竹内智美

本業会社員です。 副業でショートショートや短編小説作家、といえるようになります。

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最近の記事

《ショートショート》白だけの花束

パソコン画面に広がる白い背景と黒色の文字。 カタカタと音をたてて打つキーボードの音。 タン! エンターキーを押して、男は息を吐いた。 背もたれに身体を預ける。 明日までに仕上げないといけない書類があるから、こうして休みの日に家で仕事をしているというのに、いまいち進まない。 男は頭をかきむしった。 原因はわかっている。俺の気もしらないではしゃいでいる、あのガキだ。  男の部屋の窓の向こうには、秋らしいコスモスが一面に咲いていた。 さっきから、女の子が、そのコスモスを見てはとびは

    • 宅配便を待つ2時間が苦痛な人へ

      買ってよかったもの、ときいて真っ先に書きたかったのは 宅配バッグOKIPPAという宅配ボックスがバッグになった物です。 宅配便が届く時間が指定されている2時間は身動きがとれないもどかしさ。不在票がきているときの申し訳なさ。 そんな悩みを吹き飛ばしてくれます。 OKIPPAはドアノブに吊り下げておく宅配バッグです。 不在時や、お風呂などで出られないときに、配達員さんがこちらのバッグに荷物をいれてくれるのです。 価格は3980円で、平均10000円はする宅配ボックスより断然安

      • 人生の夏休みは前髪がないのかも

         大学時代は人生の夏休み、と言われる。 社会人になったら遊べなくなるから、時間がありあまっているうちに遊んでおけ、という、あまりよろしくない意味である。  実際、大学生の頃は友人と 「大学時代は人生の夏休みっていうけどさ、うちらだって講義やレポートやバイトで忙しいじゃんね!」と憤慨してた。  そしてお互い社会人になり何年か経つと今度は「社会人ってほんとに大変!大学時代は人生の夏休みじゃないなんて怒ってた自分を平手打ちしたいわ」と笑っていた。  今振り返れば、私みたいな親のす

        • 飛行機雲がずっとのびていますように

           《#また乾杯しよう》の応募に8月12日の日航機墜落事故を哀悼する小説を書こうと思っていた。  だが、やめた。書くなら最低限、もし御遺族の方が読まれても失礼のない小説にしたいが、リアルタイムですら関わっていない私にそれが出来るのか。自信がなかった。  亡くなられた方と乾杯したかったのではないか、をテーマにするつもりだったからこそ、何が乾杯だ!と思われそうな作品しか仕上げられそうになかったのだ。  それでも、書くのをやめても、今年はなぜか、12日を過ぎても頭から事故が離れなか

        《ショートショート》白だけの花束