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ひなあいストーリー:富田鈴花編

今週も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

今週もひきつづき、メンバーを1軍と3軍に仕分け、さまざまな競技を1対1で対戦する企画【目指せ一軍入り!THE タイマン】。3週にわたり繰り広げられた1軍vs3軍のたたかいもこれにて完結。

まずは、春日さん本当にお疲れさまでした。1人で多くの仕事を抱えながら職務を全うされて本当に素晴らしい活躍っぷりでした。編集された放送だけではわからない苦労もたくさんあったでしょう。大変お疲れさまでした。

さて、前回とうとう1軍ラスボスに到達した小坂菜緒さん。今回はラスボス戦・寿司ワゴン引きから番組が幕あけた。相手は前回行われた寿司ワゴン引きで圧倒的強さを感じさせた渡邉美穂さん。寿司ワゴンをつかみ腰を落とすそのさまは、さながら横綱の立ち合いのようにどっしりとしていて、気迫と余裕に満ちていた。小坂さんの表情はどこか弱気だ。振り返れば、このときもうすでに勝負は決してしまっていた。

開始の笛が鳴る。と同時に寿司ワゴンと小坂さんはみるみる赤コーナーへと引きずり込まれていった。圧倒的なちから、それを十全発揮するフォーム、折れないメンタル。心・技・体を兼ね備えたラスボス渡邉美穂は見たひとすべての脳裏に”絶望"の2文字を刻みこんだ。

すこし意気込んでしまった。ここからはラフにいこう。

選手交代。ふりだしに戻る。つぎなる3軍メンバーは河田陽菜さん。あのラスボスを見てしまったあとでは少々頼りないが、控えている3軍のメンバーのお尻が箱馬のトゲに悲鳴をあげているので、河田さんにがんばってもらうしかない。

対戦カードは加藤史帆さんとタイマン大声ケツバット。大声が苦手な河田さんどうだ?!と思ったのもつかの間、加藤さんの一振りでマイクとともにあっけなく散ってしまった。

3軍、大ピンチである。つぎに白羽の矢が立ったのは富田鈴花さんだ。都合上、富田さんが最後の挑戦者になった。そして富田さんは先輩ふたりを見事制し、ラスボスに挑むことになった……

富田鈴花さんは、いまや『日向坂で会いましょう』にとって欠かせない存在となった。この【目指せ一軍入り!THE タイマン】企画を見終えたあと、この企画は富田鈴花物語がクライマックスを迎えたんだと思わざるを得なかった。今回はそんな話。

ひとには向き不向きがある。アイドルに限らず、勉強でもスポーツでもなんでもいい、なにかに打ち込んだときにひとは必ず「はたして自分に向いているのだろうか」を自らに問いてしまう。アイドルにおいては、可愛いルックスや愛される人となりなどが挙げられる。ひとを魅了する”何か”をもっているひとこそ適性があると考えられる。

『ひらがな推し』が始まった当初、富田さんは焦っていた。彼女は自身にその適性がなかったと思っていたのだろう。貴重な冠番組でのアピールチャンス。しかし、自信をもって発信できる手札がない。そんな焦りが当時『フリースタイルダンジョン』から火がついたラップバトルブームや第7世代のチャラ男芸人・EXITの流行に乗っかったパリピちゃんキャラを生み出した。はっきり言ってしまえばよくあるアイドルの浅はかな常套手段だった。その後、あまりに不格好なパリピちゃんは、まわりに剝がされる形でゆっくりとフェードアウトしていったのだった。

キャラ付けに失敗したものの、今日までとにかく手数で勝負しつづけ、ときにはトークを振られなくて泣いちゃったりもしたけど、ひたむきで一生懸命な姿勢でのぞみつづけた結果、アンガールズ田中さんにも「バラドルとしてもう完成している」と言わしめるほどバラエティスキルを伸ばしていき、。

かつてアイドル不適合者として圧倒的な存在感でファンを魅了した井口眞緒さんの影に隠れてしまっていたが、富田さんは努力のアイドルである。ファンに「なにを当たり前のことをいまさら言ってんだバカタレ」と思われるだろうが、ここでキチンと言っておきたい。なんでかはわからない。応援したいんだ。富田鈴花はひとを魅了する”何か”をもってきたんだ。胸打たれずにいられようか。

さあ富田さん、手数をとにかく打ちまくるスタイルでストロングポイントを獲得した副作用で負け顔キャラがついてしまった。いつしかわたしたちは富田さんに打ちのめされ負けることを期待してしまうようになっていた。

3軍最後の挑戦者・富田さんがラスボス・渡邉美穂に挑む。鮮やかに負ける条件が揃ってしまった。しかし、この日の富田鈴花は何かが違った。バラエティを捨て、勝ちに行くと宣言したのだ。培ったバラエティアイドルを脱ぎ、いち人間として勝負にのぞむという。熱い。

相手の渡邉美穂さん。富田さんとはとても関係が深く、時にライバルとして競い合い、時に仲間として助け合う仲である。またひなあいにおいても、スタイルがよく似ている同業他社である。

試合前の激しいパフォーマンス合戦の勢いそのままに、ついに寿司ワゴン引きが始まった。渡邉さんがやや優勢。負けじと富田さんも食らいつく。と、ここで、あまりの激しい戦いによって寿司ワゴンが裏返ってしまった。この勝負が真剣そのものであることを象徴するかのようなシーンだった。

春日レフェリーの采配により、やや渡邉さん側に寄せた位置から仕切り直し。富田さん大ピンチ。だがその目は、ハプニングがありながらもとても集中していて燃えていた。再開の笛が鳴る。

先に仕掛けたのは富田さん。コンマ何秒、渡邉さんよりも早く引くことに成功した。しかしラスボス、このまま勝たせてはくれない。体勢を立て直し、ふたたび自陣へと寿司ワゴンを引きずり込んでいく。

ついに決着のとき。見事、富田さんが勝利した

自身と向き合い、さまざまな失敗を経て、ひなあいには欠かせない存在にまで成長した、それでも彼女は負けることを求められた。紆余曲折あった彼女は、やっとの思いで手に入れたバラエティメンバーという武器を捨て、富田鈴花の勝利を自らの手で引き寄せたのだ。勝利の瞬間、いきおい余って壁に激突してしまうのもなんだか彼女らしい。

今回はそんな富田鈴花というアイドルのシンデレラストーリーのフィナーレをもって幕を閉じた。富田鈴花さんおめでとうございます。

来週は約2年9か月ぶりになんでもランキング企画が行われる。あのときにはいなかった3期生も加わり、当時とは番組の毛色が変わったこともあり、ランキング自体も予測不可能だ。どんな内容になるかとても楽しみだ。

おしまい。

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