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どすこいジャパンカップ(芝2000m/両国)(第2話)

(第一コーナーのおさらい)

全世界が注目する今年最後のG1レース。

「ジャパンカップ」

両国の街そのものを利用した世界最重量の市街地レースだ。

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どすこいジャパンカップ(芝2000m/両国)

第2話「バックストレート」

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出走力士

01. 泥土竜
02. 酸鼻
03. 穴昆蛇(あなこんだ)
04. 潮測(しおはかり)
05. 聴海(ちょうかい)
06. 模写櫓(もしゃやぐら)
07. 押井守(おしいのかみ)
08. 福の胆
09. 渡鴉(れいぶん)
10. 塩の海
11. 力魑(りっち)
12. 自我海(えごのうみ)
13. 久地裂袈(くちさけ)
14. 露出強(ろでつよし) 【脱落】
15. 円出(まるだし) 【脱落】
16. ロマノフ・シコルスキー(ろまのふ・しこるすきい) 【脱落】

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ズズズズズズズ。

先頭集団がすり足で第1コーナーを曲がっていく。ジャパンカップはスタート直後の団子状態が激しく突出すると潰されてしまうため第1コーナーを過ぎて集団が形成されてから駆け引きを開始するのが定石だ。そんな中、集団から飛び出したのが都市伝説力士と久地裂袈と傭兵力士の渡鴉。

「バックストレートに入り久地裂袈が飛び出しました」

「やはり早いですね、最高時速200km/hを超えるという伝説があります」

「追う渡鴉。さっそく変形を開始しているようですね」

「ソンキョ姿勢のまま両腕を突き出し空気抵抗を減らしています」

「大胆な変形で知られる渡鴉ですが、思い切った変形に出ました」

「頭部を前腕の隙間に収納しましたね」

「これは、航空機のフォルム、そしてすり足は休まない……これは!?」

"ガウォーク"です。私も初めて見ました」

先行する2名。それを追う第二位集団では小競り合いが開始されていた。

「泥土竜が酸鼻に捕まったァァ!!」

「出ますよ、"人間おろし"!!

「泥土竜の後頭部を鷲掴みにして、顔面から路上に擦り付ける!!」

「まずいですな」

「力士第一速度の衝突でアスファルトがみるみるはがれていきます!」

「泥土竜が消滅しましたね」

「酸鼻は意気揚々と第二集団の先頭を行きます」

「おや、聴海が後方に退きました」

「おっと、コース上に謎の土饅頭が出現!酸鼻を追いかけます」

ドザザザザ ズバーン!!

「泥土竜です!!泥土竜が地中から飛び出して酸鼻を襲撃ィィィィ!!」

「彼の得意技"土礫摩術"(トレマーズ)ですね。初めて見ました」

「顔面おろしをうけたフリをしての地中からの襲撃!本場所では絶対に見ることができない戦術です」

「泥土竜の空けた穴からさらに何かが出てきそうです」

「穴昆蛇だ!! もみ合う泥土竜と酸鼻をまとめてヒト飲み!!!」

「温厚で知られる穴昆蛇が力士を飲み込むのは初めて見ました」

「穴昆蛇はおなかいっぱいでビール瓶みたいになっています」

「まずいですな」

「コースをコロコロ転がって……三名丸ごと場外だー!!」

「はやく救出してもらいましょう」

「さあ集団は第3コーナーに差し掛かります」

後方集団の福の肝がニヤリと笑う。穴昆蛇は福の肝の操る神経毒手「テトロドリキシン」の作用で操作されていたのだ。彼は次なる刺客候補に手を伸ばした。

【残り10名】


謝辞

本作品に登場する非実在力士達は読者投稿のオリジナル力士を再構成したものです。キャラクターや言動は本作独自のものでありオリジナル設定に影響を与えるものではなく、どのような狼藉も力士発案者に影響を及ぼしません。


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