
40オーバーのおっさんが突然スケボーを始めて思ったコト
「ヤバい人だと思ってました…話しかけちゃいけない人だって」
と、昨年新卒で入った女性デザイナーに最近言われた制作部の原田です。
この言葉を残して彼女はリモートワークへと移行していきました。
落ち込んだりもしたけれど、私は元気です…。
諸事情により髪にメッシュ入ってたり、黙ってると顔が怖いなど
心当たりはいくつかありますが、怖いという理由のひとつで挙がったのが、
「なんか板持って会社来てるし…」
そう、私、1年ほど前から移動の時にスケボー使ってたりするんですよね。
しかもいかつい柄のボードを持って怖い顔で「うぃーっす」とか出勤してくる人には
自分が新卒だったら絶対関わりたくない。それ正解。
「え?スケボーやってる人?道にいたらなんか超怖いんですけどー(IKKOの声で)」
っていうのが一般的なイメージですかね?
自分も同じでしたし、正直今も路上で数人でスケボーしてるのを見ると警戒します(笑)。
ということで今回はスケボーについて。
■40オーバーのおっさんが突然スケボーを始めた話
そもそもスケボーには全く興味がなく、視界にも全く入っていなかったのですが、
5歳の娘が突然「誕生日プレゼントはスケボーがいい」と言い出し、
「え?じゃあオレもオレも!」と、自分の誕生日でもないのに
どさくさ紛れに一緒に購入したのが始まりです。
店員さんによると、
コナンの影響でスケボーを始める子供は多いらしく(恐るべきコナンの経済効果…)、
なんでスケボー始めようと思ったのかを聞かれた娘は、
「悪魔バスター★スター・バタフライ」に出てくるジャッキーがカッコいいから
というディズニーチャンネルでやってるマイナーなアニメで
スケボー通学する脇役に憧れたという
誰にも通じない正直な答えを言い放って店員さんをキョトンとさせていました。
まあとにかく娘に教えるためには先に上達しなければ!!ということで、
次の日から毎日ひとり夜中に練習することにしたワケですが、
まさかそれからほぼ毎日夜中の3時まで練習するほどハマるとは…。
ちなみに娘はある程度乗れるようになったら早々に飽きてしまったことを添えておきます。
■スケボーの何が楽しいのか(スケボーのメリット)
・できないことをできるまで挑戦する過程の醍醐味
・できなかったことができるようになる達成感
・移動手段としての街乗りの楽しさ
そもそもあんな板で移動はもとより、
板の上に乗ることさえ意味がわからんという状態で始めたので、
「板の上に乗れた!ヤバい!」
「スケボーで移動できた!スゴい!!」
「方向転換できた!コレもうスケーターですって言っていいのでは!?」
などといった、ちょっとした上達もめちゃくちゃ嬉しいワケです。
飛んだり回したりする技を「トリック」と呼び、
トリックができるコトを「メイクする」と言いますが、
「全っ然できないけどどうしたらいいんだ…」
「もう少しでメイクできそうだったのに!惜しい!!」
という過程を経てメイクすることで得られるカタルシスも
なかなかできない過程も含めてスケボーの楽しさだと言えます。
また、移動するだけでも楽しくて、ボードに慣れる練習にもなって一石二鳥。
「プッシュ」という、地面を蹴ってスケボーで移動するトリックは、
スケボーの基礎である単純な動作にして奥が深いトリックですが、
移動の練習時間兼ねてプッシュに慣れるためにスケボー通勤しているワケです。
スケボーにも種類が色々あり、
クルーザーと呼ばれる街乗り向けのウィール(タイヤ)がソフトなものであれば、
危険をおかしてジャンプしたり派手なトリックができなくても、
十分に楽しめると思います。
■スケーターに良い人多い説
抜群に運動神経やバランス感覚が良い人なら別ですが、
トリックをメイクするまでに、ひたすら同じ動作を繰り返し練習することになります。
場合によっては同じトリックを何か月も練習し続けることになります。
滑らずに同じ場所にとどまったまま、ひたすらジャンプする練習を、
1時間も2時間も延々と続け、しかもそれを毎日1人で(もしくは数人で)続けるワケです。
なので、スケーターが軽く滑っている裏側では練習にかける時間と努力は膨大で、
