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【NJSLYR】ランドリー・オブ・デス【222】


この作品は街で見かけたコインランドリー店の二次創作とニンジャスレイヤーの二次創作を掛け合わせた四次創作です。

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(これまでのあらすじ)
アマクダリ衛星組織に所属する自我漂白ニンジャのランドリーは装束に付着するニンジャソウル痕跡をたどり一軒のコインランドリーに辿り着いた。無人の店内には何台かの洗濯機や乾燥機が回転しておりニンジャソウルの残滓はそこから発せられている。ランドリーは店内で待ちかまえニンジャ装束の持ち主をアンブッシュすることにした。

『ランドリー・オブ・デス』

ゴウンゴウン。コインランドリー店内に洗濯音が響く。ランドリーは抜け目のなくドラム式洗濯機をのぞき込みニンジャ動体視力によってランドリング中の衣類が女性モノであることを見抜く!

「ふぅーむ。これはこれは……決して豊満ではないが若く青い女ニンジャに違いない……パンクス趣味はちといただけないが……グフフ、役得!!」

さらに店内へ視線を巡らせる。<安心デス!オムラの白物家電>ネコネコカワイイのステッカーが色あせている。旧オムラ製のドラム式洗濯機はその耐久性と下着盗賊団に対する自動マシンガン迎撃の制圧力から未だにネオサイタマでのシェアは高い。

ゴウンゴウン。装束の持ち主は帰ってこない。(洗濯にかかる時間を把握している……さては手練れか!?)ランドリーはニューロンを研ぎ澄ましソウル痕跡を重点トレース!!(ヌゥ……巧妙に隠しているが装束に2つのソウルが入り混じっている……男と女……前後関係にあるニンジャップルの残滓か……?)その時!!

ターン! 自動フスマを開きヨタモノが乱入してきた。

「ヒーヒヒヒ!! 女の下着!!」

丸裸で全身に女性肌着を巻きつけた下着盗賊団だ! コワイ!!
だがランドリーは冷静に両腕を突き出しジツを放つ!

「ストーンウォッシュ・ジツ! イヤーッ!!」

「アバババババ!?」

放出された適度な温水と洗剤によって下着盗賊は瞬く間に自我漂白! ふらついた足元でドラム式洗濯機に近づく。アブナイ! 「クセモノ!!」ミハル社の高性能監視アイが接近者を補足してヨタモノへマシンガン掃射!!

「BARATATATATA!!」「アバババババ!!??」
不格好なジグを踊りヨタモノはドラム式洗濯機に転倒落下!「ピガー!?」ドラム式洗濯機が誤動作を起こし下着盗賊の痕跡を洗濯してこの世から抹消した。

ガゴンプシュー。

その時、ランドリーの背後の背後のドラム式乾燥機の扉が開き、デロデロになった赤黒の塊が這い出してきた!!

「ゴホッ……ドーモ……ニンジャスレイヤーです……」
「ドーモ、ランドリーです。貴様なぜここに!!」
「説明はせぬ!」
「……セクトへ歯向かう愚か者め!貴様を殺し返り血をこの場で洗い落としてくれる!!」

ランドリーは両掌から温水と洗剤を同時射出!
「グワーッ!! 温水!?」
ニンジャスレイヤーの装束がみるみる漂白されていく!
「ストーンウォッシュ・ジツ!! イヤーッ!!」
経年的な虚脱感によりニンジャスレイヤーが膝をつく。みるみる装束が色落ちして使い込んだ風合いを増していく。このジツは一体?

ニンジャ史に詳しい読者諸兄はご存知であろう。平安時代のニンジャソーシャル・マウンティングは、まず装束の使い込み具合で値踏みされていた。パリパリに糊のきいた装束は実戦経験を持たぬ未熟者であると断じられ見下されるためニンジャは競い合うように装束のダメージ加工に励んだという。

驚異のニンジャ・アーツが現代によみがえりフジキドを襲う!!

「このまま自我を漂白して我がホワイトシープ・ヤクザ・クランの末席に加えてやろう!! ジューウェアのアイロンがけから仕込んでやるぞ!!」

ランドリーがジツに力を込めるとフジキドの意識はホワイトアウトされニューローンのフートンへ押し込まれていく。フートンはまるで選択したばかりのようなふかふかさだ!アブナイ!!

((グググ……愚かなり……装束の乱れは心の乱れ平安時代のニンジャは様式に自ら囚われ夏枯れの時代を迎え滅んだ……どうれ身体を預けてみよ……))

「グワーッ!グワーッ!」ニンジャスレイヤーが煩悶!

((ニンジャスレイヤー=サン、手綱を握るのは己自身!自我を鍛えよ!! ))

(センセイ!)

「Wasshoi!! 」
ニンジャスレイヤーが高速回転して洗浄液を弾き飛ばし緊急脱水!!弾け飛んだ温水が不浄の炎によって熱湯と化しランドリーの視界を奪う!!

「バカナー!!」
「ニンジャ殺すべし!! イヤーッ!!」

物干し竿めいたトラース・キックでランドリーは吹き飛びドラム式洗濯機に叩き込まれた。「ピガー!」オムラ製のドラム式洗濯機が誤動作を起こしランドリーの痕跡を洗濯してこの世から抹消した。

「サヨナラ!! 」

ニンジャスレイヤーは片膝をつく。恐るべき相手であった。
(やはり自我を鍛えなおす必要がある。ニンジャキラー事件の二の舞は避けねばならぬ)

その時!!

ターン!自動フスマが開きエーリアスがエントリーしてきた。

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。買い出しは終わったぜ」
「ドーモ、エーリアス=サン」
「さて乾燥の様子は……」
そしてエーリアスが困ったような笑顔で固まった。

「もしかして、悪いこと頼んじまったかな」
「いや、そんなことは」
「機械の操作とか苦手そうだもんな」
「その、ニンジャが……」
「あとは俺がやり直しておくから先に帰ってなよ」
「……スマヌ」

フジキドはエーリアスから筒状の新茶とマンダリンを受け取るとトボトボと家路についた。

自我を鍛える前にアイロンがけから教えてもらわねばならぬだろう。

「ランドリー・オブ・デス」 

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ニンジャ名鑑(嘘)
◆忍◆
【ランドリー】
アマクダリセクトの末端ニンジャ。ニンジャソウル識別能力が高く衣類への執着が強い。どこまでも執念深くニンジャ装束を追跡する。自我漂白のストーンウォッシュ・ジツにより洗脳した殺人マグロ漁師にデニムをはかせてエイジングさせるなどの悪行を働くがニンジャスレイヤーに遭遇し殺害された。ジュードーのタツジン。
◆殺◆

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あなたのひと頑張りで現世が少しずつネオサイタマへ近づきます。

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