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アフターデジタル – オフラインのない時代に生き残る【読書メモ】

今年は本をたくさん読むと決めたので年始のお休み中にとりあえず1冊読みました。このタイミングでこの本を読めたのは自分自身にとってとてもよかったです。
今後の自組織の在り方や自身の働き方について改めて整理できました。

本書の紹介

著者の藤井保文さんが勤めてるビービットのサイトに紹介がまとまっているので書籍の紹介は下記を読むのが一番いいと思います。

MarkeZineさんの紹介記事も参考にどうぞ。

デジタル化が進んだ時代の生活やサービスがどうなるのか?
日本よりキャッシュレスが普及しデジタル化が進んでいる中国の事例を紹介しながら今後のデジタル化した世界を紹介してくれています。

これから活躍していく、生き残っていくためには企業も人も この本で紹介されているようにオンラインとオフラインの融合(統合)した世界をイメージ・意識していく必要があると感じました。 OMO(Online Merges with Offline)の概念を理解することが大事になってくる。(以下図、ビービットのサイトより引用)

ヤフー株式会社 代表取締役社長  川邊 健太郎氏
通常、こういう本を見ると私は「それ、知っているよ。だって、5年前にジャックマーから直接聞いたもん」と言った嫌な反応と嫌な奴になりがちなのですが、これについてはなかなかどうして、OMO(Online Merge Offline)のコンセプトとその価値観、それが訪れた世界の付加価値や手法について極めて俯瞰的、構造的、実際的に書かれていて、改めて自分の中でも整理と成すべきことの確認ができたような気がしました。爽やかだ。

カスタマーサクセスとアフターデジタル

カスタマーサクセスでよく言われている「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」とOMOの概念図はイメージしやすかった。円錐を横から見るのがカスタマーサクセスで円錐を上からみるとアフターデジタル。デジタルの中にリアルが含まれるようになる。

今後はデータを活用して最適なタイミングで接点を持てるようにしていくことがより大事になる。また効率化して空いた時間でハイタッチ、ロータッチを多くしてより多くのお客様から信頼を獲得することが結果的に売上につながっていく。それを本書では高頻度低価格と言っていた。デジタルではよくやっているPDCAサイクルをリアルも含めて早く回していけるようにならないといけない。

高頻度低価格
データをできる限りあつめ、そのデータをフル活用し、プロダクトとUX(顧客体験・ユーザーエクスペリエンス)をいかに高速で改善できるかが競争原理になる。

OMOとO2Oの違い

本書でOMO(Online Merges with Offline)が紹介されたときにオフラインとオンラインをつなげるみたいなイメージでいたけども、それはO2Oでした。O2OとOMOは似ているけど全然違う。これからはOMOの概念が大事になってくる。

O2O:Online to Offline
ネット上(オンライン)からネット外(オフライン)での行動へと促す施策。オンラインでの情報がオフラインでの購買などの行動に影響を与えるような施策

OMO:Online Merges with Offline
常時オンラインに接続しており、オフラインが存在しない世界を前提とし、「リアル世界がデジタル世界に包含される」という捉え方

O2Oは線でイメージ、OMOは面でイメージ。
O2Oはつなぐイメージ、OMOは融合するイメージ。

OMOの概念ではオンライン・オフラインは関係ない。モバイルもPCも店舗もただのユーザーインターフェースになる。本当(広義)の意味でのUXの考えが必要になってくる。

O2O:企業視点。チャネルをつなげて送客することが目的
OMO:ユーザー視点。社会を便利にする。インセンティブを相手に与える。

O2OとOMOは名称が似てるけど概念のカテゴリーが違う。ほんとに全然違う。

ヤフーとLINEの提携とこれから

本書ではタクシー配送サービスのDiDi(ディディ)が紹介されていました。簡単に説明するとアプリ使って近くのタクシーを呼べるサービスです。なんとなく、よくあるサービスっぽいですが、実は全然違っていました。

タクシー運転手の対応をデータで取得してユーザー満足度をスコア化します。スコアによって運転手の給与が変わる仕組みです。お給料をあげたかったらユーザー満足度の高いサービスを提供しないといけない。

スコア化の仕組みがわかりやすい=評価がわかりやすいということで運転手達はサービス改善に努めやすくなる。サービス改善が促進されるため結果的にユーザーは満足したサービスを受けられる。つまり、運転手、ユーザーにWin-Winの関係が築けます。それを可能にしているのが、客観的なスコア化と大量のデータ処理です。

