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1点の法則- 視線を奪いたい?なら、「1点」は最強である。

 12月の頭に新刊『これならわかる! 人を動かすデザイン22の法則』が発売されるので、内容を少しづつ紹介したいと思います。今日は、1点の法則です。

一点の法則(The Rule of Focus)

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「人間の目が二つあるのは、たくさんのものを同時に見るためではなく、一つのものをよく見るためである」これが、視覚と脳の原理原則であり「一点の法則」の本質です。

ウサギと人間では目のついている位置が違いますが、これにより「視野角(見える角度)」も異なります。顔の両脇に目がついているウサギのような草食動物の視野角はとても広く、360° 近くあるとも言われます。 

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一方、人間の目は前向きについています。二つの目があることで、距離感や質感など、片目ではわかりにくい事象が判断しやすくなります。ですから、目の疾患で眼帯をしたときなど、足元がおぼつかなくなったり、クリアな視界が失われ、ピントが合いにくくなったりします。

つまり人間の二つの目は「一つの大切なものの本質を知るため」についている構造である、といっても過言ではありません。



歴史ある企業ほど陥る「ごちゃつき病」

私がある大手企業でセミナーを行ったときの話です。歴史も知名度もある会社ですが、同業や新興の企業が手がける今風のデザインやECサイトを見るにつけ、現行の「ごちゃついたデザイン」が時代にもしかしたら合っていないのでは、また、情報過多で伝わっていないのでは、という漠然とした課題を感じていました。

しかし改善するにもごちゃごちゃすぎていて「いったいどこから手をつけていいか」がわからず、暗礁に乗り上げていました。

実はこの状況、この会社に限ったことではなく、良かれと思って、ついついやってしまう「あるある」の事象なのです。
書籍では、ウェブのバナーやアイキャッチの重要性について、Before → After で紹介してきます。)


ロゴ1個だけで十分、むしろ最強。

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さて、こちらは、私が今、住んでいる壱岐市でお手伝いしている、メイリ・キッチンさんの新しいテントのデザインです。

デザイン・・・というより、ロゴが一個入ってるだけなんですけど(笑)、実は、手を抜いているわけでは決してなく、目を引くように他のものをあえて入れないようにとお願いしたのです。

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ほら、目を引くでしょ?

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以前の看板です。

ローマ字も日本語も(フォトショップで消してしまっているのですが電話番号も入っていました)、つまり、親切にたくさん情報を入れたのにも関わらず、視線が定まらず、結果として「記憶に残りにくい」という望まない状況だった可能性が高いです。

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一点のデザインとは、可能性の入り口をデザインすること

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人間の記憶の多くは、目で見ることから始まります。

私たちのようなデザイナーがロゴやアイキャッチにうるさいのは、それらはそれだけで完結しているものではなく、それらが複雑で膨大な情報を受け渡すドアの入り口だということを認識しているからです。

もし、開けるドアを間違えてしまえば、行きたかった場所にも辿り着けず、会いたかった人に会うことももちろんできません。ですから、まずはドアをたたいて欲しい人の視界に入り、気づいてもらう必要があります。

一点のデザインとは、未来に繫がるドアを見つける、あるいは見つけてもらうことと同じなのです。

(『これならわかる人を動かすデザイン22の法則』 第一章 1 点の法則から 1 部抜粋、それ以外はnote向けの記事になります。)


『これならわかる! 人を動かすデザイン22の法則』 

今日は、一点の法則(The Rule of Focus) の触りだけ、紹介してみました。また、少しづつ、紹介していきますね。

01 一点の法則 → 視線を奪うなら「1点」が最強
02 余白の法則
03 書体の法則
04 色彩の法則
05 コントラストの法則
06 映えの法則
07 アングルの法則
08 錯覚の法則
09 模倣の法則
10 引き算の法則
11 整列の法則
12 反復の法則
13 重力の法則
14空気の法則
15 占領の法則
16 制限の法則
17 逆張りの法則
18 選択の法則
19 一瞬の法則
20 鏡の法則
21 男女の法則
22 記憶の法則

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▷これならわかる! 人を動かすデザイン22の法則 (KADOKAWA)
▷『デザイン力の基本 簡単だけど、すごく良くなる77のルール』
▷余白の法則 --The Rule of White Space--



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