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「誰でも大歓迎」スタイルについて

昨日の夕方、例の三谷先生の本が届きました。

ウェブでどなたかが書いていたと思うのですが、この本が三谷氏の生前の最後のお仕事の一つとなったとのことで、これは心して読もうということになりますね。

改めてまえがきに目を通すと、最後のあたりになかなかパンチの効いた一節がありました。

「…ですから、クロアチア語の興味のある方のみならず、クロアチアという国に関心のある方、クロアチアに行ってみたい方、クロアチアに旅行してクロアチア語の響きにふれた方、そんな方にはもってこい、つまらない観光ガイドブック(おっと失礼)を手にするよりは、はるかに楽しく実益もある(!)本です。
 もちろん、いろいろな言語、とりわけマイナーな言語に興味のある方、言語学に関心のある方、その他、白水社ファンの方、なんとなくヒマな方、誰でも大歓迎。まずは手にとって、いっしょにクロアチア語とクロアチアへのツアーに出てみませんか?

『クロアチア語のしくみ〈新版〉』(三谷恵子著、2021年.東京:白水社.p3より引用)

不必要に観光ガイドブックにケンカを売りつつ(おっと失礼)、しかし誰でも大歓迎、と締めていらっしゃる。クロアチア語プロパーのみを対象にしているのではなく、いろいろな言語に興味のある人や言語学に関心のある方などにも同書を勧めていますね。

この文言はさすがだなと思います。私も「トルコ語…」のほうを手がけましたが、もちろん言語学に関心のある人にも読んでもらいたいというのは心のどこかにあっても、まず念頭においた読者層は、「なんとなくトルコに関心をもつ、あるいはその可能性がある人たち」だけでしたから。

それにしても。「誰でも大歓迎」(三谷恵子氏)といい、『言語学バーリトゥード』(川添愛氏)といい…何でもあり、誰でもかかってこいというこのストロングスタイルの人たちですよ。マネしたくてもできんなあと改めて思います。

やはり強い書き手になるには、確固たる知識に裏打ちされていなければならないということなのでしょうね…

その地域のことと、言語そのものの構造のことと両方に確固たる自信がないと、こんなまえがきは書けないはずなのです。三谷先生のすごみを、私はこういうところから感じてしまうという、今日はそういうお話です。

ね?だから先日書いたのですよ。「惜しい書き手を失った」と。
改めて、三谷先生に哀悼の意を表します。一度お目にかかってみたかったです。本当に。

さて、話は少し変わりますが。
この白水社の『しくみ』シリーズ、旧版はコンプリートしていますよという話は以前もしたことがあります。が、そろそろ〈新版〉もコンプリートするべき説、浮上してきましたね…

もちろん出費になるわけですが、同じく白水社の『ニューエクスプレス』シリーズをコンプリートするための金額(どなたかの概算によれば、50万円くらいするらしい!)を思えばどうってこと…

えーと1冊あたり2000くらい平均とみて、それが26言語でしょ…\52000

むむむ。5万ちょいですか…
すでに持っているぶんを差し引いても、\40000くらいは必要ということですね…どっかに\40000、落ちてないもんでしょうかね…

というわけで私は自販機に行ってきます。みなさまはよい週末を。Görüşürüz!

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