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ミッシングピースという幻想についての覚書

インターネットに救いを求める人ならば一度は夢見たことあるミッシングピース。

自分の存在を完全に祝福してくれる写し鏡のような人。

そういう人を探して彷徨っている人は数多いでしょう。ミッシングピースが見つかることを夢見て、文章をボトルメールのようにインターネットの海に流す人もいるでしょう。

でもそんなものは在りはしないのです。いきなり絶望をつきつけてみるスタイル。

ずっとミッシングピースを探していた

中学生の頃、自分の趣味の話をしても「よくわからない」という顔をする友人や同級生と話すのが物足りないと思いながら、放課後に自転車で片道20分かけて市内唯一の図書館に籠って、ロッキング・オンとか宝島のバックナンバーを読んでいたのです。

ぶっちゃけそういうものにアクセスできるのが図書館にしかなかったのが地方在住の悲しい性。近所の本屋にはそんな本やCDも期待もできなかったからな!基本取り寄せだからな!

そういう、「支持者が少ないほど好きになっちゃう」というややこしい性質を内にこもらせつつ、インターネットの海にサイト作って、色々絵を描いてたり、文章書いていたりしていたのだけど(そのせいで、静的ホスティングなら鼻ホジってできる人類にはなった)、まぁ、読まれる戦略のないコンテンツとか読まれるわけねぇのよ。だから、やっぱり孤独っちゃあ孤独だったわけです。

同化・取り込まれるという恐怖について

高校生になって、地元の進学校に行ったところ、普通に話せる同級生にも恵まれたわけなのですが、それでも「感性が同じで、同じ趣味を喜んでくれる」友人という存在は見つからなかったのです。

その代わり、当時の同級生が種々のサブカル趣味の手ほどきをしてくれ、私にはそれが面白く感じられたので最初は楽しく友人関係を続けていたものの、次第に彼女は、彼女の趣味に私をがっつり染めようと試み、私が彼女以外の人間関係に入っていこうとするのを暗に認めない態度をとり続けるようになりました。

そして、私はそれを拒絶もしたはずなのに受け取ってもらえず、最終的には、友人というポジションに居続ける彼女をどう扱っていいのかわからない(のに、趣味を教えてもらったという引け目から逃げられなかった)という地味な苦しみも抱えることになったのです。

結局その彼女に対して、そういう私を閉じ込める態度に対してやんわりと拒絶を続けていたのに、彼女には決して認識されなかったがために、最終的には上京したころに、かなりはっきりとした拒絶をする羽目になりました。正直、結構しんどかった。

私がインターネットの海に本格的に入り込むようになったのはこの高校生のころで、リアルの人間関係に納得する居場所がみつけられなくて、リアルでは他人の趣味に塗りつぶされそうになって、インターネットであればきっと、納得できる場所が見つかるかもしれないという期待からでした。

運命に導かれて首都へ

そしてうっかり、高校生の私はその海で「運命の人」を見出します。

深夜までその人と、今は亡きMSN Messengerでアニメや漫画の話を喋り倒すという暮らしをしていたわけです。嫌な高校生だな。

家にいるとMessenger開いちゃって全く勉強とかできないので、無理やり予備校行って、自分自身をPCから切り離す必要があったレベルのインターネット中毒症状に見舞われたわけです。

しかし当時、スマホが無くてよかったなほんと……誕生日にねだって買ってもらったのがiPod miniってくらいの可愛い時代だったの。

なお、そんな中で受験で上京しようと思い立った理由がマジで「『運命の人』と同じ地で暮らすため」というヤバい仕様。

しかも、この受験~合格に至るまでの一連エピソード群、あんまりにもアクが強くて、その一部が私が合格した時のZ会の某ハンドブックで思いっきり採用されてて笑ったけど……詳細知りたい人はリアルで捕まえて、私が酔っぱらった時に聞いてみてね。

東京って人が一杯いるんじゃなかったの?

実は、東京に来たら、一人くらい「頭からつま先までおんなじ!すごい!」って人が見つかるかもと思ったんです。せめて、「今までは反応してる人がいなかったけど、同じ趣味持ちの同性が見つかった!」くらいのことはあってもいいかな、と思っていたんです。

でも居ねぇ。

まじで居ねぇ。

どの人もなんか違う。

なるほど、私はオタクの天下一武道会たる東京にやってきてもオタク的には孤独なのだなと思い知ったわけです。

でもそれを知ったところで、ただただ絶望なだけで。

希少価値っていうところでいうと、作画オタ界隈では書いて喋れるメスって希少だったけどアイドルになる気もなかったし、そもそも私アイドルって容姿じゃねぇし。残念。あと、何度も繰り返し書くけど、謎のちやほやとか雑魚モテが昔から嫌いやっちゅうん。何より、私が好きになれそうな人と思い合いたいん。

……そうして、趣味でつながる=ミッシングピースを求めることを完全に諦めた人類が爆誕したのです。

ミッシングピース探しを辞めてからのほうが、いい人間関係築けている

でも、同化を完全に諦めてからのほうが人生は楽しいです。

たぶん、夫さんと仲良くできているのも、毎日顔合わせているのにちょうどよい距離感で生活できているのも、「そもそも夫さんと同化する気がなかった」のも良かったんだと思うのです。

残念ながら、同化を試みようとしてどちらかのblogをむさぼるように読む関係性はその段階で破綻が見えている。それは、なにかの幻想に囚われ始めているということだから。

だから、私はもうミッシングピースを探さない。

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