『ロッキー』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜53本目〜

   中学生の頃に1度観たことがあったのだが、前半の内容をものの見事に忘れてしまっていた。『ロッキー』は、こんな場面から始まっていたのか、と驚いたものだ。

   昔は、ボクシング場面ばかりに目が向いていたのだろうな。今回、ロッキーの下積み時代の描写を新鮮に観ることが出来て良かった。ゴロツキであった頃のロッキーも悪くないじゃないか。

   良い映画は、何回観ても得るものがある。そのことを身に沁みて感じさせられたなあ。

53本目 : 『ロッキー』 (1976)

                『ロッキー』 (1976)

       脚本 : シルヴェスター・スタローン / 
       監督 : ジョン・G・アヴィルドセン

      「敵は自分自身 自分の殻を破り切れ」

物語の概要

   本作は、ロッキーシリーズの記念すべき第1作目であり、第49回アカデミー賞で作品賞にもノミネートされている超有名作である。あの有名なロッキーのテーマは誰もが聞いたことのある曲であろう。

   無名のボクサーが、世界チャンピオンとのタイトルマッチを行うことで成長していく、ボクシング界のシンデレラストーリーだ。

ロッキーの魅力

   アポロとの試合前夜のロッキーの言葉が、1番印象に残っている。ロッキーはあんなにもアポロとの対戦前に弱気になっていたのだなあ。昔観たときは、あまり気に留めずにこの場面を観ていたかもしれないが、今は違う。ロッキーの気持ちが痛いほどわかるようになっているのだ。そりゃあ、眠れないはずである。

   ロッキーが自分の今までの人生はクズであったとエイドリアンに語り出す場面は、本作屈指の名場面であろう。ロッキーにとっては、試合に勝つとか負けるとかそんなことは重要なことではなかったのだ。

   彼にとっては、チャンピオンアポロとの試合で、最後までリング上に立ち続けることが最も重要なことであり、それを成し得て初めて彼は、過去のゴロツキ時代の自分との決別を図ることができるのであった。

   「自分はただのゴロツキじゃない」ことを証明するために戦う。なんて男心をくすぐる考え方なのであろうか。カッコよすぎる。本作のロッキーからは、自分に負けないことの大切さを学ばされた。

   人生においては、自分との戦いに勝つことが最も大切なのである。私も自分との戦いに勝ち続けることのできる人間へと成長していきたいものだ。

私の1番好きな場面

   私の1番好きな場面は、ロッキーがミッキーを自らのマネージャー(ボクシングコーチ)として受け入れる場面である。この2人の和解の場面は、観客から1番離れた所で行われる。この演出が大好きである。

   何を話しているのか観客には分からない。しかし、ロッキーとミッキーが協力をし合うことになったということは2人のやり取りを見ているだけで自然と伝わってくる。2人だけの世界を映画の中で表現しているとは、なんて素敵な場面なんだろうか。

   ミッキーとロッキー、この2人の間の気持ちのすれ違いが、ヘビー級世界チャンピオンであるアポロとの対戦により、清算されたということが今後の展開としては大切なことであった。2人のわだかまりが消えて本当に良かった。アポロ・クリードに感謝である。

最後に

   やはり、1作目である『ロッキー』がロッキーシリーズの中での完成度が1番高いと思う。どこを切り取っても完璧な作品ではないだろうか。本当に何回観ても感動してしまう最高の作品である。

   本作が多くの人に感動をもたらした重要な要素として、やはり主演のシルヴェスター・スタローン自らが執筆した脚本の存在は大きいだろう。

   主人公ロッキー・バルボアとそれを演じたシルヴェスター・スタローンによるボクシング界の「シンデレラストーリー」と映画界の「シンデレラストーリー」という虚構と現実の交錯。ロッキーとスタローンという無名の新人が、スターへと一気に駆け上がった様がぴったりと重なって見えるのだ。

   これこそ、本作で観る者の感動を何倍にも押し上げた要因であったはずだ。最後には、ロッキーの物語とスタローンの物語が完全に同化しているように感じてしまうのである。

   特に最後のシーンは、何回観ても胸が熱くなってしまう。何回涙を誘われたことか。これが名シーンの破壊力だなと思う。本当に素晴らしい作品であった。

ロッキーのトレーニングシーン

↓映画『ロッキー』でのトレーニングシーンです↓

(出典 : 【YouTube】Movieclips「Rocky(8/10) Movie CLIP -Training Montage(1976) HD」)

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