寝ても覚めてもマンガの虫 ~服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』~ (中)

服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』集英社

物語の概要

登場人物:小谷洋一「映画について語る若人の部」創設者
     邦吉映子「邦キチ」趣味は映画観賞
     東洋洋(トンヤンヤン) 「東洋电影(アジア映画)研究部」代表

 小谷洋一は映画の話を誰かとしたい!もうしたくてしたくてたまらない。そんな17歳の高校生だ。しかし、進学校に通っており、周りの友だちは受験と闘う日々で映画鑑賞する余裕を持ち合わせていない。なので、なかなか映画を語り合えない日々を送っていた。

 そんな洋一の前に、念願の新入部員が訪れる。「好きな映画は、実写版『魔女の宅急便』」という斜め上をいく邦画好きな女の子が現れたのであった。洋一はこの日を境に邦キチによる「邦画プレゼン」地獄の沼にはまってしまう。がんばれ、洋一。今日も負けずに邦キチのプレゼンにツッコミを入れまくっておくれ!

5本目:『箱入り息子の恋』

 今回のテーマは、「星野源」。ついに自分の観たことのある映画にめぐりあってしまった。この作品は、「逃げ恥ロス」の人が手を出すとヤケドをしてしまうランキング1位の作品なのではないか。私も初めて観たときはかなり衝撃を受けてしまった。

 「35歳童貞の星野源」という登場人物の紹介にまず笑わされてしまった。「いや、俺は童貞じゃないよ!?」と源さんが、自身のエッセイでセルフツッコミを入れていた覚えがある。星野源は、俳優の役柄ゆえに「童貞」だと本気で思われているのかもしれない。この映画はもう一度観返したくなってしまったな。

 オチでガッキーの『フレフレ少女』をもってくる辺り、この作者とは気が合いそうだ。『フレフレ少女』もマニアックな映画になるのか。あの映画のガッキーはものすごく可愛かったが。頑張っているガッキーを観ているだけで満足してしまう映画であった。うーん、『フレフレ少女』も見返したくなってきたなあ。

(出典 : 【YouTube】キノフィルムズ 映画「箱入り息子の恋」予告編)

6本目:『バーフバリ』

 今回のテーマは、「映画ファン同士でベスト1映画を語り合う」こと。この漫画は、2017年に連載されていたのか。この年の映画は豊作であったなあと記憶が鮮明に蘇ってくるものだ。2017年はエドガー・ライト監督の映画『ベイビードライバー』に衝撃を受けた年であった。

 6本目にして3人目の登場人物東洋洋(トンヤンヤン)が登場。『バーフバリ』推しも彼女である。2017-18年シーズンは、『バーフバリ』が占拠していたみたいだ。個人的には、超メジャー映画が本作で登場して驚いてしまった。『バーフバリ』はプレゼンされるまでもなく、観に行きたい作品であったな。もしかして、本作の中でも今回は少し例外の回なのでは?

7本目:『貞子3D』

 今回のテーマは、「ホラー映画」。「貞子3D 2Dバージョン」に笑った。題名と完全に矛盾しているではないか。ニコニコ動画が舞台って本当に現代風リメイクされているのだな。ちょっとどんな内容か気になってしまう。

 主人公がしかも石原さとみというのが興味深いところだ。そして、石原さとみのバトル映画であったとは驚きの内容である。このネタバレを聞いちゃうと、本物を観たい気持ちがどうしても高まってしまうな。ツッコミどころが多すぎる映画って面白い映画なのかもしれない。「石原さとみ無双映画=貞子3D」って一体どういうジャンルの映画だよ!

(出典 : 【YouTube】シネマトゥデイ 映画『貞子3D』予告編)

8本目:『哭声/コクソン』

 今回のテーマは、「國村隼」。めちゃくちゃ面白い要素がてんこ盛りで楽しそうな映画であるなあ。「韓国の小さな村が國村隼に震え上がる…156分間ノンストップ謎の國村隼サスペンス!!」ってキャッチコピーに興味をそそられる人は多いはず。

 評価も高かった映画であるので、この映画は絶対観ることにしよう。『バーフバリ』に続き、「アジキチ」が出る回に紹介される映画は、映画の評価自体が高いな。アジア映画のレベルの高さに驚く。「邦画もファイト!」と思わずエールを送らずにはいられない。

9本目:『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』

 今回のテーマは、「夢の共演」である。洋一のライダー映画のハードル高い発言には共感できた。本数が多すぎて、大人になってからではもう今さら感がものすごく出てしまうのだ。小さいときから観ていれば、楽しめたのになと思うばかりである。

 まさかの今回の映画は、「仮面ライダー×暴れん坊将軍」であったか。それを聞いてしまうと、めちゃくちゃ気になってしまうなあ。プレゼン上手すぎかよ。なんかそういえば、『アメトーーク』の「仮面ライダー芸人」で、この映画が紹介されていた気がするな。それぐらい面白い映画であったということなのであろう。

 映画というのは、前提知識があまりない人でも楽しめるように作られていなければならない。だとしたら、この仮面ライダー映画は、映画としてのクオリティはかなり高いのかもしれない。

(出典 : 【YouTube】YouTube ムービー 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル(予告編))

10本目:『テラフォーマーズ』

 今回のテーマは、「多様性と尊重」である。今回の舞台は、大型レンタルショップ店「TATSUYA」。なんと主役は実写版の『テラフォーマーズ』だ。この映画、半分以上映画館で居眠りをしてしまったという思い出しかない。なので、恥ずかしながらじっくりと観たことがないのだ。この作品は面白い映画だったのか?無駄にキャストは豪華であったという記憶はあるが、失敗作であったのか。もう一度観返して、そのどちらであったかをこの目で確かめたい。

 「公開当時ネットでちょっと叩かれ気味だったろ…!?」と抑え気味のトーンで作品をディスる作者が面白い。スピンオフマンガを描いていたのに!洋一が邦キチのプレゼンのことを「プレゼンという名の暴力」と冷静に分析していたのが何気に面白かった。

(出典 : 【YouTube】Movie Walker 映画『テラフォーマーズ』本予告)

11本目:『クリーピー偽りの隣人』

 今回のテーマは、「香川照之」である。「え、洋一部長って一人暮らしなの!?」となる回だ。風邪で学校を休んでしまった部長の家に邦キチがお見舞いに来る話だ。隣の住人が変な香川照之の映画って何だよ!めちゃくちゃ気になってしまうではないか。香川照之の変人っぷりはぜひ観てみたいものである。

 オチの「Amazonプライムで観た」には笑った。私も「Amazonプライム」で観ることにしようか。

(出典 : 【YouTube】シネマトゥデイ 『クリーピー 偽りの隣人』予告編)

12本目:『CASSHERN』

 今回のテーマは、「ネット民からの批判に耐え切れるか!?」である。部長の誕生日プレゼントに「キャシャーン」をセレクトする邦キチ。さすがのセンスだ。「どの映画系感想サイトでも叩かれている…実写化失敗作の代表みたいに扱われている映画」だそう(部長曰く)。ネット民の批判を全くディフェンスできずに容認してしまう邦キチが面白い新鮮な回であった。こんな攻め方もあるのだなと感心させられたものだ。

 それにしても、「キャシャーン」という題名なのに、主人公の名前が「てつや」と呼ばれており、1度しか「キャシャーン」の名が出てこないのは、相当面白い。「CASSHERNキャシャーン」ならぬ「TETSUYERNテツヤーン」であったな。お見事。伊勢谷友介が主演であるのが、せめてもの救いかな。

寝ても覚めてもマンガの虫 ~服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』~ (下) に続く…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?