入国制限の遅れはなぜか_聖火ランナーとコロナウイルス

五輪開催目的をアスリートの美談にすり替えてはならない。誰が何のためにコロナ禍の下で五輪を強行しようとしているのか。

防疫と国民の健康が第一だ。

東京オリンピックは2013年9月17日、第125次IOC総会で開催が決定した。

しかし、2019年12月8日に中国武漢市で原因不明の肺炎患者が報告されたのちに、同月18日にイタリア北部で新型のコロナウイルが確認され、同月30日に中国のインスタントメッセンジャーアプリWeChatで医師李文亮がコロナウイルスの発生を告発し、中国政府から訓戒処分を受ける事態などが起きる。(李文亮氏はコロナウイルスに罹患し、2020年2月7日に死亡した。33歳だった)

そうしてあれよあれよという間にこの新型コロナウイルスは世界中に伝播し、2020年3月11日、WHO(世界保健機関)は世界的、地球規模の被害をもたらす「パンデミック相当と言える」と発表した。

2019年末から2020年の春にかけてたった数ヶ月で全人類は未知の感染症の恐怖に覆われてしまった。

日本はそれだけでは済まなかった。東京オリンピック開催の延期である。世界中からの観光客を期待した新規事業は計画変更を余儀なくされ、インバウンドを期待した商業施設は開業の延期に追い込まれた。

五輪開催期間、目玉商品と当てこまれた東京2020のロゴマークがついたグッズは大型スーパーの隅に追いやられた。(2020年7月27日現在)

日本は島国である。世界規模、地球規模の感染症に対して優位な立場にあった。鎖国ができるのである。海外旅行や離島に旅した人は昆虫や植物の持ち込みに厳しい制限がついたハンドブックを読んだことがあるだろう。防疫だ。

五輪開催に湧く日本で最も気をつけなければいけないのは、防疫だったことはいうまでもない。感染症患者が溢れる国で世界から観客やアスリートを呼べるまでもない。しかし、このパンデミックが宣言されてから、日本の防疫は素早くコロナウイルスに対応したか、というと多くの有識者が疑問符を投げかけている。

2020年6月25日付け「西日本新聞」は興味深いコロナ検証記事を上げている。『入国制限が遅れた代償は五輪開くため聖火到着待ち、ウイルス拡散 』

大本の内容は欧州で五輪開催に難色を示したが、五輪開催に拘る安倍政権、安倍首相は聖火ランナーを国に入れれば、開催は確定する。ということで聖火ランナーを待つためにコロナ対策の要である入国制限を伸ばしていたというものでる。

コロナよりも五輪、防疫よりも聖火ランナー

コロナウイルスの感染源は「夜の街」や「若者の集合が〜」と連日個人の責任のようにマスメディアが限定しているが、外国から来たコロナウイルスを最小限に防ぐ手立てを怠った責任、政治家の防疫の失敗こそ連日追求されるべきで、五輪開催に拘泥する安倍政権に国民の健康は揺らいで行くばかりだ。

このままでは感染症の病人だらけの国に五輪どころか経済回復の頼みの綱である観光客も寄り付かず。今後、一国の首相が選択すべきは五輪ではなく、国民の健康だったと国民に向けて謝罪する日は来るのだろうか...


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