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ひたすら面白い映画に会いたくて〜17本目『天使にラブ・ソングを…』〜

17本目:『天使にラブ・ソングを…』

   『天使にラブ・ソングを…』(1992)

  脚本:ジョゼフ・ハワード / 監督:エミール・アルドリーノ

        「歌って踊れる教会のアイドル」

あらすじ

 主人公のデロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)は、ネバダ州のリタにある「ムーンライト」というクラブで歌手として働いていた。それと同時に彼女は、ネバダ一帯を牛耳るマフィアであるヴィンス(ハーヴェイ・カイテル)の愛人でもあった。
 ある日、デロリスは偶然ヴィンスの殺しの現場を目撃してしまう。そのせいで彼女はヴィンスに口封じのため命を狙われる立場になってしまったのだ。

 デロリスは命からがらヴィンスの部下から逃げ切り、そしてそのまま警察に駆け込み助けを請うた。だが、どうやら彼女が裁判で証言をすることが今のところヴィンスを逮捕する唯一の証拠らしいのだ。なので、次の裁判で彼女が証言するまで、どこかで彼女の身を隠さなければならないという事態になった。
 そこでここは安全だろうとサウザー警部補(ビル・ナン)が選んだ場所が修道院だった。そこからデロリスの修道院での尼僧生活が始まる。

 その後のお話はぜひ本編を観て楽しんでいただきたい。ここから先がこの映画の醍醐味なのだ。

私の1番好きな場面

 私の1番好きな場面は、冒頭のカトリック系の学校に通っていた幼少期のデロリスの場面である。

 先生の「十二の使徒を言ってください」という質問に、デロリスは「ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ」と答える。もうこの冒頭から笑わせてもらった。しかしこれだけでは終わらない。怒った先生は、十二の使徒を黒板に書きなさいとデロリスに命令する。

 そして、デロリスは黒板に名前を書き出したのだが、さっき答えたビートルズのメンバー以外に「エルヴィス・プレスリー」の名前も付け加えて書いたのである。このデロリスの行動には、先生もカンカンに怒ってしまった。

 この冒頭の場面だけで、主人公デロリスの性格が見えてくる。彼女は幼い頃からキリスト教やシスターが苦手だが、音楽は大好物。ビートルズやプレスリーの音楽が大好きであったのだ。先生からは「あなたは将来ロクな目に合わない」と忠告されるが、そんなこと彼女の知ったこっちゃない。好きなものを自由に追いかける人生を彼女は送っていくことになる。

 観客を笑わせながら、同時に主人公デロリスの特徴を冒頭にこれだけわかりやすく詰め込むなんて素晴らしい。何でもつかみは肝心だと言うが、この映画のつかみは最高であったな。このデロリスの過去の話が、見事なフリとなって物語が進むごとにじわじわと効いてくる。なんて素晴らしい脚本なのだ。

最後に

 本作は観ていてとっても元気をもらえるパワフルな作品であった。聖歌隊が楽しそうに歌うシーンでは、観ているこちらまで楽しくさせられる。自然と笑顔にさせてくれる作品であるのだ。テンポも良いし、音楽もいいので何度でも観れる。歌と踊りは最高のエンターテインメントだなと改めて感じさせられた。本作は文句なしにおすすめできる作品の1つである。

 この映画は少し気分が沈んでいる時に観ると、その陰鬱な気分を一気に吹き飛ばしてくれるような勢いをもっている。疲れている時や少し元気がないなと思ったときにこの映画を観るといいかも。

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