2014年から2016年の『真顔日記』通常回をまとめたもの
上田啓太
マガジン「真顔日記 通常回 01」に収録されたすべての日記を縦スクロールでまとめて読むためのページ。 B'zの稲葉と同居しても自分は歌がうまいと思えるか?今の家に住みはじめるまで、私は一人のネコ好きを自認していた。なんせ実家でもネコを飼っていたし、犬と猫ならば迷わずネコを選ぶほどのネコ好きである。 しかし三十一歳女性と同居するようになり、この女の圧倒的なまでのネコ好きぶり、というかネコ狂いと言ってもいいような日常を目にした瞬間、気軽に自分はネコが好きだと言えなくなった。
今の家に住みはじめるまで、私は一人のネコ好きを自認していた。なんせ実家でもネコを飼っていたし、犬と猫ならば迷わずネコを選ぶほどのネコ好きである。 しかし三十一歳女性と同居するようになり、この女の圧倒的なまでのネコ好きぶり、というかネコ狂いと言ってもいいような日常を目にした瞬間、気軽に自分はネコが好きだと言えなくなった。 「好き」というのも相対的なものである。たとえば、あるアーティストのヒット曲をちらっと聞いて「好き」と言うのも、インディーズ時代から何十年と追っかけて「好き
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2016年から2018年の『真顔日記』通常回をまとめたもの
マガジン「真顔日記 通常回 02」に収録されたすべての日記を縦スクロールでまとめて読むためのページ。 セブンイレブンを想いながらファミリーマートに抱かれる近所にセブンイレブンができた。 といっても、家からは微妙に離れており、最寄りのコンビニではない。 それでも生活圏ではあるから、オープニングセールに行ってみたんだが、これが予想以上に大きい店舗だった。たまに郊外で見かける駐車場が異常に広いコンビニ、と言えば伝わるだろうか。だから品揃えも充実しており、もともとセブンイレブン
近所にセブンイレブンができた。 といっても、家からは微妙に離れており、最寄りのコンビニではない。 それでも生活圏ではあるから、オープニングセールに行ってみたんだが、これが予想以上に大きい店舗だった。たまに郊外で見かける駐車場が異常に広いコンビニ、と言えば伝わるだろうか。だから品揃えも充実しており、もともとセブンイレブンは自社ブランドに力をいれていることもあって、私のなかに突発的なセブンイレブンブームが生じた。色々と商品を買ってみては、これはうまい、あれもうまいと考えている
『真顔日記』に掲載した文章のうち、同居人(のちの杉松)が登場する回をまとめたもの
マガジン「細長い二文字」に収録されたすべての日記を縦スクロールでまとめて読むためのページ。 私は人の家の物置に住んでいる小部屋じゃなくて物置だった。このあいだ気づいた。私がいま住みついている二畳の空間、これを六年にわたって私は小部屋と呼んでいたが、ちがう。物置である。同居人に指摘されて気がついた。昨冬、「俺の小部屋は寒い」と言った時、「まあ物置だもんね」とサラリと返されたのである。
『真顔日記』に掲載した文章のうち、ネコたち(と杉松)が登場する回をまとめたもの
数年前は1匹だったネコが4匹まで増えている。同居人があちこちで拾ってくるからだ。さすがネコ狂いである。だいたい年に1匹のペースで増えている。そのたびに微妙な心理変化がある。なので今日は、「ネコが増えることで飼い主の心理はどのように変化していくか?」を書いてみたい。 まずは1匹。ネコのいない生活から、ネコのいる生活へ。結局は、この変化が一番大きかった。端的に言えば、笑顔が大幅にふえた。日常におけるスマイルの激増である。 ネコを飼っていない頃、同居人の寝顔は不動明王のようだっ
『真顔日記』の最初期、杉松の家の物置に住みはじめてすぐの頃の文章をまとめたもの
マガジン「真顔日記 初期」に収録されたすべての日記を、縦スクロールでまとめて読むためのページ。 真顔の男と真顔の女京都にて、三十一歳独身女性の家に居候している。 働いてはいない。 こんなことを書くと、読者の方々にひとつの疑念がわくことだろう。この上田という存在は、女の家に転がりこんでろくに働きもせずタダ飯をかっ食らう男、すなわち、「ヒ」ではじまり「モ」でおわる例の二文字なのではないかという疑念だ。 どうかやめていただきたい。こちとら、その二文字にすごく敏感になっている
京都にて、三十一歳独身女性の家に居候している。 働いてはいない。 こんなことを書くと、読者の方々にひとつの疑念がわくことだろう。この上田という存在は、女の家に転がりこんでろくに働きもせずタダ飯をかっ食らう男、すなわち、「ヒ」ではじまり「モ」でおわる例の二文字なのではないかという疑念だ。 どうかやめていただきたい。こちとら、その二文字にすごく敏感になっているのだ。疑念を振りはらうのに必死なのである。ちょっと油断すれば、「あれ、今の俺ってヒとモの二文字で説明できねえ?」と思
ひさしぶりに銭湯に行き、湯につかってリフレッシュしたあと、脱衣場で体重を計って驚いた。以前より3kgほど減っている。 記憶では172cm、55kgというのが自分の身長体重であり、これでもずいぶんな痩せ形だったのだが、体重計には52kgと表示されたのだ。55kgから52kgへ、貧弱な男として、またひとつレベルが上がっている。かつて、こんなにも望まれないレベルアップがあっただろうか。 脱衣場には浅黒い肌をしたボクサー体型の若者がおり、私はケンカすれば惨敗すると思ったので距離を
三十一歳女性が仕事帰りにコンビニに寄ったようで、レジ袋をさげてきまして、取り出したのはチョコボール。愛らしいキョロちゃんの顔が描いてある。これはすばらしいということで、ものほしげな顔で見ていたら、「あんたの分も買ってあるよ」と太っ腹なことを言われたものだから、本当にこの家に転がりこんで良かった、この女はすばらしい、住まわせてくれる上にチョコボールまで買ってくれる、きっと女神にちがいないと心底感動した。 女神(31)からチョコボールの小さな箱を受け取る。軽く振ってみると、中で