革の財布

冬も近づいてきたので、革製品のお手入れ。特に財布は今にも破れそうなので、そーっとそーっと拭く。
買ってから15年は経つか、元の色や形がどんなだったか思い出せないくらい、便所サンダルのようになってしまった私の財布。
あまりのボロさに「買い替えたら?」とよく笑われるが、どういうタイミングで替えればいいのかがわからず、探す気にもなれず。

物をだいじにする主義でもないし、愛着があるとかでもないのだけど、財布として機能してくれればなんでもいいという感じなのだけど、特に困ってないし、自分の皮膚ポケットみたいで目をつむっていても迷わず取り出せて助かるし、替える理由がない。木のラケットと同じで。

革のブーツやカバンなどを粛々とオイルで拭いたり、風を通したりしていると、私はすごく革との相性がいいのがわかる。
人によって、石とか紙とか鉄とか粘土とかガラスとか、素材との相性って必ずあると思うのだけど、私は確実に革が含まれる気がする。
それは育ちとはまったく関係なく、生まれながらのお守りのような役割を果たしているということが理屈抜きにわかる。

「ならばより上等な革で、全身革に!」というのは大間違いどころか真逆の行為な気がして、むしろひっそりと、さりげのない縁ある革製品を中心に、その革に合う素材たちとのバランスをみながら、時に異素材も取りいれながら、あっさりすっきりバランスをとるくらいがしっくりくる。

画像1