地獄のなかで生きます
残念なことに、僕は地獄のなかで生きるしかなさそうだ。それがわかってきた。毎日がつらい。謎の疲労感に襲われ、息をするにも苦しさを感じる。原因は、鬱病だ。鬱病の症状はいろいろあるが、僕はとにかく身体に表れやすい性質らしい。そのせいで毎日が地獄に感じられる。
この地獄から抜け出そうともがいた。ただ身体を休めるだけでは駄目で、「心の休息」がなければいけないことがわかってきた。プレッシャーから自分を解放する、完璧主義からの脱却──そういった知識を得たものの、僕の抵抗はそこで終わってしまった。
「ストレングス・ファインダー」という、個人の強みを発見するツールがある。それで自分の強みを分析してみた結果、上位5つのなかに「最上志向」と呼ばれるものが自分のなかにあることがわかった。最上志向とは、平均点では満足できず、とにかく上を目指す気持ちが強い性質のことだ。僕が正常であれば、最上志向はそのまま強みとなる。しかし鬱病の現在、この強みは逆に欠点として働いている。
仕事を終えたあとも、なにかをせずにはいられない。心から休むことに罪悪感を覚えてしまう。この状態から抜け出せないのだ。なぜか? それは未来に目を向けたとき、今立っている足場がとても脆いことを意識せざるを得ないからだ。障害者枠で働いているものの、あくまでアルバイトであり、雇用には期限がある。もらっている給料も一般から見れば平均を下回っている。つまり、早く有望なスキルを身に着けなければ、いずれ人生は詰んでしまうということだ──この焦りが、僕を「心の休息」から遠ざける。
無論、理屈では「今は回復に努めるべき」というのはわかっている。だが、それはあくまで理屈だ。実行できるかはまた別の話だ。これまで、僕はどうにか最上志向から離れられないかと意識の変革を試みてみたのだが、どうも無理らしい。最上志向は、僕の魂に刻み込まれてしまっている。だから、どうにもならない。
したがって、こうなったら鬱病のまま生きるしかない。それは地獄のなかで生きていくということだ。もし地獄に耐えきれなくなったら、そのときこそ死ぬべき瞬間なのだろう。
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