映画「映像研には手を出すな」を見た


まず最初に、

この映画が面白いか面白くないかと言えば自分は「評価できない」としか言うことができない。


心に刺さる世紀の大傑作かと言われればまったくもってそんなモノではなく、さりとて凡作だ、ただのアイドル映画だ……と言われるとそれで見過ごしてはいけないようなナニカをこの映画には感じている。ちなみに原作を見てしまうともう映画そのものよりも再現度とか解釈の一致とかに脳が行ってしまって全くいい事がないのを「僕だけがいない街」や「響」で痛いほど学んだのであえて原作もアニメも見ていない。あしからず



とにかくツッコミどころは多いのだ。それはキャラの行動原理であったり投げっぱなしの設定であったり話の目的であったり本当に多岐にわたる。

一言で言ってしまえば「何がしたいのか分からない」

2秒前に考えた今一番面白そうな展開を毎秒更新していくのだ。視聴者的には特に因縁のない相手が最後に立ち塞がったり、泣いて喚いていがみ合って和解した相手と別にそのあとこれといって絡まなかったりする。

とにかくトッピなのだ、こちらが広めのミートカーソルで設定した想像の域をあっさり出ちゃう。なんならボールを投げない事もある。


そう、こうなると不思議なことにこれは「次に何が起こるのか分からない」という事の裏返しになって、あまりに余分なものが多すぎるがゆえに読めない、なぜ?なぜ?となる事が多すぎて逆に新しい。それがだんだんと癖になり前述のツッコミどころがどんどん「つまらないとも言えるしこれが面白いとも言える」みたいな感想に何故か変化してくるのだ。


いわゆるB級映画とかの感想によくあるチープさが逆に面白い、みたいなやつとはまた違うもので

このつまらないと面白いがぴったんこで重なっている状態を、全部含めて面白いと言えるのかもしれない。となると自分が面白いと思ったところも本当はつまらないのかもしれない。うーん、自分でも何言ってるか分からん。


たぶんそんな色々考えなきゃ作品ではないんだと思う。ただのエンターテインメント作品だし、アイドル映画だ。(アイドル映画としてはまったく新しい機軸を作っているように見える)

でも何故か、ではこの映画の感想についてまとめよう、この映画について振り返ろうとるすると認知がバグるのだ。何故か俺はこの映画に断定的な評価をつける事ができないし、もう自分がどう感じてるのかすら分からない。つまらないと感じているシーンにこそ面白みを感じているように思えるし、面白かったなと思える部分には何か否定的な感情を持っているようにも感じる。

正直これが原作を読んでも同じように感じるのか、映画のどこかの部分がそういう風にさせてるのかは分からない。でもそれでいいと思っている自分がいる、というのが素直なところだ。なんで……?


ただ少なくとも確実に良かったと言える部分が一つあって、映像研のクリエイター二人やロボ研の人たちの理想が可視化されていくのはとても良かった。実際、目に見える形で演者たちの前にリアルに出せるのは実写化ならではの強みであると思うし、あの音響に関するシーンなんて映画館で見た人でないと分からないと思う。

理想を語るだけでなく、実際にそれが目の前に現れた時の「あー、たしかにいいわ……」という実感はそれだけで価値があるものなんですわ。とそれだけははっきりと言える。


それ以上にはっきりと言える事はこの映画には無い。なぜなら認知がバグるから、以上。


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