S.ストーリーズのあとがき

*こちらは、S.ストーリーズ公演のあとがきのみです。+上演台本は別です。

あとがき:今回のS.ストーリーズ公演は、劇団かもめんたるで初のオムニバスストーリーをやるという試みでした。僕はもともとコントをやっていたので、長編をやるというのがそもそも『演劇』に挑戦するときの、一つの命題でありました。なので、いつかはオムニバス、ショートストーリーの詰め合わせをやりたいなぁと思いつつ、あんまり早くやると、「あいつ、やっぱ長編書けないんだ」って思われたら嫌だなぁという、負けず嫌い精神からなかなかオムニバスをやる機会には恵まれずに来ました。

それがなぜ、このタイミングで、やったのかというと。劇団でキングオブコントに出たとき(予選で負けちゃいましたが)に、凄く学びがあったんですよね。これは僕もそうですし、一緒に出た劇団員の小椋大輔ともりももこ、そして槙尾にもあったと思うんです。で、劇団でコントに近い公演をやりたいなと思ったのと。今年の夏にパルコプロデュースの公演をやるのでそのために長編を秋に書いてたんですね。その前には夏に「ソルティーなんとかメモリー」があって、で、これから冬の公演に向けて長編を書くってなったときに、ゲロが飛び出そうになったので、「あ!そうだ!オムニバスやろう!」ってなったんです。

一つ目の「はじまり」

「しゃがいも~」と瞬間移動してきたマラソンランナ-とコーチの話ですね。この話。これが今回のテーマにも近い、コントでも演劇でもない、とも言えるし、コントであって演劇であるとも言えるような、お話し、を目指しました。最後の「僕たち夫婦は今でも彼らのことを『しゃがいもの二人』と呼んでいます」と言うところは、凄く凄く好きですね。この話、最初は、マラソンランナーとコーチとは違うキャラクターというか役柄を考えていて。理想では、小学校の徒競走でゴールした後、2位とか3位の所に連れて行かれるあの瞬間、つまり「走ってた子」と「引率の子」があの徒競走直後の躍動感で現れるというのをやりたかったんです。ショートフィルムにするなら、ぜひそうしたいな。おもしろいですよね。「しゃがいも~」は自分でもどうやって出てきたかは憶えてないんですが、妖怪の仕業というのは後付けで、この時は単純にオシャレな家時間をブッ壊すなんかダサイ語感の言葉ということで作ったと思います。この、しゃがいもと瞬間移動のランナーたちが無関係って言うのも、世の中の現象としてありそうで好きです。

「解散話」は、ムカデになっちゃう芸人の話ですね。なんか見た目に分かり易いものをと考えて、最後の方にできたコントでした。ゲストの四柳が活躍できるネタをと思って書きました。本当は、中盤ぐらいでやろうかと思ったんですが。他のキャストとかのバランスで二番目のネタになりました。見た目がムカデになってれば思考もムカデになっていくんだろうなってところが、新しいかなあと思ってます。本人が立派なムカデになりたがってる所と別れをそれにより感動的な別れすらできない残された者の辛さというか残念感が好きです。

ここから先は

1,977字

¥ 400

僕のお笑いが好きな方 一杯奢って下さい!