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それでもわたしは神宮へゆく

サテ!

連日の猛暑にもかかわらず、今日も今日とて神宮へ。昨日は特に、暑いなんてもんじゃなく、それはもうひどくきめの細かいミストに包まれているかのよう。恐ろしく、なまぬるい温度のサウナ。不快でしかない。

18時の外苑前は、ほんの少し日差しが落ち着いている。明々とグラウンドを照らす陽の光が、わずかだけ和らいでいる。

それでも逃れようのないほどの湿気がまとわりつき、いくらメイクを直そうと、汗を拭おうと、ユニフォームに着替えようと、洒落っ気など無意味でしかない。

テット(山田哲人、#1)のユニフォームも、つば九郎のポシェットも、この汗だくの顔では鏡を見るたびに「ちん」となってしまうばかりだ。

そうして席についても、どうやっても暑いものは暑い。湿気との戦いに勝てるはずもなく、「夢へと続く道〜や!ま!だ!」なんてやっていたらいつまでたっても汗だくだ。なのに応援にはこと力が入り、チャンスが訪れようものなら飛んだり跳ねたりする。タオルで汗を拭いながら。

ふと見ると、テットが汗を拭っている。そうやんねぇ、選手はもっとうんと暑いよねぇ。打って走っても、守って飛びついても、ベンチにいても、どうしたって暑いよね。

つい手に力が入る。応援、しようと。

雄平(#41)は笑っている。嬉しい時はめいっぱいに。チームが勝てなくても、悔しい思いをしても、また次にチャンスがあると。打ったとき、特典が入ったとき、ナイスプレーがあったとき。雄平は笑っている。

足にも力が入る。応援、したいと。

神宮花火も、ラッキーセブンも、やってる場合かって思う人もいるほどしんどい試合の時だって、もちろんある。どうやっても勝てない苦しみ。離れていくゲーム差。

わたしはそれを、ベイスターズファン時代に言葉にできないほどに味わった。最下位が安定ポジション。打てなくて当たり前。エラーもお家芸。投手陣崩壊。5点差じゃ安心なんてできない。三浦(大輔、#18)さんしか、勝てない。今日の試合は、わたしがよく知っているベイスターズのようだった。

スワローズは、あの頃のベイスターズを思うとなんて事はない。いつだってはつらつとしている青木(#23)。「ココ」なんて呼べないような表情でバッターボックスに立つバレンティン(#4)。バッティングでもなんとかしてくれそうな中村(#52)。川端(#5)も、奥村(#00)も、廣岡(#36)もいる。

そして、村上(#55)がいる。お肌むちむちほっぺぷりぷりの19歳。たった19年しか生きていないのに、この大歓声を浴びて、神宮のグラウンドに堂々と立つ。一振りで、試合を決めてしまう男。

いつだって、強い方がいい。でも、そうじゃないことの方が多い。打てなくて、打たれて、守れなくて、ファンだって悔しくて泣きたくなるときもある。選手が悔しいのは百も承知だ。

ファンも汗だくで、それでも最後まで応援する。スワローズの応援歌たちで、「共に」「俺たちがそばにいる」「手を取り戦おう」という言葉がある。それがとても好きだ。

ひどい誹謗中傷で罵るように選手を責めるファンをたくさん見てきた。愛ある意見ならまだしも、何様なんだろうという許せないようなことも。

共に戦おうとしている、スワローズの歌が好きだ。選手たちはきっとバッターボックスやマウンドで、大きな励みになっているのではないかと思う。だって、すごくすごく大きな声援なんだもの。

愛を感じるチームだと思う。

だからわたしは、今日も神宮へ行く。どんなに暑くても、最下位でも、選手がめいっぱいに頑張っている限り。

共に手を取り、戦おう。めいっぱい応援するよ!

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