見出し画像

「スタートアップだからこそ取り組みたいブランド経営」イベントレポート

mentoは、シード期にビジョン策定やシリーズAにおけるブランドコンセプトの設定を行うなど、初期からブランドドリブンな経営を思考しています。本イベントでは、株式会社グッドパッチでBX(ブランド・エクスペリエンス)デザイナーとして活躍、現在は株式会社Mutureで執行役員を務める米永さんをお迎えしながら、事業成長の観点からブランドやデザインの可能性を語りました。

株式会社グッドパッチ 株式会社Muture 執行役員 米永さら沙
株式会社 グッドパッチでUIデザイナーとして新規サービスの立ち上げを複数経験したのち、BXデザイナーとしてVMV策定、ブランド構築、インナーブランディングを複数支援。現在では、丸井グループとグッドパッチの合弁会社Mutureに執行役員として出向し、コーポレートブランディング全般を担当。

株式会社mento COO 丹下絵里
リクルート、メルカリを経てmento創業期に2人目のメンバーとして参画。「夢中をふつうに」をビジョンに掲げ、これまで2万時間以上のコーチングセッションを提供。ミレニアル世代のビジネスパーソンの成長をさせている。プロコーチとしても活動中。

なぜ資金調達のタイミングでブランディングを実施したのか

ーーー今回mentoは資金調達のタイミングでコーポレートのブランディングを行いました。このアーリーステージのタイミングでブランディングを実施した背景を教えてください。

丹下入社した初日からブランディングの重要性を感じていました。コーチングはネガティブな印象を持たれやすく、価値が届きづらいです。人に何かを相談するってかっこ悪い、無形商材で怪しいんじゃないか、とか。そのためコーチングについてしっかりと説明する必要があります。今まで良いタイミングがなかったんですが、今回の資金調達が決まったときに今だと思ったんです。

ーーーなぜ今だと思ったのでしょうか。

丹下:ひとつ目は、シード期の探索を経て、「mentoの強みは何か」といった材料が揃っていたこと。ふたつ目は、採用を強化するタイミングであったこと。mentoの価値が一瞬で伝わる言葉やクリエイティブが必要になりました。

実は、以前に「良質なコーチング体験の民主化と社会実装」というミッションがありました。経営陣3人は全く違和感なく「ミッションはこれでいいよね」と社員に伝えたら、これじゃないとなって。改めて議論したら「確かに違うな」となったんです。

ーーー米永さんはBXデザイナーとして、まさにシード期や様々なステージの会社のVMV策定に携わってきたと思います。どのようなケースがあるのでしょうか。

米永:クライアントさんの規模や組織の状態をキャッチアップしてから、目的やプロセスを選びます。例えば、mentoのようにこれから組織を拡大していきたい場合、すでに社内にある一体感や共通言語を言葉や形として明確にしていきます。ほかには、事業が拡大したときにこれまでのVMVだと網羅できないために、つくり直すケースもありますね。

メンバー全員が自分の言葉で語れることを目指した

ーーーブランディングの後、事業における変化や成果をどのように感じられていますか。

丹下:ブランディングの成功状態を「mentoは何のために存在するのか」「自分たちはここで何をするのか」を全員が語れるようになり、後から入社するメンバーも同じように話せている状態と定義していました。実際に今そうなっていると感じています。具体的な成果でいうと、問い合わせの量が増えましたし、採用に関するコミュニケーションスピードが上がりました。

米永:まさにブランディングが成功している状態だと思います。社員一人ひとりがなぜこの仕事をしているのか、自分の会社のビジョンとどうつながっているかを自分の言葉で話せるようになることが重要です。

―――ブランディングを事業成長につなげるために、他に大切なポイントはありますか。

米永:ブランディングと言うと、他社と差別化することという要素もあります。わかりやすいのは価格や機能などですが、目にみえる事柄だけだと他社に真似されやすくなります。ブランディングの本質的な捉え方は、自分たちが何者なのか、ひたすら内側に向き合っていった結果、唯一無二の個性が差別化になること。そうすると、他社が絶対に真似できなくなり、本当にいい事業、いい価値になると思っていますね。

