竹内 純子(国際環境経済研究所理事/U3イノベーションズ合同会社共同代表/東北大学特任教授)
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観測史上最も気温が高かった年のCOPを振り返るー化石燃料からの「脱却」?
今年一年振り返るといろいろありましたが、「史上最も気温の高い一年」であったことは、(少なくとも関係者には)強烈なインパクトを与えたように思います。国連の気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOP28への注目も否応なしに高まる・・・かと思いきや、報道ぶりなどはそれほどでもなかったですね。政局関係に関心が集中したということもあるでしょうが、COPの意義そのものが問われているということもあるのかもし
もっとみる私はなぜ化石賞に関する報道に、毎年飽きずにコメントするのか
仕事柄、学生の方々とお話する機会も多くあります。
最も悲しいのが、「日本は環境後進国なんですよね?」と聞かれること。
この問題に関心を持ち、ニュースなどにも積極的に目を通している学生さんほどそう思う傾向にあるようです。エネルギー政策の議論が報道されれば「再エネで出遅れた」とあり、首相がCOPに参加すれば「岸田首相に対して環境NGOが化石賞を贈って批判」と報じられるとあっては、そう思うのも仕方ないで
再エネに優しい政策が、再エネ事業を成長させる・・とは限らない。
このnoteでも、違う媒体への投稿でも、GX実行会議でも、私は繰り返し、再生可能エネルギーの導入支援制度である「全量固定価格買取制度(FIT)」を批判してきました。
それは、決して再生可能エネルギーの導入に否定的だということではありません。むしろ、自ら創設した会社では、「健全な」再エネ事業者の方たちの支援もしています。
ただ、過保護な親が子どもの健全な成長を阻害してしまうように、過剰に「優しい」政
誰しもが自分の使う電気を“不要不急”とは思わない。供給力確保が必要なワケ
猛暑や厳寒のなかで、電力が足りないので、節電してくださいと言われれば、腹も立つでしょう。「好きに使わせろ」と言いたくなる気持ちはよくわかります。電気は使いたいと思う時に使えなければ意味がありません。大量に貯める技術はまだ存在しないため、必要とされるときに必要な量を確保することが非常に重要な財なのです。「あと5時間ほどしたら余裕が出てくるのでその時に使ってください」と言われても、今寒いからエアコンを
もっとみるGX実行会議で何が議論されたのか①
2022年7月から半年にわたり開催されたGX実行会議。このレベルの会議にしては、かなりインテンシブに開催され、この会議に合わせて各省の審議会などの議論も進められたので、全体像が今一つ伝わっていないと感じます。これから何回かにわたってになると思いますが、少しずつ書いてみようと思います。
まずこの記事ですが、気候変動エディターの方から見ると、このように捉えられるのかもしれませんが、いくつか「おかしな
「電気使用制限に違反したら罰金」ってなんだ?!と思ったあなたへ。
そうですよね。そう思いますよね。エネルギーというのは、必要とされるときに必要な量が供給されることが必要です。今暑いからor寒いからエアコンをつけたいのであって、「今電気が足りないから5時間後なら使用して良いよ」と言われても意味がありませんし、使う量を制限されるということは工場の生産活動など、何かを諦めなければならない訳です。電気の使用を制限され、それに違反したら罰金とは、「どんなあくどいお代官だ?
もっとみる水素・アンモニアの活用は拡がるのかー第3回水素政策小委員会での議論ー
4月27日、水曜の午前中には水素・アンモニアの委員会。こちらの正式名称は何と「総合資源エネルギー調査会 第3回 省エネルギー・新エネルギー分科会 水素政策小委員会/資源・燃料分科会 アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会 合同会議」。もはや寿限無寿限無など目ではない長さです。
これまで水素関連技術の普及促進・活用については「水素・燃料電池戦略協議会」で検討されてきたのですが、審議会に格上げされました。
「私の新人時代」を掘り起こして思うコト。
日経電子版で、「私の新人時代」という新社会人に贈る言葉的なコーナーに取り上げていただきました。
社会人になったころの話など、もはや「にほん昔話」の域で、記者さんのご質問に記憶を掘り起こしながらなんとかお応えしたという感じでしたが、久しぶりに当時自分が何を考えていたか、どんな心理状態だったかを思い出すことで、今取り組んでいることの目的意識もよりクリアになった気がします。記者さんとの会話も楽しく、貴
再エネ共存社会に向けて必要なこと~解説:再エネの出力抑制とは~
再エネの出力抑制についてはかなり理解されておらず、毎年春・秋の気候が穏やかな(=電力使用量が少なくなる)季節の休日などには、出力抑制に対し「モッタイナイ」、「再エネの電気を捨てるな」という批判がSNSに溢れます。そこでちょっと解説を
「貯める」「使う」には何が必要か電気は瞬時瞬時で使う量と作る量をぴったりとあわせる必要があります。今皆さんが使っている電気は、いま発電されてほぼ光の速さでそこに届い
今晩 停電への 備えを。
昨日の朝から繰り返しお伝えしている通り、今日の電力供給が危機的な状況です。
電気は「同時同量」といって、使う量と作る量をぴったりと合致させることで周波数を一定に保つことができます。大量に貯めることはできない「究極の生鮮品」なのです。
なので、想定される需要より3%程度は発電設備が余裕を持っておくように運用することになっています。東日本大震災前は8%の余裕を見ていたのですが、余裕を見ることはコストが
3月22日 東日本 電力不足の恐れ
22日、関東でまた強い寒の戻りが予想されています。
そうなるとまた東日本の電力需給ひっ迫が懸念されます。先日(3月18日)の突然の節電のお願いの反省もあってか、東京電力のHPには既に節電のお願いが掲載されています。ただ、まだメディアなどに取り上げられていないので、今からお伝えしたいと思います。(メディアはこういうネタこそ早めに報じるべきではないかと思うのですが。。)
連休明けの平日ということで、
COP26のオチを予測する ー"コペンハーゲンのトラウマ”と、”パリのミラクル”の間で悩む英国
COP26が盛り上がっています。
この「盛り上がり」も区別して考える必要があり、
首脳級会合が行われた1週目の盛り上がりは、言わば政治的パフォーマンスとしての盛り上がりですが、これからは、モノが決まっていく、成果文書が出せるか、出せるとして意義のある内容になるか、という「内容の盛り上がり」です。
COPの会期は毎回2週間でして、成果文書採択に向けて交渉が本格化するのはだいたい会議最後の最後の2,