見出し画像

退職金ってずるく無い?


多くのいいね、ありがとうございます。

調子に乗って?もう一つ記事書きたいと思います。


1. 退職給付(退職金、企業年金)はズルい!!

退職金、企業年金含めた退職給付制度って複雑で分かりにくい!

まぁ私はみなし公務員なわけです。

退職給付に関する本も書きました(どさくさに宣伝させてください))


といいながら、自分の職場の給付のこともよく分からなくなることがあります。

その理由は、

そもそも説明会とか、開催されていない。

自分の給付がいくらかということが分かっても退職事由によって変化するので実感ない。

ということが理由にあります。

退職事由によって退職金が減額される!というのは日本でよく知られている話でしたが、これ海外(欧米)ではマイナーです。


一般に「自己都合退職」は退職金が満額支給されません。企業年金も含まれます

退職金が金の足かせと言われるゆえんです。

実は受給権が確立していることが多い海外(欧米)では、こうしたことはありません。

一定の勤務要件を満たせば、退職事由に限定されず満額給付されます。


この辺りの話はこちらの本を参照していただければ。

例えばアメリカでは・・

「企業年金の受給権を早期に付与すべきこと(ベスティング)」が義務づけられている。5年の勤務により(次述の「発生給付」に対して)100%の権利付与」

5年たったら、満額給付!ですから。


「企業年金の社会保障政策上の位置づけと受給権保護」

政策研究大学院大学教授 島崎謙治

12頁より、このことに関する重要な言及を紹介しましょう。

我が国の企業年金の場合、労働(勤務期間)に応じて年金受給権を付与し没収不可(減額不能)とするという構成を採っていない。このことは米国の企業年金と対照的である。

米国では過去分(過去の勤務に対応して受給権が付与される給付部分)と将来分を峻別し、将来分についての設計変更は基本的に企業(事業主)の自由であるが、過去分については受給権が付業年金の場合、労働(勤務期間)に応じて年金受給権を付与し没収不可(減額不能)とす与され(vesting)、没収不可(nonforfeitable)とされる。簡単にいえば給付減額すること分(過去の勤務に対応して受給権が付与される給付部分)と将来分を峻別し、将来分につはエリサ法により一切認められない(ERISA.Sec.3(19). Sec.203.Sec204(g))。

将来分と過去分が明確に切り分けられ、過去の部分については雇用主が取り上げることはできません。

でも日本は可能です。なぜ?

その方が労働者をコントロールしやすいからです。さらに都合をつけてお金を払わないことが可能だからです。

ひどい所では途中でやめると40%ぐらい減額されることもあります。

ひどいなぁーと思ったことありませんか?

退職するような要因をつくったのは職場のせいかもよ?

もしくは、時に半ば強制的に転職させられるケースもありますよね?

それで減額するの?

労働者をどういうように思ってるんでしょうか?

働き方改革の前に退職金改革が必要だと思いませんか?

2. 前払いや確定拠出年金の方が有難い?

先ほどの記事からのもう一つ転載です。

3 年がんばると、確定拠出年金なら 1 円も減らされず辞めることができますこうした自己都合退職に関する減額ルールの例外となる制度があります。企業型の確定拠出年金です。

確定拠出年金制度は自己責任型の企業年金ということで運用判断は自分で決めなければなりません。そのトレードオフ、という感じで、毎月入金された掛金とその運用益については個人に帰属する財産であるという考え方があります。

そのため「自己都合」「会社都合」という切り分けがないのです。原則として全額をそのまま、転職しても持っていくことができます。

最近はiDeCoが有名ですが、企業で確定拠出型をやっているケースもあります。その場合ですと、減らされない!ということです。

とはいえ、退職金の全てを企業型でやっているケースは稀でしょう。特に大手では、複数の退職給付制度を使い分けているケースが多いので。

ここまで書いていて思ったこと。

勤務条件で制約されている労働者は守られている側面、不利な扱いを受けることもあるという事。

また別の見方をすると、日本は退職金が保護されていないことに引き換えにリストラ、解雇法制が諸外国と比べて厳しいと言われています。

このことは有難い側面もあるでしょう。

退職金にだけ焦点を当てて、熱く語りましたが、実際には、退職金と雇用の関係からみていく必要があるでしょう。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?