雷鳴

ねばねば星人との攻防

肩、凝ってませんか?

デスクワークで椅子に長時間座りっぱなしの人は特に、身体のどこが辛いかと聞かれたらまず肩とか首ではないでしょうか。頭痛持ちで肩が凝りすぎて頭が締めつけられるように痛くて吐き気までする、という方も結構多いですよね。後は肩甲骨のあたりがガチガチで全然動かない人とか、脊柱起立筋(背中の下のほう)が硬直してる人とか、脚を動かさないのでふくらはぎの筋肉が落ちちゃってて全身に血液が回らず、むくんでる人とか。おしりもたいていの人が凝ってます。

*身体は正直*

身体のどこかに問題が生じているというのは、実は心の問題と繋がっていて、悲しみが強いと肺がやられたり、怒ってばっかりだと肝臓に出たりします。感情は内臓に溜まって病を引き起こすのですが、もう少し心理的な悩みというか、その時に自分が置かれている状況に対するストレスが、内臓よりも外側の筋肉や筋に痛みとして表れるのだと思います。

肩が凝っている人は、文字通り『肩の荷が重い』立場にあります。自分のやりたいことを我慢して、周りの人達の分の責任まで背負っている。その立場に対して、自分では力不足だ、こんなんじゃ周りに何を言われるかわからない、などと自分を卑下していると頭が痛みます。周りに叩かれる前に自分で自分の頭を叩いてるのですね。肩甲骨がガチガチになっているなら、義務感から自由に動かせるはずの腕まで制限されていて、身動きが取れないという状態です。誰にも自分を支えてもらえない、と感じてひとりで無理をして頑張っていると、背中のあたりが必死に自分を支えようとして硬直します。

*必要なのはいたわりの心*

凝りをほぐすには、身体面と精神面の両方からアプローチするのが最も効率的です。身体面でいうと、整体やもみほぐしはもちろん西洋医学的な対症療法としては効きます。腕のいい治療家さんならば骨や筋肉を的確に調整してくれますし、他人の手でやさしく触れられることによりオキシトシンという癒やしのホルモンが分泌され幸福感が生まれるので、一時的にはとても有効でしょう。

ただし、整体に限らずレイキやエネルギーワークもそうですが、施術者によっては無意識に『また来て欲しい』という意図が働きがちで、そういう場合は一定の期間が過ぎたらその意図が時限爆弾のように発動してしまうので結局は継続的に通わなくてはならず、残念ながら根本的な治癒には至らないケースが多いでしょう。

ちなみに、鉄板が入ってるかのように強張ってる人には「力いっぱいグイグイ強くもんでほしい」タイプが多いですが、たいていそういう人はまず心が強張っていて他人を受け入れる態勢ができてないことが多く、また気づいていませんが『自分の肩や腰の凝りにはちょっとやそっとの力じゃ効かない』ことに、実は誇りを持っているフシがあります。誰も自分の弱い部分には届かない、でも本当は何とかして包み込んでもらいたいというジレンマを抱えているけれど、それを自覚できておらず、また表に出せずに苦しんでいます。

筋肉が傷ついた自己を修復しようとどんどん厚みを増して周りからの刺激に鈍感になっていることや、本当はやさしくされなければ治らないことを認めたら負けだというように必死に抵抗し「力が弱すぎる、もっとしっかりやれ」と怒り出したりするのですが、硬い部分は内部がケガをしている状態なので力を加えたらもっと傷ついて余計にひどくなりますし、反動でさらに悪化してしまうのです。そういうところはまずは羽のように軽い力で、触れるか触れないかくらいの感覚で慈しむようにそっとほぐしていくべきなのです。

*自らを律する*

ではどうするのが正解かというと、いったんは症状が良くなるまで治療家さんにしっかりと整えてもらい、後はその状態をキープするべくヨガやストレッチをするのがいいと思います。他人にどうにかしてもらった効果はそのうち消えてしまいますし「困ったらまたあそこに行って治してもらえばいい」という姿勢は、依存を生みます。真に自分を癒せるのは自分だけなのです。

呼吸と共に身体を伸ばして脱力すると、セロトニンが分泌されて脳波もアルファ波になりますから、リラックスして全身がゆるみます。細胞に振動を与えると軽くなるので、歌うのもいいですね。はなうた程度でも充分響きますが、のびやかに歌えればなお良しです。音程に自信のない人は、好きな高さで単純に声を出すトーニングをお勧めしますが、目を閉じて言葉ではなく内からあふれてくる音を発音する『宇宙語』発声も楽しいですよ。

*ねばねばを振り払う*

精神面の話では、前述のように『肩の荷が重い』状態から脱出する必要があります。「きちんとせねばならない」「いついつまでにこれを片付けねばならない」「しっかりせねば」「ちゃんとやらねば」「自分が責任を持たねば」…のねばねば星人が、妖怪・子泣き爺のように肩にずっしりとのしかかっているせいで自由が効かなくなっているのです。常にwantではなくmustで動いていると、ねばねば星人に襲われます。

ねばねば星人に取り憑かれていると、その重みで身体は動かないわ気力は湧かないわでみるみる行動力が落ち、何もかもが後回しになってさらにmustが増えて時間もなくなるという無限ループに陥ります。まさに悪循環!こうなってしまったら、そこから抜け出すにはかなり骨が折れることでしょう。

奴らの弱点はスピードです。なにしろ重いので、ゆっくりしか動けません。義務感ではなく、希望や欲求に基づいてすばやく行動している人には追いつけないのです。そういう人はいつも軽やかで、きっと肩凝りとも無縁のはずですよね。心にパッと稲妻のように『これをやりたい!』という光が閃いたら即行動に移せるようになると、ねばねば星人は光の速さについていけず置いてきぼりにされます。さらに、心がワクワクして希望に満ちていると、仮にねばねば星人が背後に貼りついていたとしても、ワクワクの振動でぶら下がっていた手が離れて振り落とされてしまうのです。

2020年の春分を迎え、これからはますますスピード感が必要になっていきます。思いついたことが次の瞬間には形になっている…というくらい、目まぐるしく世の中が動いていく時代の到来です。
「want」=やりたいことに目的を定めて瞬時に動き、辺りには名残のように雷鳴だけを轟かせる…そんなカッコいい生き方を目指してしなやかにありたいものですね。

お福分けのひとしずくをありがとうございます!この波紋を大きく広げていきたいと思います。