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日向坂46東村芽依さんの走りを分析してみた。

『体育会TV』に日向坂46東村芽依さんが出演した。
マスク・ド・ランナーが1人で4000m走るのに対し、女性芸能人軍団10人が400mずつ走って競い合う企画。
前日ライブを終えた翌日、生放送での400m走。期待と心配のなかファンは固唾をのんで見守っていた。
瞬足として知られる東村さんはアンカーを任され、一時マスクマンと並ぶほどの健闘をみせたが、残念な結果となってしまった。

「昨日ライブだったのに頑張ったね」とファンが口々に健闘を讃えるなか、わたしはこう思った。
「あの走り方は400m走には向いてないのに、頑張ったね」

ファンの東村さんへの気持ちはよーくわかる。
ライブでの消耗も知っている。しかし勝てなかったことに前日のライブを引き合いに出すのは、勝負した人に対してリスペクトが足りないんじゃないか。ライブにだって失礼だろう。
スポーツの健闘を讃えるなら言葉を選ぶべきだ。

なのでこれから、陸上経験者のわたしは東村さんの走り方を解析し、なぜ400mに向いてないのかを理論武装をもって東村さんをめちゃくちゃ擁護する
映像から得る情報のみで話を展開するので、筋力など見えない部分はアバウトで読んでほしい。

まず最初に、東村さんが瞬足と言われる理由となった、50m走で走り方を分析していきたい。

欅坂46冠番組『欅って、書けない?』の運動企画のなかで、欅坂46と日向坂46(当時はけやき坂46)の50m走対決が行われた。
わたしは分析のため、このときの映像を参考にした。

欅坂46日向坂46と人数が多いので、東村芽依さん。
その東村さんと同レースで競った渡邉理佐さん。
東村さんより速かった加藤史帆さんにサンプルを絞って分析していく。

まず彼女たちのタイムを見てみよう。

加藤史帆:7秒62
東村芽依:7秒69
渡邉理佐:7秒91
ウサイン・ボルト:5秒47( 100m競走時の途中計時)
(敬称略)

速く走るためにはいろんなコツがある。
脚の長さ、筋力、フォーム、足の着き方、膝の高さ、腕のふり方…細かい調整の積み重ねで、トップ選手たちは0.01秒の世界を競っている。

ここからはフォームに焦点をあて解説していく。
3人ともフォームはよかった。地面を蹴ったエネルギーをロスすることなく推進力に変えられる良い姿勢だった。
総合的に1番いいフォームは加藤さんだったので、納得の最速記録だった。

まずは足もとからいきたい。
走るとは前に跳躍しているからだ。推進力を得るために、接地の瞬間にいかにパワーを生むかが勝負のカギとなる。

3人を見ると、かかとからつま先へスムーズに重心移動が行われている。
ちなみに足のつき方の見分け方は、足音がするかどうか。音が鳴る分だけ余計なエネルギーを使っているので、よくないフォームと言える。

守屋さんを見て頂けるとわかるように、人は停止するときかかとをついてブレーキをかける。アニメのキキーッとするあれだ。
つまり足をつく時かかとを着けすぎると、ストッパーとなり速度が上がっていかない。3人ともすごくいい踏み込みだった。

そしてその踏み込んだ足で地面を蹴って、足を前に運ぶ。
その際、脚を畳んだ方が最短距離で運ぶことができる。
足でお尻を叩くイメージみたいなことを言われたことがあるだろう。
3人の中で東村さんが1番コンパクトだった。

このとき同時に大事になってくるのは、膝の高さ
膝が高くなれば、遠くへ足を運ぶ可動域を得られる。そしてさらに踏み込み足の振りかぶりもできる。
体格差はあれど、ちょうどいい高さは地面と平行ちょいしたくらいかな。

渡邉理佐さんが勝てなかった原因はこの膝の高さだと考えられる。
東村さんがももの真ん中くらいまで上がってるのに対し、膝上くらいまでしか上がってなかった
そのためストライドが伸びず、長い脚を活かしきれない結果になってしまった。

