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ゾンビとタフグミ

深夜のコンビニは人の思考を停止させるのか。それとも、たんに私の問題なのか。

真夜中にコンビニに行くときの自分は非常にぼんやりしている。感情が茫漠としている。ほとんど死んでいるも同然である。そのありようはゾンビの近似値だ。そのため、予想外のことがあれば途端に破綻する。アドリブで修正することはできない。ゾンビに即興性はないのである。

今日がそれだった。当初の予定では、グミを買うはずだった。品名も決めていた。タフグミである。現在の私はこれにハマッている。だからタフグミのことを考えながらコンビニまでの道を歩いた。もっとも、そのありようはゾンビの近似値であるゆえに、「タフ……グミ……」程度の思念しか頭を流れていない。

それでも、店にタフグミがあれば問題はなかった。しかし、なかったのである。タフグミというのは微妙な立ち位置の菓子で、知名度も低く、定番の菓子とは言えない。店によって置いていたり、いなかったりする。私の行ったセブンイレブンにはなかった。そしてすべてが瓦解した。目的のものがないまま店内を徘徊するはめになった。なにも買わずに帰るわけにもいかん。残されたのは、深夜三時にコンビニを徘徊するゾンビだ。

帰宅後、袋の中を見た。日清カップヌードル、ジム・ビームのハイボール350ml缶、おっとっとのうすしお味、そしてブラックサンダーの偽物みたいなチョコが入っていた。まったくビジョンが見えてこない。全体像が描けていない。ゾンビの買い物はこれだから困る。なぜ、タフグミのかわりがこれなのか。タフグミの空虚を埋めようとして、まったく埋められておらん。シャキッとしろ。

おっとっとのうすしお味はカップ型で、こんな商品があることは今日まで知らなかった。自分にとってレギュラーメンバーでも何でもない。どうも、最初にカゴに入れたカップヌードルの印象に引っ張られて、似た形状のものを買ってしまったんじゃないか。深夜のゾンビ状態では、どれだけアホらしいことも起こりうる。

ちなみに、ブラックサンダーの偽物みたいなチョコの正式名称は、セブンプレミアムの「ザクザク食感のブラックブロックチョコ」で、これはゾンビ状態でもブラックサンダーを意識した商品だと判断できた。インス……パイア……。

めしを食うか本を買います