丹下:mentoの場合、ミッションやビジョンが事業コンセプトや経営戦略にかなり密に入ってきています。例えば、ミッションに「ウェルビーイング」という言葉を入れたことで、日常的な皆の思考の中にウェルビーイングが加わるようになりました。

社員一人ひとりの言葉を吸い上げるプロセスの工夫

―――プロジェクトを進めるプロセスやこだわった点を教えてください。

丹下:大切にしたのは、メンバー全員が100%の納得感を持つこと、口に出したくなる言葉にすること、外の人や未来の仲間に伝わる言葉にすることです。それらをこだわり抜かないと、ただきれいなことを言っているだけになり、無意味になると思っていました。

具体的に行ったことの中で、特徴はふたつあります。ひとつ目は、最初に1on1で全員にインタビューしたこと。全員で話す場から始めることもあると思いますが、関係や立場によって発言しにくい場合もあります。そうすると、発話量に差が出てしまう。個別にインタビューをすれば、事前に全員平等に話を聞けるので、その後全員で話すときにも引き出すことができます。

個別インタビューの質問項目とオフサイトの設定

ふたつ目がプロのコピーライターの方を入れたことです。自分たちで言葉を考えることもありますが、デメリットとして外に伝わらない言葉になってしまう、誰かが出したアイデアだから断りづらいという点があります。なので、オフサイトをしてその内容をまとめるプロセスを4〜5回やった後、コピーライターの方に60案くらい出してもらいました。フラットな具体案の中から決めることができたのは良かったですね。

オフサイトのプログラム

―――議論の折り合いがつかなかったり平行線になったりする場面もあったと思います。どのように乗り越えたのでしょうか?

丹下クリエイティブの力が大きかったです。伝えたいことをまとめて、その後実際にコピーライターさんやデザイナーさんにアウトプットをしてもらいました。アウトプットを見てもまとまらない場合は、再び議論をするというのを繰り返しましたね。議論しすぎないというか、アウトプットと議論の往復をするのが大切だなと思いました。

デザインの価値が発揮される非言語部分が持つ役割とは

―――アウトプットの場面ではデザイナーさんとの連携が重要になってきます。米永さんはBXデザイナーとして関わるときに何を大切にされていますか?

米永:デザイナーは、非言語での表現で価値を一番発揮すると思っています。言葉はわかりやすいですが、解釈の余白が少なくなります。例えば、「青」と言ったら青、「明日」と言ったら明日と限定されてしまう。それを非言語であるビジュアルで表したり、少し表現を変えたりしたらどうなるのかなど、言葉から離すことで一気に解釈の余地が広がります。

言語と非言語をつなげることも大切にしていますね。最初に見られるのがキャッチコピーかもしれないし、コーポレートカラーかもしれない。そこでまず興味を持ってもらい「なぜこの色なんだろう」「なぜこの言葉なんだろう」と一歩踏みこんだときに、すべてがつながっていると、理解を深めてもらいやすくなります。

丹下:mentoでもコーポレートサイトやビジョンのキービジュアルなどの非言語部分でも、mentoらしさが伝わるようにしました。例えば、mentoが使っている「夢中」は、例えば「ゲームに夢中」から発想される「楽しい!」という感じではなくて、じんわり自分の人生に集中できていること。それを、コーポレートサイトのじんわりとした光で表現しています。

丹下:ブランディングを経て思ったのは、デザイナーさんがつくるクリエイティブや言語・非言語のコミュニケーションは、経営の意思決定に大きなインパクトがあること。mentoが、何をやるかから決めていく、どのように成功していくかを伝えていく必要があるアーリーのスタートアップだからこそ、今後もブランディングは大きな力を持っていくと思っています。

mentoではデザイナーを積極的に採用中です!

mentoで働くことに興味のある方はぜひ下記から詳細をご覧ください。
https://recruit.mento.co.jp/ 

下記の丹下のnoteではより詳しくブランディングのプロセスを紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?