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「姿勢と腰痛」アップデート【2020版】

ペインアップデートシリーズの第一弾です!


「ペインアップデート」では痛みに関する情報をエビデンスベースで発信しています。

こんにちは🦦先月だけで医学書・論文等6万円使った谷澤です🤭それはさておき…

姿勢と腰痛の関係性についての議論はTwitterをみていてしばしばみられます。

姿勢と腰痛は関係ないという意見や、姿勢は腰痛の原因となっていると主張する人もいます。
たまに意見が極端になり
「姿勢が腰痛の原因になると言っている人は勉強不足」
「姿勢と腰痛が関係ないわけないじゃん」
という主張もみられることがあります。

どちらの意見も偏りが強く、中立的ではありません。そして科学的ではありません。

例えば論理的ではない主張には
「姿勢が悪くても症状がない人がいる」→これは姿勢と症状が関連ないことを意味しません。
「悪い姿勢を取った後に腰痛になる」→これはその時だけ(一過性)の腰痛であって、普段の腰痛の原因であることとは繋がりません。

といったものがあります。

科学は医療従事者のコミュニケーションを支える唯一のファンデーション(土台)であるためコミュニケーションを円滑に進めるには科学的観点が必要であることは明確です。

姿勢と腰痛の関連性を研究した論文は多数ありますが、それらの示す結論は一貫性がなく、いくつかの論文から結論を出すことができません。

ここでは姿勢と腰痛の関係性をアップデートします。
無料の範囲では以前私がブログで紹介した内容をまとめ、有料部分では最近の知見をまとめていきます。

まずみて頂きたいのはledermanの医療従事者の構造主義的観点にメスをいれた論文です。

Lederman E. The fall of the postural-structural-biomechanical model in manual and physical therapies: exemplified by lower back pain. J Bodyw Mov Ther. 2011;15(2):131–138. doi:10.1016/j.jbmt.2011.01.011

2011年なので、いまから9年前と少し古いですね。

ここでは姿勢に関連するいくつかの論文がピックアップされています。

タイトルに「姿勢構造生体力学モデルの没落(The fall of the postural-structural-biomechanical model)」と書いてある通り、この論文は従来の腰痛治療の姿勢や構造、生体力学にばかり着目したアプローチに疑問を呈しています。

この論文の中で姿勢と関連するところを抜粋すると以下のとおりです。

●10代の脊椎非対称性、胸椎後彎症、腰椎前彎症と、成人期に発症するLBP(腰痛)との間には関連がない。
●妊娠中の脊柱前弯、矢状面での明らかな骨盤の前傾増加は背部痛との関連性はない。
●成人では、側弯症と同様に腰椎前彎の程度は背部痛との関連を示さない。
●骨盤傾斜/非対称性、外側仙骨底角との腰痛との間に相関はない。
●長時間の立位、屈曲、捻転、ぎこちない姿勢(ひざまずいたりしゃがんだりすること)、仕事中の座位姿勢、長時間の座位と休憩中のような姿勢を含む、仕事と関係した姿勢とLBPの間の関連性がない

方法論的問題もあります。

2018年の研究では

6回の反復立位で51%の被験者が10~20%の腰椎前弯の変動を示し、29%が20%以上の変動を示した。
仙骨の向きは無症候性の被験者の53%が20%以上の変動を示し、31%が30%以上の変動を示した。 立位は個人差が大きく、再現性に乏しいと結論づけられる。

Schmidt H, Bashkuev M, Weerts J, et al. How do we stand? Variations during repeated standing phases of asymptomatic subjects and low back pain patients. J Biomech. 2018;70:67–76. doi:10.1016/j.jbiomech.2017.06.016

またこれは姿勢の検査の研究ではありませんが、臨床においては施術者の知識に影響され姿勢の評価を過剰にしている可能性もあります。

Plummer HA, Sum JC, Pozzi F, Varghese R, Michener LA. Observational Scapular Dyskinesis: Known-Groups Validity in Patients With and Without Shoulder Pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(8):530–537. doi:10.2519/jospt.2017.7268

これらの研究に興味を惹かれ、私自身もsample=1で検証したことがあります。

被験者に検証の目的を伝えず、姿勢を2回撮影しました。1回目と2回目の間は5分あけました。

撮影と撮影の間は自由に過ごしてもらいました。(ストレッチなど影響が出そうなことはせず)

結果は地面からの垂線に対する肩峰-耳孔間角度が約10°変化しました。

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以上すべての研究から姿勢と腰痛の関連がないと結論することはできませんが、この関係性を疑う必要はありそうです。

では最近の研究をみていきます。

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「姿勢と腰痛」アップデート【2020版】

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