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[読書] 苦しかった時の話をしようか


ユニバーサルスタジオジャパンを見事に再建した森岡毅さんの本。
これから社会人になる娘さんに向けて書いている。

一言でいうと自分をブランドにすることが書かれている。

森岡さんはP&Gの日本法人からアメリカ本社、そこからユニバーサルスタジオジャパンに経営陣として参加し見事なV字回復をさせた人物。ユニバーサルスタジオジャパン時代のことを書いた著書はベストセラーになっている。

・『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
・『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』
・『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』

森岡さんは数学をマーケティングを適応することの達人で、それについては『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』で詳しく解説している。じっくり読んでいるのだけどなかなかハードな内容。でもとても面白い。

さて、本作
まず、キャリア形成において、「自分が何を求めているか?(=自分の軸)」を明確にすることが重要としてる。

次に、「自分の強み」を明確にすることを説いている。自分の強みは周りとの違い、ユニークな特徴にいち早く気付き、その強みを「稼げる職務」まで育て上げることが大切だとしている。

本書ではないが任天堂の故岩田さんも強み(=得意なこと)を早く見つけた方がいいと言っている。

「“労力の割に周りが認めてくれること”が,きっとあなたに向いてること。それが“自分の強み”を見つける分かりやすい方法だよ!」

さて、本書では強みに気付くには、自分が「Thinking型」「Communication型」「Leadership型」のどれに当てはまるか調べることをすすめている。
3つの型とは
・Thinking型 考える力があり、戦略性が強味
・Communication型 伝える力に秀でていて、人とつながる力が強み
・Leadership型 変化を起こす力があり、人を動かす力が強みになる

であり、見つける方法としては、自分の好きなことを100個あげて3つに分類する方法をすすめている。(ポストイットに書いて分類する)

自分の「軸」と「強み」が分かれば、つぎに自分をブランドにすることを説いている。
ブランド・エクイティ・ピラミッドというものを使う。

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画像出典:森岡毅 著『苦しかったときの話をしようか』(2019年・ダイヤモンド社)

・誰に→何を→どうやって、を設定する。
・誰に=戦略ターゲット・コアターゲット。
・何を=ベネフィット/本質的な価値、価値の根拠=(RTB)。
・どうやって=手段・ブランド・キャラクター。
価値は強いか、信じられるか、際立っているか、自分の本質と一致するか、が大切。ブランドエクイティと一致した行動をとり続ける。信念と行動の一致が大切。

ここでは紹介しないので本書を読んでほしいが、就職に望む当時の森岡さんのブランド・エクイティ・ピラミッドと、就職活動をアドバイスした学生のもの(学生が自分で作ったものと、アドバイスを受けて作ったもの)が例としてある。

学生へのアドバイスとして、今現在の自分でなくていい目標の人物像でいい。しかし、ブランドエクイティと一致した行動をとり続けることが大事。だから、自分の本質をよく知って、信念と行動を一致させることが大切としている。

ちなみにブランド・エクイティ・ピラミッドは検索するとたくさんの例や解説があるので、興味があれば調べてみるといいと思う。

さて、さらに森岡さんは自分の弱みについても語っている、これがタイトルである「苦しかったときの話をしようか」の苦しかったことだ。

電話が怖くて携帯電話をいつまでも持てなかったこと。アメリカでは数々のいやがらせを受け、ベッドから出ることに勇気が必要だったことを赤裸々に語っている。『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』でも苦しかったことは書いてあったが、冗談っぽく書いてあったので、そんなに深刻だったとは思わなかった。

森岡さんは古典的な「出る杭は打ち返す」タイプの人なので信念を持ち続け最終的には周りも納得させたけど、ちょっと真似できないと思いました。

そこで最初の「自分が何を求めているか?(=自分の軸)」が大切になるのだと思う。だれもが森岡さんのようなハードなビジネスマンや経営者になる必要はない。しかしどんな人生に「苦しい」ことはいくつもある。そのときに「自分の軸」が大切になるだろう。






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