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北海道の道東と中国山地をつなげてみたら面白すぎる人たちにたくさん出会えた件①(廣岡俊光)

■ 旅してきました

北海道が冬の空気に包まれ始めた11月。遅めの夏休みを利用して『会いたい人に会いに行く旅』に出ました。目的地は<中国山地>です。

以前にもnoteに登場してもらった、北見在住でドット道東代表理事の中西拓郎くん(以下、たくろーくん)と、浦幌町でハハハホステルを運営するドット道東理事の小松輝くん(以下、小松くん)。2人と一緒に山口・島根・広島の3県を巡る旅です。

※去年冬、たくろーくんコーディネートの北見&津別旅はこちら!

※去年夏、小松くんのハハハホステルに泊まった浦幌旅はこちら!

今回の旅は、『みんなでつくる中国山地 百年会議』で事務局を務める、自称“ローカル・ジャーナリスト”、島根県立大学教授の田中輝美さん(以下、てるみさん)に全面的にコーディネートしていただきました。

左がたくろーくん、右が田中輝美さんです!

2017年の著書『関係人口をつくる』で、“定住人口”とはことなる“関係人口”という概念をもとに地域のこの先を考えるという、今や特にローカルに関わる多くの皆さんが知るところとなった考え方を世の中に定着させたのが田中さんです。

■ きっかけ

話はおととし3月にさかのぼります。わたしが京都を旅行していたときに、とある書店にドット道東が置かれているという話を聞いて、それを確認にいったところ、ドット道東のすぐ横に置かれていた一冊の本に目がいきました。

『みんなで作る中国山地 No.001』

中国山地。中国山地。中国山地。

わたしの実家がある岡山県真庭市は、まさに中国山地の山あいのまち。でもこれまで中国山地というアイデンティティは持ったことがありませんでした。そもそも中国5県にまたがる中国山地をひとくくりにしてしまうエリア区分は聞いたことがない・・・!でも。直感的に「これは自分の話だ!」そう感じた私は、すぐに本を手に取りレジに向かっていたのでした。

そこからこの本を通じて、てるみさんとSNSなどを通じて交流させてもらいながら、わたしの中にはひとつの思いが芽生えていました。

「北海道と中国山地。場所は違えど、地域の人々のことを思い手足を動かしている人たちが混ざり合うと、何か面白いことが起きるのではないか?」

さっそくオンラインで、てるみさんとたくろーくんと3人でおしゃべりしてみると、ローカルの空気感、それぞれが見ている風景、抱えている課題感など、やはり共感できるポイントが多くて話が弾みます。

・たくろーくん → 「いつか中国山地にも行ってみたいです!!」
・てるみさん → 「もちろん、いつでもお待ちしていますよ!!」
・ひろおか → (にやりにやりにやり)

時は流れてことし6月。たくろーくんと「雪が降る前くらいのタイミングで本当に中国山地行っちゃおうか」という話をしていたところ、てるみさんから『みんなでつくる中国山地 No.003』が11月初旬に発刊され、発刊記念イベントも行われるという情報が。

「これはもう、行くしかない!!」
「うん、行っちゃおう!!」

小松くんも加わって、ノリと勢いで旅がスタートしたのでした。

■ はじまり

新千歳空港→羽田空港→山口宇部空港。早朝に北海道を出発して、午前中に山口に到着できちゃうんです。エヴァンゲリオンシリーズの庵野秀明監督は宇部市出身(山口豆知識)。エヴァにまつわる様々な展示がお出迎えしてくれました。

まちじゅうエヴァンゲリオン

最初の日の目的地は、『萩ゲストハウスruco』。いまでこそ日本中のローカルタウンに数多存在するゲストハウスですが、その中でもトップランナー的存在と言えばこちら。2013年にオープンして以来、その界隈ではずっと話題の場所なんです。

今回はてるみさんがアポを取って下さって(ありがとうございます!)rucoオーナーの塩満直弘さんがお忙しいなか、時間を作って下さいました。

1984年生まれ。2013年に「萩ゲストハウスruco」を開業。2019年、株式会社haseを創業し、2020年8月には、JR西日本との共同プロジェクトとして、山口県下関市山陰本線沿いの阿川駅をリユースし、小さなまちのkiosk「Agawa」をオープン。2022年4月1日より株式会社haseの代表を兼務しながら、株式会社 Backpackers’ Japan の取締役CCOに就任
 Backpackers’ Japan 

萩での待ち合わせの時間までの約半日、せっかくの機会なので、塩満さんがruco以外に手がけた2つのプロジェクトも回ってみたい!という話になり、まずは本州の西端、下関市の阿川地区へGooo~!

