
頚椎神経根症の検査法と徒手・運動療法による介入
頚椎神経根症(Cervical Radiculopathy)は保存療法による治療が一般的ですが、その具体的手段の認知度はかなり低いです。
ここでは頚椎神経根症の基礎概要から、検査法、そして具体的な治療までをまとめていきます。
この記事をみれば医学書でのみ勉強している大抵の治療者より神経根症に詳しくなる事ができます。
尚、本記事は
http://exe-box.com/
と同様の筆者により執筆されています。
頚椎神経根症の疫学
頚椎神経根症は1側または両側上肢に痛みを引き起こします。
この症状は通常頚部痛に次いで発現します。
これは疫学といいながらいきなり鑑別に重要な情報です。
上肢の痛みに先行して頚部痛が起こってない場合は神経根症でない可能性が高いです。
1つ症例を紹介します。
40代男性、整形外科でMRIを撮り、ヘルニアほ所見があり頚椎神経根症と診断された。
この方に対し、スパーリングテスト(後々解説します)を行うと陽性でした。
しかし、頚部痛はありませんでした。
通常頚部痛の後、上肢の痛みが発生しますが、頚部痛を体感していませんでした。
これは本当に神経根症なのか疑うべき徴候です。
私は牽引型腕神経叢障害を疑っていました。
そして再度整形外科に行った時にドクターは神経根症ではないという結論に至りました。
この様に、一般的でない所見が見られた時は深く疑う必要があります。
神経根症は個人差が大きい疾患ですが、それでも典型例でなければ他の疾患を疑うべきです。
疫学に戻ります。
1年間の男性の発症率は107/100,000人です。女性の場合は64/100,000人と男性の方が発症率は高いです。
年齢は50-54歳の人に多くみられます。
神経根圧迫の要因となるのは基本的には椎間関節の変形です。頚椎にはルシュカ関節が存在するため、腰椎ほどヘルニアによる圧迫はみられず、頚椎神経根症の22%がヘルニアによるものです。
頚椎神経根症は約88%が非手術管理から4週間以内に改善します。
ここでは平均して4週間以内に改善するのを目標とした治療プランを紹介します。
頚椎神経根症の症状
神経根症の症状を理解しておくのは、鑑別のため必須です。
神経根症の初発症状は
・頚部痛から始まる(時間的先行)
・肩甲骨から一側上肢にかけた痛みやしびれを起こす
・手指症状、特に複数指から始まることはほとんどない(脊髄症は複数指から始まることが多い)
・急性では鋭い痛みが生じることがある。
です。
問診では必ずこれらを聞きます。
今の症状がどうではなく、初発症状で上記した特徴に当てはまるかを聞きます。
脊髄症ではしびれは複数指にみられ、神経根症では単指にみられるケースが多いです。
しびれが手指から始まる場合は脊髄症や腕神経叢障害などを疑います。
初発症状ではない、神経根症の所見は以下のようになっています。
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