストすることが出来ます。

 B-2.真似をするということ

 真似をすることは上達の鍵です。このことはキューブに限らずはるか昔から言われ続けてきたことです。守破離という言葉にもあるように、先ずは誰かのことを真似することから始めましょう。我流の手順や指使いを探求することを止める人は誰もいませんが、それが車輪の再発明になってしまうことを心配しています。車輪の再発明自体は全て無駄というわけではありませんが、あなたが初心者であるのならば、まだ自らの道を進む前に一度真似をしてみてはいかがと思うのです。

 以上になります。ありがとうございました。

参考文献

 G.ポリア (1975)『いかにして問題をとくか』(柿内賢信訳)丸善出版.
 結城浩 (2019)『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』SBクリエイティブ.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?