青年教学3級講座③(随時掲載)「立正安国論」大意(第六段から)

第六段 念仏禁止の進言の先例を挙げる

法然の謗法を弁護する
 旅人は少し気持ちが落ち着いていう。
 あなたは賤しい身分でありながら安易に邪悪な言葉を吐くその主張は行き過ぎであり、その理屈は根拠がない。

仏法の衰微を嘆く
 主人がいう。
 私は、非力な者ではあるが、恐れ多いことに大乗を学んでいる。仏弟子である私は、唯一の仏の子として生まれて、諸経の王に仕えている。どうして仏法の衰微を見て悲しまないでいられるだろうか。

 私は、「善い出家者」というわけではないが、「仏法の中の敵」と責められるのを免れるために、要点だけを取り上げその一端をおおよそ示しただけである。


第七段 仏の命令を示して謗法の断絶を勧める
災難を対治する方法を尋ねる
 
旅人はそこで心が落ち着いていう。
 災難が「選択集」を原因として起こっているということを、あなたは盛んに言い、ますますそのことを説いている。
 そもそも、国は法によって栄え、法は人がいてこそ貴い。国が亡び、人がいなくなってしまえば、仏を誰が崇拝するだろうか、法を誰が信じるだろうか。まず、国家の安泰を祈って、仏法を確立するのでなければならない。もし災難をなくす手だてがあるなら、聞きたいと思う。

天下安穏の原理を説く
 主人がいう。
 仏道に入って何度となく自分なりに考えたところ、謗法の人を制して正しい教えの人々を重んじるなら、国の中は安穏になり天下は泰平となるだろう。


第八段 謗法への布施を止めることを説く

経文のように斬罪に処すべきかどうかを尋ねる
 
旅人がいう。
 もし謗法の人々を根絶し、仏の禁止への違背をなくそうとするなら、あなたが引用した経文のように斬罪に処しなければならないのか。

謗法への布施を止める意味を説く
 主人がいう。
 仏の子を捕縛するのではまったくない。ただひたすら謗法を嫌悪するだである。
 天下のあらゆる国々、すべての人々が、悪に布施をしないで、皆が善に帰依するなら、どのような難が一斉に起こり、どのような災いが先を争って到来することがあるだろうか。


第九段 二難を予言し立正安国を論ずる

正法・正師に帰依することを願う
 旅人は敷物から下りて主人を敬う姿勢を示し、襟を正していう。
 仏の教えはこのようにさまざまに分かれていて、その趣旨をすべて知ることは難しく、不審は多岐にわたって何が正しいのかは明らかではない。
 とはいえ、法然上人の「選択集」は目の前にある。しかし、あなたは、これが原因で、聖人は国を去り善神は所を捨ててしまって、天下は飢えと渇きに苦しみ、世の中には疫病がはやっている。とあなたは言う。

二難を予期し謗法の対治を促す
 主人は悦んでいう。
 あなたは、香り高い蘭室の友に交わって感化され、麻畑に生えるヨモギのようにまっすぐな性質になった。
 まず国土を安穏にして現世・来世のことを祈ろうと思うなら、速やかに考えを廻らし急いで謗法を滅しなさい。
 その理由は何か。
 諸経の文に即して詳しく事態の本質を考えてみると、百鬼はすでに乱れ、
 万民は多く亡くなっている。先に起こる災難は、明らかにすでに起こっている。後に起こる災難をどうして疑うことが出来るだろうか。
 国家が滅亡してしまったら、世を逃れるといっても、どこに行くことができるだろう。自身の安心を考えるなら、あなたはまず社会全体の静穏を祈ることが必要ではないのか。

結論として立正安国を論ずる
 多くの経に目を通すと、何よりも謗法を重大なこととしている。なんと悲しいことだろうか。
 あなたは早速ささやかな信仰を改めて、速やかに、本当に成仏へ至らせる教えである唯一の善い法に帰依しなさい。


第十段 領解して立正安国を誓う( 客、「私も共に戦おう」 )

 客人曰く、
 いよいよ貴公の慈誨を仰ぎ、ますます愚客の痴心を開けり。
 
あなた(主人)の慈悲あふれる訓戒を、いよいよ仰ぎ、ますます自分の愚かな心を開くことが出来た。                                

※参考文献
大白蓮華7月号 2023年度教学部中級試験 青年教学試験3級のために
現代語訳「立正安国論」 聖教新聞社





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