車内がきれいとか接客が良いという項目ではなく、リクエストの応答時間とかジャイロセンサーを使った安全運転度合いとかをスコア化する。ユーザーの本当のインサイト(早く、安全に目的地に着く)を見極めて客観的なスコア化していく視点は興味深かった。(詳細は本書をお読みください。もっと詳しく書いてあります。)

DiDiのサービスは本書のアフターデジタル(OMO)を体現しているものでした。

DiDiは中国最大のインターネット企業テンセントとアリババの2社がそれぞれ支援しています。アリババが楽天、テンセントはLINEと思ってもらえるといいかも。

キャッシュレスが進んでいる中国では、この2社のサービスでほぼカバーされているので中国のデジタル化のTOP2がこの2社です。この2社の大量のデータがあるからこそDiDiのサービスがなりたっている。そしてDiDiで得たデータをほかのサービスに展開していけている。

OMOの浸透にはキャッシュレスの浸透が不可欠です(詳しくは本書参照)。つまりOMOを実現させるためにはキャッシュレスでのデータをたくさん獲得することが大事。

ペイペイのアプリを起動させると「タクシー配車」のボタンがある。押してみるとわかりますが、タクシー配車は日本版のDiDiです。ペイペイの運営はソフトバンク株式会社とヤフー株式会社が作った会社です。つまりソフトバンク系列の会社。

ここからわかるように孫さんの目指しているのは日本版のアリババです。中国のテンセントにあたるLINEも統合していったので今後は完全にアリババのサービス(中国のサービス)を模倣して日本に展開していくと思います。どんなサービスがあるのかは本書を読んでください。いろいろ紹介されています。

とりあえず僕はキャッシュレスサービスはペイペイを中心に使うことにしました。今後もっといろいろとサービスが拡張されていくはず。もともと携帯ソフトバンク使ってたしちょうどいい。

データ管理の徹底と活用を促進させる

カスタマーサクセス部として3000以上のお客様との接点を日々とっているのですが、データの精度がまだまだ荒いと反省しました。また獲得したデータ自体を十分に活用しきれていない。セールスフォースへの入力の徹底とルール化は数年前に比べると格段に良くはなってきていますが、活用しきれているのか?サービスの改善につながっているのか?と言われると自信が持てないのが実情です。

NPS含め顧客データの収集はある程度できるようになってきているので今年はデータの活用を本格的に進めていくべきだと思いました。アウトプット(フィードバック)の精度向上と仕組化を今年は進めていく。高頻度低価格を実現できる組織にしていかないといけない。

UXの5段階が理解できなかった

UXの5段階というものが紹介されていましたが、0~2段階目までしか理解できなかった(それもギリギリ2段階目が理解できたレベル)。もう少し自分なりに情報を整理・再構築して5段階目まで人に説明できるくらいまで理解しないといけないと思ってます。

とりあえず0と1段階目は上記で紹介。詳しくは本書をお読みください。

アフターデジタルって呼称に違和感あった…

モバイルやセンサーが偏在すると減じて宇世界にオフラインがなくなり、「オンラインがデジタル世界に包含される」ようになります。そうした世界を私たちは「アフターデジタル」と呼んでいます。(中略)アフターデジタルの世界観は、あたかも「デジタルに住んでいる」ともいうべきもので、まだ日本ではあまり認識されていません。(「まえがき」より)

アフターデジタルっていうとデジタルの後(次)ってイメージになるので個人的に違和感を感じてします。デジタルが基盤となった世の中なので、デジタルベースとかのほうが個人的には違和感なかったなーと思いました。

そもそもOMOの概念がなかったので、実は本書を読む前は、デジタル施策の後の施策の紹介の本かと思ってました(つまりO2Oの本)。

個人的にはオンラインだけでもオフラインだけでもない、区別せずにどちらも包括したものだからオールラインって名称はいいんじゃないかと思ってたりします。

最後に

デジタル化が進んでいる中国のさまざまなサービスが紹介されていてとても興味深かった。OMO型のスーパー「フーマー」は一度行ってみたくなりました。日本にも数年後にフーマーのようなリテールテインメント(リテール+エンターテイメント)のスーパーができるのを楽しみにしたい。

サービスを使うユーザーとしては便利になっていくかもしれないけども、サービスと提供する側としては危機感をもたないといけないと感じました。アフターデジタルの世の中になっていくのは避けられない。これからの世の中を生き残るためには個人としても企業としても準備・変化していかないといけない。

とても面白かった。続編も出るようなので楽しみにしたい。出たらすぐに買おう。

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