身長が高ければそれだけ歩幅が取れ、有利にはたらく。
しかし歩幅ベースで考えれば身長が高いほうが有利だが、歩数ベースなら多いほうが有利だ。
ここが東村さんの走りの特長

さあここでそれぞれの身長と50mの歩数を見てみよう。

渡邉理佐:167cm、31歩半(32歩目をつく前にゴール)
加藤史帆:160cm、32歩
東村芽依:154cm、33歩半(34歩目をつく前にゴール)
ウサイン・ボルト:195cm、23歩(100m競走時の途中計時)
(敬称略)

計測してみて、見事に身長順となるおもしろい結果になった。

歩数が多ければ、それだけ推進力を得るタイミングが多いということだ。
さらによかったのは、踏み込んだ足の位置
使う力が最小限で済む自分の真下で踏んでいた。これにより脚をはやく回転させつづけ速度を落とすことなく、東村さんは速く走ることができた。

以上を総合すると東村さんの走り方は、「ピッチ走法」ということになる。
ダンスなどのキビキビした動くから、彼女は瞬発系が発達してると考えられる。瞬発力のある背の高くない彼女に、ぴったりの走法だ。
これだけのために、ずいぶん長い説明になってしまった。

ちなみにウサイン・ボルトは歩幅を大きくとる「ストライド走法」を採用しており、最高速時1歩が2m75cmにもなり、ゴール時には3mにもなるそうだ。

さいごに、東村さんより加藤さんが0.07秒速かった理由を述べてこのセクションは終わろうと思う。
その理由とは、腕の振りだ。
東村さんに比べ、加藤さんの腕のテイクバックが大きかった。
この振り幅によって、より大きいパワーを生むことができた。そのパワーが-0.07秒分ということだとわたしは考える。

さあ前置きが長くなってしまったが、いよいよ本題。
なぜ東村さんのピッチ走法は400m走に向かないのか。
どうして勝てなかったのか。

まず400mと4000mの違い
先ほどの50mはペース配分を考えずとも誰でも9~10秒ほどで走り終わる。

400mという中距離ではペース配分が必要だ。
自分の得意な走法、加速する区間や出し切る区間などを加味して400mをプランニングする必要がある。
初心者がいきなり400mという距離を走っても、ペース配分を間違える可能性がある。

対して、マスク・ド・ランナーは4000mを走ればいい
計測してみたら、6周までは平均1分13秒で走り、以降は平均1分11秒で走っていた。そう、マスクマンはほぼ同じペースで走り続けていただけだった。
映像が途切れ途切れだったので、確認できなかったが、きっと歩数はほとんど変わらないだろう、毎秒3~4歩くらいかな。

ストライド走法で、膝は自然な振り出しで、腕はコンパクトに小さく。自然な動作で腕や脚を振るので、力はほとんど使われていない。

古武術に「縮地」という走法がある。わかりやすく言えば転ばないように走る。これと同じ原理で、マスクマンは7周目以降から上半身をほんの少し前傾させることで、スピードを上げていた。この時に合わせてストライドを広げ、1周の歩数は変えずに速度を上げた。

1歩前進するエネルギー、動作の機会を最小限に抑え、最大のパフォーマンスを生む、まさに理想的な長距離用省エネの走り。それだけマスクマンの走る技術力が高いということだ。

東村さんをみると、一生懸命腕を振って、膝もすこし高めだ。
ピッチ走法という消耗の激しい走法を400m用に調整せず、さらに150mくらいの地点でマスクマンに並ならばれて、ペースを乱されてしまった。何してくれてんだマスクマン。
テレビの生放送、緊張もしただろう。緊張でこわばった身体はやっかいな敵になる。それでも東村さんは笑顔を絶やさずに走っていた。素晴らしい健闘。感動した。

最後に。
以上のことから、東村さんは短距離走に向いたピッチ走法で、400mを走るには向かず、走るならばそれなりの調整が必要ということがわかった。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
当初の予定より長くなってしまったけど、書いてるうちに熱がどんどん上がって楽しくなってきた。
長々といろいろ書いてきたが、つまり何が言いたかったというと、

めいめいはよくがんばった!!えらい!!!!


おしまい。

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