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“3285の回想”【2013年前半】

初ワンマン

鉛のような北風も
「衝動」という暖の前では無力化する。

師走を駆けずり回り
雪解けの季節をくぐり抜け
あっという間にここは3月。

心のまま進む僕らは
初ワンマンライヴを目前に控えていた。


結成した時に決めていた。
“一年後にワンマンライヴをやる” 

僕らは24〜25歳。
今振り返ればまだ若いと思うけど
当時はバンドをやるには遅いと思っていた。
だから必死だった、生き急いでいた。

毎日スタジオに入り
毎週ライブをして
たくさん曲を作っていた。

そんな中、ありがたいことが起きていた。
地元名古屋ZIP-FMの女性ディレクターTさん。
偶然Qaijffのライヴを観たことをキッカケに
1st Single「誰かになりたいわけじゃない」
ラジオで頻繁に流してくれていた。

それもあって
「Qaijffを知っている人」
が少しずつ増えている実感があった。

おかげさまでチケットはソールドアウトした。

「本当にみんな来てくれるのかな」


初めての事だから
当日まで不安は消えなかったけど

蓋を開けてみればそこには
興奮の景色が広がっていたのだ。


この日も基本はトリオ編成。
ただこのfutereのように、曲によって
・ギター
・バイオリン
・チェロ
のサポートメンバーと演奏した。

バイオリンのキエちゃん
チェロのユウキちゃんは
その後もサポートしてもらっているから
ベテランのクアイフィーは知ってるかな。

栄ミナミ音楽祭(2013春)

ちくさ座ワンマン(2014夏)



ギターのナカチーは
QaijffがQaijffになる前のメンバー。
というのも
実はピアノトリオになる前
一瞬だが
ピンボーカル森のバンドにする計画があり
4人でスタジオに入っていたことがあるんだ。

(当時の森はピアノを弾くことを嫌がっていた)

しかし仕事の都合でナカチーが離脱。
残された3人で
ある種
妥協案として今のQaijffは結成されたんだ。

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この日
会場限定Sg「Repeat」も販売開始したんだ。

◆収録曲
1. リピート
2. escapism
3. Life

手前味噌だけど
今聴いてもなかなかの名盤だと思うんだよね。

サウンドクラウドで今でも聴けるよ。

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サポートメンバーの熱い演奏にも助けられ
初ワンマンは大盛況で幕を閉じた。
嬉しかった、楽しかった、達成感があったよ。

でも一つだけ。たった一つだけ。
ずっと胸に引っ掛かっていることがあるんだ。


ファンのみんなから初めてもらった寄せ書き。

終演後

「嬉しいな〜何が書いてあるかな〜」

ウキウキで指で文字をなぞる。


“森さんへ”


“三輪さんへ”


“内山さんへ”


う、う、うちやま..........

目の前が白く飛んだよ。

書いてくれたあなた。

あれってマジで何だったのかな。

ボケかな?
僕のツッコミ待ちだったかな?
それともミス?
それとも本当に本当に内山だと思ってた?

ねぇ、ねぇ、説明してよ!

んーー!

やっぱいい!

どうせ傷つくから!

いや、嬉しいんだよ?
ありがと、ありがとね。

うん、嬉しいんだよ......うんうん、うん。

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色紙を両手に
白目を剥く僕と
そんな僕を指差し爆笑する悪魔二人。

あの日の恐怖心からか。
以降自分のことを

うっちー

と名乗ることにした。

ちなみにだが

次の名古屋クアトロワンマンの寄せ書きも
僕はやはり内山として存在することになる。

あれ以来
朝目覚めると

自分が内田なのか
それとも内山なのか

分からなくことがあるよ。

意識朦朧の中
玄関を出て表札を見る。
そこでやっと意識が正常にアクセスするんだ。

何はともあれ

内田でもなく、内山でもなく

Qaijffの音楽を
愛してくれている素敵なファン

に恵まれて
僕らは新たなタームに突入していくのであった。


ラジオ番組『Qaijff Turn』開始



ワンマンが終わり
4月からすぐにZIP-FMでの初の冠番組
『QaijffTurn』が始まった。

結成1年。
流通音源も出していないアーティストが番組を持つことは
かなり異例なことだった。
それもすべて僕らを見つけてくれた
ディレクターTさんとの出逢いがあったから。

その方は今、別の仕事をしていて
久しく会えていないんだけど
今でも本当に感謝しているし
ずっと繋がっていたい大切な人。

またみんなで飲みに行きたい。

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この時期、まだ僕はサラリーマンだった。

しかし
相変わらず多いスタジオとライヴ。
さらにラジオの収録もいきなり増えたので
僕が収録に行けない日もあった。

(おっと、手が滑った)



森は喋り上手

幸宏は聞き上手だ。

二人の放送を聞く度

「いいなぁ、このバンド」

と無責任にも思っていたよ。

特に幸宏。
彼はラジオDJに向いている声だと思ったんだ。
これが後のあのキャラクター誕生に繋がるんだが

それはまだまだ先のお話。

Qaijff Turnでは
他のアーティストとのコラボも積極的に行った。
深夜の生放送もたくさんやった。
とにかく
攻めたことをするクレイジーな番組だった。

スタッフさんは大変だっただろうなと思う。

このQaijff Turnをきっかけに

以後僕らは

Qaijff Turn

Qaijff Turn Returns

3TOP TUNE!!!

と番組名を変えながら
トータル約5年間
ZIP-FMで番組を担当することになる。


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僕らはどんどん加速していた。

しかし同時に焦っていた。

春を超え
夏の入り口に立ち
自分達で自分達に課した目標が
目の前に大きくそびえ立っていた。

「6ヶ月連続企画」


バンド史上最長の挑戦が
今まさに始まろうとしていた。







【2013年後半へ続く】

最後まで読んでくれてありがとう。サポートは新しい音楽を届けるために、すべてQaijffの活動に使わせて頂きます。