ケガを覚悟でわざわざそんな苦労をしている人なんか、そりゃ真面目やろって感じです。
スポット(専用じゃないけど滑れる練習場所)や、
パーク(スケボー専用の施設)で会うスケーターは
家族連れとかキッズとか女性とか老若男女フツーの人いっぱいいますし、
見た目で最初にウッ…て思っても、
話しかけると案外フツーで、アドバイスをくれたりもします。
ゴミやタバコをポイ捨てしたりマナーが悪かったり、ガラが悪いスケーターもいますが、
それは一部の人で、結局そういう人はもともとそういうヤカラなので、
スケボーしようがサッカーしようがヤカラです。
それをスケーター=ガラ悪いとひとくくりにするのは違います。
スケボーの音は結構響いてうるさいとか、
車や人通りの多い場所でやると危ないとかありますし、
スケボーできそうなのに危ないからという理由で禁止されている公園がほとんどです。
そんな中、滑っていても苦情が来ないスポットを探し求めてさまよっているのが
スケータという人種なので、
せっかく見つけたスポットが使えなくならないように
基本的なマナーを守っている人は少なくありません。
街中でスケーターを見かけたら、めっちゃ努力してるんだろうなと思いつつ
トリックを褒めれば単純に喜ぶと思いますし、
お互いをよく理解しないでお互いを警戒しあっているというのが
現在の状況ではないかなと思います。
■スケボーのデメリット
・ケガをするかも
・住民とトラブルになるかも
・おまわりさんとの会話が増えるかも
「スケボーのような危険な行為は禁止します」
みたいな看板が立っていてスケボーが禁止されている公園が非常に多いのですが、
ハッキリ言って一番危ないのは自分ですね…。
基本的にコンクリートやアスファルトで滑ることが多いと思いますが、
ヘタに転ぶと骨が折れます。
転んだ時に人は手をつきやすいので、一気に両腕骨折なんてことも…。
自分もビビッてトライできない時はプロテクターをつけて転ぶ前提でやりますが、
転んでヒジを打っても全く痛くないのでニヤニヤしてしまいます。
なので初めての時はダサいですがプロテクターをつけるコトをオススメします。
あとは、板を弾く音がうるさいと苦情が来たり、通報されたりすることがあります。
これは場所や時間帯に気を付ければ良いだけなのでですが、
たまに理不尽な言いがかりをつけてくる話の通じない人や警察官がいますが、
これはさっきのヤカラと同類だと思って相手にしないのが正解かなと思います。
というワケで、
ケガに気をつけてマナーさえ守っていればデメリットなんか無いと言ってもいいかも。
■新型コロナウイルスの影響
スケートパークが閉鎖されて滑るところがなくなったり、
3密を避けるために仲間と滑れなくなったという声はよく聞きます。
中には、スケボー自粛中という人もいます。
「みんなが不要不急の外出を自粛している中で、外でスケボーをするなんてけしからん」
という人がいるみたいですが、
自粛要請は散歩やジョギングを妨げているワケではありませんし、
1人で(電車等を使わずに)スポットに行って、
1人でその場で黙々と練習する過程で感染リスクがあったら
そんなのもう細菌兵器がばらまかれてるような状態ですから、
全然問題ないと考えます。
また、スケーターが増えているようです。
特にヒマを持て余している中高生のスケーターが増えている様子。
自分が練習しているスポットでもスケーターをみかけるようになってきました。
新規スケーターの人口が増えると、
やはりさっきのようなヤカラも増えるワケで、
マナーの悪さが問題になっているというハナシも聞きますが、
ウイルスが収束した後にスケボーの印象が悪くなっていなければいいなと思います。
■スケボーはお手軽に始められる1人スポーツ
というワケで長々とお付き合いいただいた方、ありがとうございました。
自転車と違って駐輪場が要らないスケボーは、移動手段としても優秀です。
終電逃して7駅前までしか辿りつけなくても、
スケボーがあれば練習がてら帰ることができます(笑)。
乗って移動するだけでも十分楽しいですし、
サーフィンやスノボーのオフトレーニングとしてやってる人も多いので、
この機会にぜひ一度挑戦してみてください!
