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「豊かさ」って体験しないとわからないもの。

「豊かさの基準が変わってしまった」といわれる。

でも、豊かさとは何だろう? 

すごく漠然とした、わかったようなわからないような言葉…。

もしかすると、「それってこういうこと?」という体験をしたので、今回は、それをシェアします。

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このnoteではなんども書いていますが、3月末に東京から軽井沢に引越しをし、その後、コロナの自粛で、思いがけず、自宅で過ごす時間が大半を占める生活となりました。(通常時は新幹線通勤)

かつてガイドブックの編集に関わっていたこともあるくらいに、旅が好きで、いつかは日本の地方の魅力的な場所に住みたいと、ずっと憧れてを抱いていました。そのくらいに、日本の地域がもつ莫大なポテンシャルを、ずっと信じてきたのです。

しかし、移住を決めたきっかけは、「すばらしい田舎で暮らしたい」ではありませんでした。決め手は、娘の幼稚園の入園です。もしそれがなかったら、いまも東京に住み、「日本の地域には大きな可能性が・・・」と妻に講釈を垂らしていたことでしょう。

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実際に、ここに住んでみて感じる効能は、3つにわけるとするとこんなところです。1・自然のおもしろさ 2・人とのつながり、そして、3・自分の心。

1・自然のおもしろさ

自然での子育てが素晴らしい、と言葉では聞くと思いますし、僕自身も「それはそうだろうな」と思うことしばしばでした。しかし、自然のすばらしさは、子どもへの直接の影響だけではないと感じています。どういうことか。それは、大人の変化です。自分以外のものへ向ける関心、その解像度がぐぐっと上がってくるのです。

この植物の名前は?花の名前は?鳥の鳴き声は?葉っぱの食べ方は??

世の中とはこんなにも知らないことだらけだったのか!と毎日、驚かされます。40歳くらいで、仕事の結果も多少出し、世の中のことを知った気になっている人に、このショック療法はとてもオススメです。だって、小さな小さな種から、水と太陽だけでこんなに大きな野菜が生まれてくるのです…。そんな生命力に思いを馳せたことなんて、東京にいるときにはまったくなかった。

2・人とのつながり、も、よくいわれた話です。

これも、1と同様に社会性の問題ではなく、自分の側の変化のような気がしています。

元来、人見知りでひとりでいるのが好きな性分ですが、ご近所とつながりたい欲求があって、そのハードルが低いと感じる。その理由は、自分のアイデンティティが「住む場所」に基づいているから、ではないでしょうか。地元ネタで盛り上がる、という構造と同じです。その地を好み、住んでいる。すでにその事実だけで、大切な根っこを共有していると言えます。さらに、SNS がそれを可視化し、加速させているのはいうまでもないでしょう。

3・自分の心

ここまで書いてきて、「豊かさ」に話を戻します。

僕はこれまで、日本の地方や田舎が好きで、旅しては「住みたいな〜」と夢見ていました。でも、実際に住んでみて、自分の中に起きた心の変化までは、まったく予想ができていませんでした。

結局、頭の中で想像しているうちは、変化は起きない、と言うことかもしれません。

軽井沢方面から、隣町の御代田へと向かう国道を車に乗って、西へと降りていくときのことです。夕方、晴れ渡った地平線の向こうに連峰が見事に映し出されました。それを見て僕は、

「あぁ豊かさって、こんな気持ちになれることだな」

とつくづくかみしめました。

自分は幸いにも、背中を押してくれる材料があったけれど、いつまでもシュミレーションしていた人生だってありえた。今、頭の中で考えている「豊かさ」も、もしかすると陳腐なものかもしれない。「豊かさ」は、きっと身体が感じるもの。

もし自分と似た境遇の方がいれば、心からおすすめしたいと思います。心地よさをキャッチしよう、試してみよう。そこで感じるものを、とことん信じてみよう、と。もちろん、それは自戒のように、これからの自分に向けた言葉でもあるのですが。

この記事は「投げ銭」記事です。サポートいただいたお金は、家庭菜園で野菜をつくる費用に投じていきます。畑を大きくして、みなさんに配れるようにするのが夢です。