■ agawa

<山口宇部空港 → agawa 所要時間:1時間27分>

のどかな街並みのなか突如現れたのは、ガラス張りの抜け感が抜群によい建造物・・・『agawa』です。

JR山陰本線の阿川駅。無人駅の線路のそばにたたずむモダンな浮遊感。この土地にしっかり立ち上がっている感。それらが同居する、不思議な感覚にとらわれる場所です。

駅や土地に可能性を感じた塩満さんの思いを起点に、構想から約2年半の歳月を経て、2020年8月、特牛駅の隣の阿川駅の駅舎がリニューアルされ、カフェを併設した小さなキオスク「Agawa」が誕生した。無人駅だった阿川駅には、近隣に暮らす子どもからお年寄りまで、幅広い世代の人が訪れるようになった。
Backpackers’ Japan 新CCO塩満直弘さんインタビューより

「建物のデザインは」「北海道で実現させるとしたら」「雪があるとそもそもこういう構造は難しいか」・・・さっそく話が転がっているたくろーくんとこまつくん。そんな会話に耳を傾けつつ、カレーがとっても美味しい。

駅の施設として、近隣の人々の憩いの場として、興味を持った人が訪れる場として、さらに今回の私たちのようなよそ者が目指して足を運ぶ場として・・・

さまざまな人にひらかれた場所として、agawaは存在しています。理想を語るだけではなく、この地にこういう場を作り上げる。熱量の高さに感嘆します。

■ UTTAU

続いての場所に向かう途中、山口県を代表する観光地に立ち寄ることに。角島大橋です。(実はたくろーくんが以前からSNSで見て行きたいと思ってた場所で、向かう車内でテンションがMAXだったことは秘密です)

南国をほうふつとさせる青く美しい海。島に向かってのびる橋。駐車場には観光バスも何台も停まっています。123基の赤鳥居が海に向かって並ぶ『元乃隅神社』と合わせて、山口県の2大絶景スポットです。

にぎわいをみせる角島大橋からクルマで2分。小高い丘の上。さっきまでの喧騒が嘘のように静か。四季の茶屋『UTTAU』。こちらも塩満さんが手がけるプロジェクトです。

古民家の牛舎などとして使用されていた建物をリノベーションして生まれたカフェ。隣には母屋もあったそうですが、老朽化が激しく解体。屋根に使われていた赤瓦(日本三大瓦のひとつ“石州瓦”)が建物の周りに敷き詰められています。小さな仕掛けがしっかりと土地の記憶を語り継いでいます。

大屋根、とってもいい・・・

agawaもそうでしたが、圧倒的に抜け感がよくて圧迫感がまったくない空間のデザインに、塩満さんの思考がにじんでいるなぁ、と。

■ ruco

<UTTAU → ruco 所要時間:1時間02分>

塩満さんが手がけたプロジェクト2か所をめぐり(すいません、あまりに居心地がよくて約束の時間に少し遅れてしまいました・・・)いよいよ萩市のゲストハウスrucoへ。

見た目、雰囲気、風合い・・・すごくいい。

市内中心部、城下町からもほど近い場所。4階建ての建物はもともと音楽学校だったそうです。1階は通りに向かってひらかれたカフェスペース。2階にはソファが置かれ、宿泊者どうしでコミュニケーションを取ったり、地域の情報を入手できる共有スペースに。3階・4階がドミトリーと個室の宿泊スペースとなっています。

「ビルかっこいいなぁ~」と羨望の眼差しで建物内を見て回る2人。リノベーションというと古民家など想像する方が多いと思いますが、歴史のあるビルに手を加えると、こんな風に生まれ変わるのかと。本当にかっこいいなぁ~!

「どうしてもお見せしたい場所があるので行きましょう!」

塩満さん、私たち3人をクルマで連れ出してくれました。

★菊ヶ浜
塩満さんもよく訪れるという萩市民自慢の砂浜の海岸。この日も感動的な夕日でした。土地の人が共有し誇れる風景って本当にいいですよね。

★大屋窯
陶芸家・濱中月村さんのお屋敷。これまでに手掛けてきた作品がたくさん展示されています。ご家族そろってのクリエイター。息子さんの史朗さんの作品もかっこいい・・・。貴重なお話たくさんありがとうございました。

それぞれとビッグハグを交わし、別れ際に4人で一枚。

短い時間でしたが、塩満さんがこれまで営み、これからも続けていくことの土台になっているものの一端を見せていただきました。本当にありがとうございました。必ずまた萩で!


その②はこちら!


これまでの『会いたい人に会いに行く旅』はこちら!