■(蛇足)カルチャーとしてのスケボーと音楽の危機
ハナシがちょっと逸れますが、最後に。
コロナの影響で営業ができなくなり、また前述のマナーの問題等で
存続が危惧されているスケートパークが出てきています。
スケートというカルチャーに訪れている危機以上に深刻なのが、
音楽や演劇などの箱、ライブハウスが廃業の危機を迎えていることです。
音楽の消費の方法としてサブスクが当たり前になってきた昨今、
ミュージシャンが食べていく為に切り開いた活路がライブでの収入でした。
音楽フェスも増えましたし、消費者は音楽を手軽に手に入れられる時代になりました。
コロナの影響で公演中止に追い込まれると、
会場使用料を含め準備にかかった費用や人件費等、多大な損害が発生しますが
今回の原因では興行保険の適用外になり、泣き寝入りするしかありません。
ミュージシャン自身は印税や音源の売り上げでしのげるかもしれませんが、
小さなライブハウスや、ライブの裏側で働くスタッフは仕事を失うことになります。
「とにかく公演中止しないとけしからん」と言っている人は、
裏側まで見えていない幼稚さを発言しているようなものですね。
特にライブハウスはもともと利益が大きい業態でもありませんし、
ライブが行えない=収益ゼロということになり、
このままではコロナ収束後には
ライブハウスが軒並み廃業しているという事態にもなりかねません。
今まで自分たちが楽しんできた音楽を再び楽しめる場所がなくなるワケです。
そこでtoeの呼びかけで企画されたのが、
「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」というプロジェクト。
500円から支援できて、約70組の未発表音源を自由に聴くことができます。
MUSIC UNITES AGAINST COVID-19フォルダのアクセス権をダウンロード購入することで、自分が応援したいライブハウスを支援することができます。
— MUSIC UNITES AGAINST COVID-19 (@unites_19) April 19, 2020
フォルダの中の”プロジェクトに賛同した約70組のミュージシャンが提供する楽曲データ”は皆さまの支援へのお礼です。 https://t.co/UyfCr9PVh6
支援するライブハウスを自分で選ぶことができるのですが、
自分は東京のライブハウスに思い入れがあまりないため、
学生時代に思い出深い名前を目にしたので
大阪の某ライブハウスを支援しました。
音楽好きの方はぜひ一度のぞいてみてください。
よくよく考えると音楽好きとしては、
学生時代はエピタフ系のスケーターパンクやメロコアを好んで聴いてましたし、
近年はHip Hopにもハマったので、スケボーにハマったのは自然な流れなのかも。
やはりスケートと音楽はつながっていると実感しましたし、
スケートと音楽に限らず、様々なカルチャーが危機的な状況にあるなと思います。
スケーターの動画を検索すると、ストリートで滑っている動画がたくさんでてきます。
街中の縁石等の段差や柵や階段や壁を利用したり、商業施設で滑っていたり
中には警備員や警察官をかわしながら滑っている動画も多数アップされています。
スケーターカルチャーに関してはまだ詳しくないので書きませんが
スケボーの技を「トリック(trick)」と言うように、
繰り出される華麗なトリックは「芸当、手品」のようであり、
街中を滑る様子は「悪意のないいたずら」とも言えます。
スケーター人口が増え、悪ふざけや迷惑行為との線引きが難しいところではありますが、
「ストリートでの表現は、
街中をキャンバスにした肉体的なアートでありエンターテイメントである」
そういう目線で動画を見てみると、また違った魅力に気付けるのではないかと思います。
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