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上野マンガの描き方「1」8ページで100本のマンガを描く方法

 みなさんこんにちは。私はマンガの描き方本が大好きで、好きが高じてそれに関する本を出版させて頂いたりもしているのですが

 暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」
(SPA!BOOKS) 上野 顕太郎 https://www.amazon.co.jp/dp/B016O5CRWS/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_iaQVEbV5M7YW5 


すみません、すかさずこういうの入れさせて頂きますね。みなさんもきっとお好きですよね⁉OK!そんなわけでこのコーナーでは私の作品を基に、こうすればあなたにもマンガが描けるというノウハウをお教えしたいと思っています。
      

         第1回の作品は「泉のごとく100本立て」


 コミックビーム連載「夜は千の眼を持つ」の100回という節目の回なので、何か特別な作品にしようと担当と打ち合わせました。どうしようかと考えていたところに妻の一言

   「100回だから100本立てでいいんじゃない?」

これです。そんな事を聞いてしまったらやるしかないではありませんか。ありませんよね?私の作品はほぼアナログ作業なので、以下はアナログ前提の進行となります。
 相当細かいコマ使いになる事は予想されますが、かつて誰もやった事がないであろうという点が重要。ギャグマンガの世界はネタの喰い合い、早い者勝ち、思いついたのならやりましょう!これまた大変シンプル。
 普段ならばネームを描いて担当のOKをもらってから描き始めるのですが、100本のチェックは双方にとって難儀なので、作家に一任されます、長い付き合いの担当編集とは、こういう時のために信頼関係を結んでおくに越したことはありません。
 さてここからはネタを考えつつ実作業に入ってゆきます。通常連載枠は8ページなので、その中に100本の短編を入れるというのがキモになります。
ページが増えれば100本入れやすくなり、読者にインパクトを与える事が出来ません。

 原稿用紙の寸法から、扉にタイトルと2本、残りの7ページに1ページ当り14本を入れる事にしました。片起こしの扉部分には下の方に2本ちいさなマンガが載っているだけなので、一見した読者には事の重大性が伝わってはいないでしょう。ページをめくった見開きで驚くという流れを作りだします。
 

 なにしろ量が多いので様々なジャンルのマンガを描くと変化をつける事にしました。SF、ホラー、パロディ、恋愛、童話、リポート、風刺、忍者、等々・・・この辺でもう下描き、ペン入れを開始します。全体のバランスを見ながら、一段づつ埋めてゆくという感じ。写真マンガを入れたかったのですが、通常の大きさでは細かすぎて作業しづらかったので、少し大きめに作り、後ではめこみました。ここでは紹介しませんが、リポートマンガも同様です。
 これだけ細かいと、セリフに活字を使う事にすると作業が煩雑になり過ぎるので文字は全て手描きです。


            そして完成作がこちら。

     

百本立て1

      

  抜けている箇所にはレポートマンガが入ります。ゲームに関する記述があるため、下段にコピーライトが入っています。

百本立て2

      

      別紙で入れた写真マンガ、原版はカラーでした。


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 描いた当時は肉眼で対応出来ていましたが、現在はメガネ無しでは読めないというこの作品、読者にとっては高いコストパフォーマンスも作者にとっては非常に低いわけです。普通のサイズで描いていれば、ゆうに連載10回分以上にはなるでしょう。原稿料も十分の一。・・・改めて数字を示されると自分の採算度外視っぷりにクラクラしますが、ご安心下さい。後にこの中から何本か救い上げ、セルフカバーと銘打って再利用させて頂きました。

いかがでしたか?今回のポイントは
        「思いついたのならやりましょう。」です。

ここさえ押さえておけば、あなたにも上野マンガがかける筈です!

今回の作品は「明日の夜は千の眼を持つ」に収録されています。

明日の夜は千の眼を持つ【電子特典付き】 (ビームコミックス) 上野 顕太郎 https://www.amazon.co.jp/dp/B01MSL6ITG/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_4n9VEbSC4Q8CN @amazonJPさんから


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