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『グリーン・ブック』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜69本目〜

   最高の「友情」。この中に「差別」が介入する余地はない。トニーとドンの2人には、そんな当たり前のことを教えられた。非常に清々しい気分で劇場を後にすることができる最高の映画だ。本作は、観る人を静かに涙させる、そんな素敵な作品でもあった。

69本目 : 『グリーン・ブック』(2018)

              『グリーン・ブック』(2018)

脚本 : ニック・ヴァレロンガ、ピーター・ファレリー、ブライアン・クリー /
             監督 : ピーター・ファレリー

       「仕事のパートナーが生涯の親友に」

物語のあらすじと本作の見所

   ニューヨークの一流ナイトクラブ「コパカバーナ」で用心棒を務めていたトニー・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)。そして天才ピアニストであるドン・シャーリー(マハーシャラ・アリ)。

   本作は、この生まれも育ちも、肌の色さえも異なる2人が、コンサートツアーを共に回る中で徐々に心を通わせていく物語だ。

   コンサートツアーといっても、ドンが希望する場所は、差別が色濃く残り、黒人にとって危険な南部。彼は、このディープサウスを回るコンサートツアーの「運転手兼用心棒」としてトニーを雇ったのであった。

   この2人の旅は、ニューヨークから始まり、ニューヨークで終わる。

   旅の始まりと終わりは同じであるが、2人の関係性は「変化」していく。

   旅が始まる前、トニーは、黒人に対して当時としては一般的とも言える偏見をもっていた。だがドンと共に2ヶ月間過ごすことで、トニーは自分の中にあった偏見から離れることができたのだ。

   トニーが、黒人差別を受けるドンを庇う場面。この場面が1番印象的である。この場面では、仕事仲間の枠を遥かに超えた2人の「友情」を感じることができた。

   この2人の考え方や実際の行動の「変化」が本作1番の見所となっている。

私の1番好きな場面

   それは2人が、ケンタッキー州でケンタッキーフライドチキンを食べる場面である。

   ドンが生まれて初めてKFCを食べるシーンには、思わずニヤニヤしてしまうこと間違いなしだ。

   KFCの油が毛布に飛ぶのを極端に嫌がるドン。一方、KFCの油でベタベタしている手で、当然のように運転をするガサツなトニー。この2人による性格の対比が観ていて面白かった。これは笑わずにはいられない。

   このKFCの場面の中でも1番笑ったのは、次のシーン。

   トニーが車の窓から自分の食べたフライドチキンの骨を放り投げる。それを真似してドンも勇気を出してフライドチキンの骨を放り投げる。ここまでは良かった。

   だがこの後すぐに2人の価値観の違いが顕著になる。

   トニーは、フライドチキンの骨を投げた後、いつもの癖のように空になったドリンクも窓から放り投げたのだ。このシーンが最高であった。声に出して笑ってしまった。トニーがポイ捨てした後のドンの顔が面白すぎたのだ。

   その後のドンがとった行動も笑いが堪えきれないほど面白かった。この場面での観客席の笑い声は1番大きかったと言ってもいいだろう。

   是非とも人生で1度ぐらいは、私もケンタッキー州にあるKFCでフライドチキンを食べてみたいものである。

(出典 : 【YouTube】ギャガ公式チャンネル 【公式】『グリーン・ブック』本編映像フライドチキン)

最後に

   本作での2人の「友情」には随分と胸を熱くさせられたものだ。

   本作は「差別」を飛び越えた「友情」の物語を描いているだけでなく、その「友情」で「差別」を乗り越える物語としても描かれている。

   これが「差別」をテーマとして扱いながら、素敵な笑いを観客に誘うことのできる、本作最大の魅力であろう。

   そして想定外であったのは、本作がケンタッキーフライドチキンを無性に食べたくなってしまう作品でもあったという事実だ。きっと鑑賞後、すぐさま近くのKFCへ走ってしまう人が続出するに違いない。私はもちろん食べに行った。

予告編

↓映画『グリーン・ブック』の予告編です↓

(出典 : 【YouTube】ギャガ公式チャンネル 【公式】『グリーン・ブック』3.1(金)公開 /本予告)

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