燃ゆる
枯れ果てた木々
灼熱の大地
喉を焦がす熱気
視界を奪う赤き光
水という概念はとうの昔に燃え尽きてしまい、生物はその環境に適応できず星の養分となった。
誰もいない世界。生きれるはずもない世界に二人。手を取り合い、言葉を放つわけもなくただお互いの感覚だけを頼りに燃え盛る大地を緩やかに歩を進める。
何故この世界で生きているのか、そんなことは世界に住まう生物が居れば上がる疑問だがあいにくこの世界にはこの二人しか存在していない。疑問を持つことも追求することもない。
ただ二人でいられる時間がまだ続けばいいと肌が焼けるのを感じながらも穏やかな心で、ずっと考えていた。
歩を進めるたびに足の裏は焼け爛れ、風がふわりと吹こうものなら肌は焼け焦げいつしか石のように硬くなっていた。
何を目指し、どこに向かうため二人が歩いているのか。それは歩いている二人自身もはやそんなこと考えてもいなかった。
ただ無意識の赴くままに自分でも抑えることのできない意識により前へ進む。なにより止まってしまえば最期、灰となり、無駄に星の養分となってしまう。それは不本意であり、時間がもったいないからである。
灰になり星の養分となる時間さえも手を取り合って一緒にいたい。そう思うのはわがままだろうか?いや、切なる願いとは時にわがままであってもいいと思う。
だって、君に初めてもらった誕生日プレゼントのシルクハットも願いのおかげで、今もここにある。
星は憎いけど、星に願うしかない。なんて皮肉だよね
でも、こんな世界の中でも僕は君と永遠を感じていたいんだ、、、。
枯れ果てた木々
灼熱の大地
喉を焦がす熱気
視界を奪う赤き光
水という概念はとうの昔に燃え尽きてしまい、生物はその環境に適応できず星の養分となった。
だが、そんな死の世界にも希望は存在した。
燃え盛る大地と照りつける赤き光から徐々にに灰となるその身を顧みずまるで何かを守るように転がる年季の入ったシルクハット。唯一この世界で最期まで幸せを噛み締めた2人の魂の元には、懸命に生きようとする2把の若葉が命を燃やしていた。
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